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フィラメント

ゲーム本編ちょいまえくらいで。
よみかえしてない。
事務処理は嫌いなくせに、報告にだけは嬉々としてくる男が今日はいない。
巨躯のスキンヘッドの男を見やって眉を少しだけ動かしてやると、普段は無口な彼が「あぁ」と口を開いた。

「レノは少し怪我を負いまして・・・それで医務室の方で治療を受けています」
「怪我?」
「心配する事はありません。魔物を相手に油断しただけですから」
「別に心配してはいない」
なぜあんな男を心配する必要があるのか。
そっけなく言い放ち、ルーファウスは手元のファイルをめくって彼らの仕事内容をチェックする。
資料によると数日前から彼らが滞在していたのはニブルヘイムだ。
廃墟となっている新羅屋敷での調査。多少手ごわい魔物がはびこっていることは否定しないが、タークスの職員であれば準備運動程度のはずだ。
「よほど油断していたらしいな」
確認されている魔物のリストに目を通し書類を指ではじけば、ルードは恐縮するように巨躯を小さくした。
「何があった?」
「・・・それが・・・階段を踏み外しまして・・・」
「・・・・」
「魔物自体はそうたいしたことはありませんでした。我々二人でかかれば向こうから尻尾を巻くような調子で・・・。ただ、2階への階段が腐っていたのと・・・落ちた1階の床の木材がとがっていたのとで・・・」
なるべくルーファウスと目を合わせないように天井のあたりを見つめて言うルードを、ルーファウスは下から冷たく睨めつけた。
「それで咄嗟に受け身をとることもできずに尻もちをついたというわけか」
「・・・有体にいえば」
無様なレノの姿が目に浮かぶようで、思わず舌打ちが出た。
「いいざまだな」
「・・・・は」
「で、怪我の具合は?」
「たいしたことはありませんので・・・心配は「心配はしていないといっている」」
ファイルをパンと机にたたきつけると、ルードがビクリと背中を振るわせた。
「すみません」
「復帰時期はどれくらいになるか聞いている。」
「仕事ですか」
「そうだ。新羅に逆らう厄介な奴らがいる。」
「レジスタンス?」
ルードの言葉には答えずに机の引き出しを開けると、中からファイルを一つ取り出し広げた。
そこには何枚かの履歴書のようなものが挟まれており・・・その一番上には黒人の屈強そうな男の顔があった。
「正式名称までは知らないが、どうやら派手な破壊工作をたくらんでいるらしい」
「スラムのものたちですね」
ファイルを手に取り、ぱらぱらとめくりながらルード。ルーファウスは、椅子に深く腰掛け両手を腹の上にラフに組み頷いた。
「レノの奴は本当にたいしたことはありません。すぐにでも仕事に取り掛かれます。」
しかし・・ルーファウスはそれには首を縦には振らず、いや・・・と首を横に振った。
「しかし・・・厄介なやつらならば早めに処分を・・・・」
「いや。いい。」
ルーファウスは何かを考えるように手を解くと、片方の手をひじ置きの上に置き、もう片手を口元へと置いた。
「・・・・・そうだな。レノは足を骨折ということにしておこう」
「・・・・は?」
「一ヶ月は絶対安静ということにしておくことにして・・・・この件はハイデッカーに任せることにしよう」
いい事を思いついたというようにニヤリと笑うルーファウスに、ルードは背中の産毛が逆立つような感じがした。
「そうだな。それがいい。ついでにルード。お前も有給をとったらいい」
「・・・・・」
「それに、そう、ツォンも出張から戻ったらすぐに休暇に入らせることにしよう」
「・・・・レジスタンスを好きにさせるので?」
「多少、引っ掻き回してもらってもかまわないだろうと思っている」
ブルーアイが冷たい炎を燃やすのを見て、ルードはあわててまたルーファウスから視線をそらした。
彼、ルーファウスはプレジデント新羅の実子でありながら、必ずしも仲がよいとはいえない。いや、折り合いが悪いといってもいい。
口に出して直接的に反抗を示すことは無いが・・・しかし、タークスのように彼に近い者ならば、彼が実質的な権力を虎視眈々と狙っていることは暗黙の了解だ。
それに・・・レジスタンスをかませようというのだろう。
しかし・・・
「大丈夫でしょうか?」
レジスタンスが思っていた以上の力を持っていた場合・・・・新羅の体制に亀裂が入るのではないかと危惧が浮かんだ。
だが、ルーファウスはそれに冷たい笑みを浮かべて頷く。
「大丈夫だろう。ハイデッカーは馬鹿だが完全に無能というわけでもあるまい。それに・・・だとしたところでなんだというのだ。旧体制を崩すには多少の痛みは必要だ。」
「・・・・は」
いまいち納得しきれていない・・・半信半疑・・・といった様子の部下をルーファウスは鼻で笑い、ついで、まぁいいと肩をすくめた。
「とにかくしばらくタークスは休みだ。十分に休息をとってくれ」
「・・・・わかりました」
「そのうち、休みたくても休めなくなる。十分に働いてもらうことになるだろうとレノにも言っておいてくれ」
最初はどんな雷を落とされるのかと戦々恐々としていたルードは、ルーファウスの楽しそうな笑みにホッと息をつくと巨躯を大袈裟にまげて頭を下げ、部屋を出ると医務室の相棒の下へと足を向けた。

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