スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

グリニモアの朝 1

読み返さない。
クラウド・レノの話…ですが、私はルーファウス贔屓故…
「クラウド」

呼び止められて振り返ると、赤毛の男がこちらに向かってこばしりに走ってくるところだった。
足を止めて彼を待つ…と、その男、レノは間近にくると足をとめ辺りをうかがうように視線をめぐらせる。
「なんだ?」
誰かの視線を気にしているような仕草に首をかしげる。
レノはその言葉を無視し、意を決したように体を近づけた。
「おい」
「うるせぇ。ちったぁ我慢しろよっと」
そして耳元に口を近づけ、「お前に探してもらいたいもんがあるんだぞっと」と言った。
こんなふうに個人的に近づいてきたということは、神羅絡みではなく彼個人の探しものということか。
「探しものなら、あんたたちのほうが適任だろう」
「もちろん、俺は俺で探しているんだぞっと。だが、お前はお前で俺とは別のルートを知っているはずだ。その伝手をつかって欲しいんだぞっと」
「…そんなに厄介なものなのか?」
「あぁ。探そうと思って探せるようなもんじゃないと思うんだぞっと。だからついででいい。仕事の合間に探して欲しいんだぞっと」
「…ものは?」
聞いたら最後。依頼は受領扱いになるんだろうと思いつつ、しかしレノがさほど見つかることを期待していないようにも思えた。
レノは俺の言葉に口の端を上げ言った。
「グリニモアの朝」
「…なんだそれは?」
暗号かなにかかと思っていると、レノはあっさり「映画のタイトルだ」と言った。
「映画?」
「そうだぞっと。今から25年くらい前の、B級ホラー映画だぞっと」
「意味がわからない」
俺は首を振った。
「そんなの探せばいくらでも……」
言いかけて、無いのだろうと気づいた。
「そんなにマイナーなものなのか?」
レノは頷く。
「マイナーはマイナーだが、当時、その線のマニアの間では有名だった監督の作品なんだぞっと。いくつかの小さな映画館で上映されているし、メディア化されて販売もされていたんだぞっと」
その業界には詳しくないが、レノの話しぶりからしてそこそこは売れたものであるらしいと想像がつく。
「何故見つけ出せない?」
俺の質問にレノは「探してればわかるぞっと」と、苦笑した。

***

それから半年、俺は折に触れ「グリニモアの朝」という映画を探し続けた。
昔の映画や番組を取り揃えている専門店や、古物を扱う店、ジャンクショップなどはもちろん、仕事上で知り合った人間などにも聞いてみた。が、手がかりはない。
聞いたことがあるというのが一人。
監督の名前に反応したのが一人。
その程度だ。
あれからレノにも何度か会っているが、彼は催促どころかその話すらしない。すっかり忘れているようにも見える。
だから俺も、もう依頼のことなど忘れてしまってもいいのだろう。そんなことを思いつつ、しかし、何故かその映画のことが頭から離れない。

何故見つからないか…という点についてだけはなんとなくわかった。
これだけ探していないということは、誰かが意図的にそれ探し出し隠してしまっているか、もしくは消滅させてきたか。
個人がやったとすれば大袈裟すぎる。が、それが出来うる人物はいないわけではない。
莫大な財を持ち、探し出すだけのネットワークを持つ人物ならばやろうと思えばやれるだろう。
例えば、かつて世界を席巻し全てを手に入れようとしていた神羅カンパニーの社長とか。
25年前の映画ということは、現社長のルーファウスか前社長か…、もしくは二人か。
実行したのはタークス…か?
タークスがいつから存在していたのかはしらないが、多分タークスかその前身であろう。
だからこそ同じネットワークを敷く、もしくはそのネットワークを引き継いだタークスであるレノには見つけられない…?

25年前の映画…。
一度は世に出た…ということは、25年よりも後になって彼、もしくは彼らはそれを集める必要が出てきたということか。
一体どんな映画なのだろうか。

***

手がかりというものは、いつだって意外なところから出てくるものだ。
今回その手がかりを示してくれたのは、シドだった。
たまたま近くに用事があり、ついでに顔を出した時にグリニモアの朝の話題を出すと、彼はあっさり「知ってる」といったのだ。
驚く俺に気づかず、彼は「確か吸血鬼がテーマの映画だったな」と言った。
「どんな内容なんだ?」
「どんなって…んー、よく覚えてないな。古い洋館みたいなところに若い男女が肝試しに出かけて、で、お定まりに化け物に襲われました…ッ的な映画だった気がするが」
顎をさすりながら言ったシドは不思議そうに俺を見る。
「で?それがどうしたってんだ?」
「何時頃見たんだ?どこで見つけたんだ?その映画はまだ持っているのか?」
「え?あ、あー、いつだったか。多分ロケットの打ち上げに失敗したあたりで荒れてた頃だ。よく覚えちゃいないが…多分どっかの倉庫で見つけたんだ」
何枚もの映画のメディアをシドは持ち帰り、酒をのみながら何本もぶっ続けで見たような気がすると言った。
その映画はどうなったかと聞くと、シドは首をかしげる。
「よく覚えちゃいないな。なにせずいぶん昔の話だし、俺はあの頃は荒れてたし…」
全く覚えていないという話にがっくりときたが、ずいぶんと探していると聞いたシドはもしかしたら…とある話をしてくれた。
「コレルプリズンの近くに偏屈な爺さんが住んでるって聞いたことがあるぜ。これもまた昔の話だからまだいるかどうかはしらねぇが、あらゆるガラクタを集めて自分の城を作ってるって話だ」
「コレルプリズン…」
「なんでも集めちまう偏屈な爺さんで、何でも揃ってるって話だったぜ。大昔の電車の車両や戦車なんて大きなものから、価値があるんだかないんだかわからない本、今は仕えない電話機や自動販売機、ゴミとしか思えない缶や古雑誌…。まぁ、どうしてもってんなら探してみてもいいんじゃないか?」

望みは薄いかもしれない。
だが、これまで探してきて唯一の手がかりらしい手がかりだ。
コレルプリズンの近くと一言に言っても広いし、一人で探すのはかなり無茶だ。
しかしその場所をレノに教えてひとまず依頼を終了させる…というのは少しもったいない気がした。
出来るならば自分で探しだしたい。
そしてレノに先んじてその映画とやらを見てみたい。

俺はシドに例をいうと、急ぎの仕事がないことをいいことに、コレルプリズンの方に行ってみることにした。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。