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阿闍世コンプレックス

ルーファウスに世代交代した後くらいな。
そのとき・・・ジェノバってまだ新羅にあったっけ・・・・
いろいろ捏造。 よみかえしてねぇです旦那様
円形の水槽に入れられた古代種。JENOVA。
手を当てると、ゴウンゴウンという機械の振動音が手のひらを伝う。
緩やかなカーブを画く熱いガラス、僅かに青みを帯びて満たされた液体。
こぽこぽと時折彼女を包むように気泡が踊りながら湧き上がる。

彼女は私の母の顔を持っている。
父が、前社長が母の顔に似せた仮面を彼女につけ与えたのだ。
早くして妻を亡くした男のロマンチシズムな感傷なのか何のかは、私には分からない。
ただ、私は、時折彼女に無性に会いたくなる時がある。
母との暖かな思い出など何一つもっていないというのに。

シルバーフォックスのコートを着て赤い皮のスーツケースを持ったブロンドの細身の後ろ姿。それが私が持っている母の記憶のすべてだ。
写真では何度か彼女の姿を見たことはあるが、その女が自分の母だという実感はまるでない。もちろん、JENOVAの仮面に対してもそんな実感をもったことはない。
私が母だと思えるのは思い出の中のシルバーフォックスの細い後ろ姿だけだ。

振り返ることのない・・・女の後姿。

「何やってんですかっと」

特徴的なしゃべり方に水槽から手を離し振り返ると赤毛の男がだるそうに立っていた。
赤い長めの髪を後ろに一つにまとめた男は、前髪をサングラスで持ち上げている。
黒いスーツは一応のブランド物ではあるようだが、下に着た白いシャツをざっくりと開けてきているせいかチンピラにしかみえない。いや、チンピラそのものだ。
いくらきちんとした格好をしろといっても、彼は一向に言うことを聞こうとはしない。
「お前こそ何をしている。ここはお前が来るような場所ではないはずだろう」
「ま、そりゃそうなんですけどね、と。あんたの姿が見えたんでちょっと足を延ばしてしまいましたよ、と」
彼をとても邪魔くさそうに白衣を着た研究員が歩いている。
私はふっと息をつくと、一段高くなっているそこから降りて研究所を横切る。すると、何も言っていないのに彼もまた後に続いた。
研究員たちが無言で頭を下げるのを横目に見ながら、そういえば・・・と思い出して口を開いた。
「お前はスラムの出身だったな」
「えぇ。スラムでやんちゃをやっていた時に此処に拾ってもらった口です、と。」
「スラムに住んでいたのか」
「そういうことですが、と」
「親はどうした」
クスリと笑う気配。
振り返ると、レノがおかしそうに口元に手をあてていた。
「なんだ」
「いや、あんたが他人に興味を示すなんて珍しいことだと思ったんです、と」
確かに・・・私らしくない言葉だった。指摘にムッとして眼を細め、くるりと身をひるがえすとレノが慌てたように私のあとを追ってくる。
「なんだ。もう用はないぞ」
「そんな拗ねなくてもいいじゃないですか、と。別に俺の身の上ならいくらでも聞かせてやる・・・やりますよ、と」
「別にお前の身の上には興味はない」
あれはただの気まぐれだ。
煩いからどこかへ行けと手を振っても、またまた・・と言いながらレノは追ってくる。
このままでは自室にまでついて来かねない。
私は彼を自室に入れる気は全くない。
仕方なく私は行き先を社長室へと変更した。
そして、彼は案の定・・・私の乗り込んだエレベータに当然のごとく入ってくる。
面倒な男だ。
ガラス張りのエレベータの箱の中、何が楽しいのかレノはやたらとニヤニヤしている。

