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快刀

ルーファウス←レノ っぽぃけど、恋愛はナシの方向で。
夜通しの仕事を終え、白み始めた空の下・・・相棒に手を振り左右に別れ・・・向かった先はかび臭い寝床ではなく、新羅ビルの中に作られた闘技場。
なんでそんな場所へ・・・といえば、今日やりあった連中にちょっとだけ・・・ほんのちょっとだけだが、遅れを取ったのだ。
ほんの・・・カンマ何秒かの反応の遅れ。
もちろんそれは相手にも、そして相棒にも決して気づかせは無かったが、タークスの人間として・・・そして、仕事の間は真面目を通している俺としてはちょっと・・・いや、かなりガックリきていたのだ。
まだ早朝というにも早い時間。
この時間ならば誰も居ない。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、自主練習でもしてみようかという魂胆。

そんなわけで大あくびをかましつつ闘技場へと向かった俺は、誰も居ないと思っていたそこに人の気配を感じてふと立ち止まる。
「・・・・」
張り切りやの新入隊員あたりが早朝練習でもやっているのかも・・・しれない。
あぁ・・・面倒くせぇ。
格好をつけるわけじゃないが・・・人に努力しているところを見られるのは好きじゃない。仕事以外でマジやっている俺なんて、らしくないだろうってなもんですよ。
「・・・・あぁ・・・」
出直そうか・・・と思ったが、脳裏を横切った今日の失態に・・・舌打ちをして扉に手をかけた。

そして、

「あんた・・・何やってんだっと?」

そこに見た人物に思わず間の抜けた声が出た。
というのも、そこ居たのは白い胴着に黒帯を締めた我らが新羅の副社長にしてタークスの実質的な支配者・・・・ルーファウスだったからだ。
彼はしばらく前からここで訓練でもしていたらしく、うっすらと汗をかきその丹精な顔に金髪を張り付かせていた。
ルーファウスは俺を認めると不快そうな顔を隠そうともせずに、屹と睨み
「何って・・・読書でもしているように見えるか?」
面白くも無い冗談を言った。俺はそれを鼻で笑い肩をすくめる。
「そりゃすみませんでしたっと。で、こんな早朝から一人で訓練ですかっと」
「悪いか」
「悪くはありませんがねっと。気にはなりますねっと」
俺の言葉に彼は不快そうに目を細め反らすと、シュッと音を出して正拳突きを宙へと繰り出した。
「大体・・・あんたが訓練しなくてもあんたの身の安全は俺たちが保障しますよっと。」
そのために特別に編成された組織だって持っているはずだという俺に、彼は鼻を鳴らした。
「別に護衛術のためだけにやっているわけじゃない」
「へぇ。運動が趣味なんですかっと」
俺が言うのに、彼は何故かフッと笑いそれから大きく足を上へと振り上げた。
思わず口笛が出るような身のこなし・・・・きっちり180度・・・いやそれ以上の開脚。
なるほどね。ただの王子様じゃないことだけは知っていたが、容姿や頭だけでなく・・・
「よくばりだねぇっと」
それとも神のえこひいきか。
「多才なだけだ」
多分どちらも正解。
「へぇへぇ。また悪びれないところが・・・・」
俺好みだっと。
言葉の最後は口の中で呟く。
っと、流れるように身を動かしていたルーファウスが動きを止めた。
そして俺を振り返ると、「暇なのか」と聞いた。
「暇っちゃ暇ですけどねっと」
「眠そうだな」
「夜勤明けですからねっと」
しぱしぱとする目をこする。
「では帰って寝るのか」
「いや」
あんたがいるならもう少しここに居よう・・・とか言ったら気持ち悪いだろうか。
そんなことを思っていると、
「ならば、少し付き合え」
と彼が言った。
「は?」
「相手が居なくて張り合いが無かったんだ」
「俺が相手ですかっと・・・」
「他に誰が居る」
バカにしたような言葉に普通ならムッとするところだが、彼に言われても不思議と腹は立たない。
あぁ、そうですねっとしか思わない。
本当に不思議だし、自分でもにわかには信じられないのだが・・・俺は心底この王子様に膝を折ってしまっているらしいのだ。
「どうした。バカ面を晒して」
「い・・・いや、あんたなら他にいいトレーナーがわんさといるんだろうとおもってたんだっと」
「そりゃぁいるさ、俺を強いと褒めたてて、わざと攻撃を受けて“さすがです”なんて言って・・・俺が怪我の一つでもすれば大げさに騒ぎまくる連中ならな」
「・・・なるほどねっと」
「その点、お前は馬鹿だからそういった気遣いはしないだろう」
「まぁ・・・そうかもしれませんがねっと」
でも、流石に副社長のあんたに怪我はさせませんよ・・・という俺を、
「そもそも手加減なんて高等なものが出来るかどうかすらあやしいな。お前は」
と、おそらくは計算ずくで挑発してみせる。
でも、彼にしては安い挑発。
だけど、乗らない手は無いでしょう。
「あんたがそれを望むなら・・・と」
「では望む。」
「じゃ、いいですよっと」
俺は言って入り口のところから彼のすぐ傍まで歩き、軽く屈伸運動をしてアキレス腱を伸ばして・・・腕の筋を伸ばし、首をひねった。
まぁ。こんなものだろうと一通りの準備運動を終わらせて彼を見ると、彼はすでに俺をお待ちかね。
俺の準備が終わると見るや、かるく半身を引いて身構えた。

「いっておくが、遠慮なんかしたらクビにしてやるからな」
「・・・それ、すっごい殺し文句ですねっと」

そんな脅しをかけられたら・・・“ちゃんと”やるしかない。
何しろ、俺の心は完全にあんたに白旗を上げていて、離れる気は皆無なのだ。

でもまぁ・・・それでも、あんたのその綺麗な顔には傷をつけたくないなぁと思うわけです。俺は。

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