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グリニモアの朝 2

それから1ヶ月。
街で久しぶりにレノと鉢合わせた。
レノは「よぅ」と片手を上げ、それからいつかのようにまわりと気にしながら近づいてきた。そして「どうだ?」と聞いてきた。
「見つかったか?例の映画はっと」
「あぁ」
答えながらレノは俺の目を探るようにみる。その目をまっすぐに見返し「ルーファウス経由の話じゃないんだな?」と聞いた。
レノはその言葉にすっと目を細める。
「…見つけたのか?っと」
「先程の質問の答えは?」
「お前から聞かせてほしいぞっと」
俺はレノを見つめ、答えないかぎりは口を開きそうにないのを悟ると小さく息をついた。
「…今日、取りに行く」
「今日?どこへ?」
告げた地名は、コレルプリズンから随分と離れた山中の小さな村だ。
調べたところ、その奇特なコレクターは大分前にコレルプリズンからそちらに居をうつしたらしい。
「何度か通って言葉を交わし、ようやくそれを見つけてくれるという話になった」
はじめはけんもほろろだったが、彼が以前から探していたという古物をいくつか手にいれてやってようやく話をしてくれるようになったのだ。
「それは確かにあるのかよ?っと」
レノの問いには答えず、「それで」と逆に問い返すと、彼は不満そうにしながらも本当の依頼人がレノではなく社長…ルーファウスであることを認めた。
「俺は知らなかったが、以前からそれは極秘扱いで探されていたらしいぞ、と」
「25年前から?」
「…まぁそれくらいだな、と」
「それには何が映ってる?」
レノは肩をすくめる。
「見つけ次第、回収。中身を見ることは認められてないぞ、と」
「なるほど…まぁいいさ」
俺には関係ない。
しかし気になる。神羅が25年も前の映画を今になってもまだ探し出し処分をしようとしている理由…。
いくらルーファウスにとってリスクのあるものだとしても、すでに神羅の権威は地におちている。そもそも25年前の代物にそれほどの価値があるのかどうか…。
バイクに股がると、当然のようにレノがその後ろに乗った。
「おい」
驚いて振り返ると、レノは得意の軽薄そうな笑顔を見せた。
「どうせお前は中身を見る気なんだろ?と」
「阻止する気か?」
「いや。俺も中身が気になるぞ、と」
「いいのか?」
「黙ってりゃわからねぇぞ、と」
それに、自分の手に渡る前ならば、見ても問題はないだろうと屁理屈を捏ねた。

※※※

列車の車両。十字架。塗装の剥げた看板、植木鉢、柱時計などが積み上げられていて、それが偏屈コレクターじいさんの家のエントランスだ。
そこを抜けるとトタンの掘っ立て小屋があり、そこがじいさんの住みか。
掘っ立て小屋の周辺から後ろには、まさしく山となった“宝物”が積み上がっている。
「じいさん、きたぞ」
声をかけて中にはいると、カビ臭い香りにオイルの臭い、その他もろもろが入り混じった独特の香りが鼻につく。
後ろをついてくるレノはもの珍しげに壁にかかった考古学級のグラビアポスターを見ている。
「じいさん」
もう一度声をかけると、奥から日に焼けた小柄なじいさんが顔を出した。
「なんだお前か」
そういってすぐに顔を引っ込める。
じいさんのいる場所は、彼いわく工房であり、彼はそこで古物を修理しては悦に入っている。
「じいさん、“グリニモアの朝”はあったか?」
工房に人が立ち入るのをじいさんは嫌うので、手前の部屋から声をあげると「黙ってちょっとまっとれ!」と、怒鳴り声がかえってきた。

仕方なく元はバスの座席だったと思われるソファに腰掛け時間を潰す。
レノはあちこちを見回し、時折それらを懐に入れようとしていたが俺が睨んでいるのに気づくと元の位置に戻していた。
そうして20分ほども待たされただろうか。
奥の部屋からガタンと大きな音がしたかと思うと、何やらブツブツといいながらじいさんが出てきた。
「まったく、まさかあそこでピンが折れてしまうとは…むむぅ、代わりになるものはなにか…」
修理が思うようにいかなかったのか不機嫌そうだ。
じいさんは俺達が見ているのに気づくと、気まずげに頭を掻いた。
「あー、またせたな」
「あぁ」
「じいさん、グリニモアの朝はどこだ、と」
「ん?なんだお前さんは。髪が真っ赤じゃないか。なんだそれは。染めているのか?」
「天然だぞ、と。それより映画だ映画」
抜けたことを言うじいさんに呆れたように言うレノに「そうだったな」とじいさんは返し、一度奥の部屋に戻ると薄っぺらな四角いケーキを持って戻ってきた。
「それが?」
「あぁ。旧式の光学ディスクだな」
「へぇ」
早速手をのばそうとするレノの手をじいさんは叩く。
「いてっ」
「ふん、お前さんら、映画を探すのはいいが、こいつを再生するハードは持っとるのか?」
顔を見合わせる俺とレノを見、「だろうな」とじいさんはいうと、そこらのガラクタをひっくり返し再生するための機械らしきものを発掘する。
一抱えほどもある大型の機械はとても重そうだ。
「こいつぁ、俺が昔組み立てたもんだ。10種類ものメディアに対応しとる再生装置だな」
大きなそれをテーブルの上に置き、いくつものコードを引っ張りだしては機械に取り付け、反対側を壁掛け式のディスプレイへと差し込む。
「へぇ、じいさん、大したもんだな、と」
「ふん。褒めてもコイツはやらんぞ。ま、そっちのツンツンした兄ちゃんには世話になったからな。ここで見ていくといい」
「お、ありがてぇぞ、と」
遠慮をしらないレノは、画面が見やすい位置へとソファを引きずり腰をおろした。
じいさんは全ての線をつなぎ終わると、ディスプレイと機械の電源を入れる。機械にいくつもついているらしい蓋の1つをあけると、そこにディスクをケースごとつっこんだ。
じいさんいわく、ディスクを傷つけないためにケースにも細工を施しているのだという。
リモコンをいくつかいじると、ブルーコレクトという映画配給会社のロゴが現れた。
俺とレノは心なし前かがみになって画面を見やる。
じいさんはそんな俺達の様子に部屋の電気を落とし奥の部屋へと戻っていった。

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