「それで俺の親の話でしたね、と」
「なんだ、お前は本当にそんなことを話すために来たのか」
もっと重要な話があると思ったとイヤミにいうが、
「そうですよ、と」
と、彼は軽く返す。
にやりと笑って勧めもしないソファにふんぞり返り、大理石のテーブルの上にあったシュガレットケースから勝手に葉巻を取り出して口に咥える。
横暴な態度にチラリとにらんでやるが、彼はそれを無視して胸元からシルバーのジッポライターを取り出すと、それで火をつけた。
「そいつはくれてやるが、灰は落とすな。そのソファは先日入れたばかりで気に入っている」
私の言葉にレノは投げやりに肩をすくめた。
そして、
「父親はしらない、と」
唐突に話し始めた。
「母親は14で俺を生んで、俺が10前後くらいのときに男とどっかにいっちまってそれきりです、と。ま、碌に面倒みられていた記憶もないんで特に不自由は感じず、あっちこっちをふらふらして成長しました、と」
それはスラムで暮らしてきたものたちのほとんどが辿るような面白みのない少年期だとレノ。
「母親とは全くあっていないのか」
「えぇ。全く。」
「顔は覚えているか?」
聞くと、彼は考えるように目を左上に向け・・・それから肩をすくめた。
「おぼえてないですね、と」
「何一つ?」
「いや、髪が俺と一緒の赤毛だったことは覚えてますよ、と。あと、ろくでもないアバズレだってことくらいなら、と」
「会いたいとおもうか?」
「今更ですか?、と」
彼は愉快そうに肩を震わせ首を横に振った。
「いや、まさか。今更あってどうしろっていうんですか、と」
そう逆に聞き返されてなぜか言葉に詰まった。
それを男が面白そうに見ているのには気づいていた。
精神的な劣勢。
しかし、覆そうという気にもならない。
JENOVA・・・彼女に会った直後だからかもしれない。
「あんたは会いたいんですか?」
そう聞かれてなぜかひどく動揺した。
今までそんなことは考えたこともなかった。
「あんたの母親はそりゃ綺麗な人だったってききましたよ、と。」
あんたの顔と一緒で。
付け加えられた言葉を無視し、私は考える。
彼女は死んだ人間だ。会えるわけがない。だからこそ今までその考えが浮かぶことすらなかったのか?
だったら、今考えてみたらどうだ?
私は彼女に会いたいか?
シルバーフォックスの細身の体。
彼女の顔は・・・・知っている。
「あの男の事を考えているんだ・・・でしょう、と」
「何?」
「セフィロスですよ、と」
あんた、だからJENOVAの前にいたんだろうといわれて、その的外れな指摘に思わず口に笑みが浮かんだ。
「そう見えたか」
「じゃなかったら何であんなところにいたんだ、と」
「言葉に気をつけろ、レノ」
白い目で睨むと、彼は口の中ですみませんと誤り口を尖らせた。
育ちの悪い男だ。気をつけていないとすぐに地が出る。
「それで、セフィロスの事を考えていたとしたらどうなんだ?」
己の母の事を考えていたなどといわれるよりは、セフィロスのことだったと認めたほうが楽だろうといった言葉だったが、レノは気に食わなかったようだ。口を尖らせて私を睨むようにする。
「なんだ?」
睨まれるいわれはないとこちらからも睨み返すと、彼はあわてたように目をそらした。
「なんでもありません、と。ただ、あんたがあの男の事を考えているのかと思ったら、ちょっと気に食わなくて」
「気に食わなくて?」
「だから、なんでもありません、と」
意味のわからない男だ。
見ているうちに先ほどまで悠々としていた男がなぜか居心地を悪くしたようにソファの上で何度も座りなおす。
その意味はわからないが、口やかましい男が黙るのは好都合だ。
私は後姿しか知らない女のことをまた思い浮かべた。
彼女に会ったとして・・・私は一体何をしたい?
まさか、母さんとでも呼べというのか?
バカらしい・・・。
あの時、赤いスーツケースを持って何処へ行く気だったのかと?
それとも、私を愛していたのかとでも聞くのか?
考えれば考えるほどバカらしくなって私は鼻を鳴らして笑った。
それに反応したのはレノで、罰が悪そうな顔で口を尖らせてる。
「あいつの話はやめにしましょう、と」
「そうだな」
「それより、俺のこの間の事件での活躍の話でもしませんか、と」
そんな話を聞きたいわけではなかったが、母の話を続けるよりは
「まだ、そちらのほうが建設的か」
同意してやると、彼はなぜかとても喜んだようで勢い込んだようにルードと行ったという任務についてまくし立てた。

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