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冷たい瞳

捏造注意 ウェポン襲撃後、無事が確認された直後
「残念ですが・・・左目はもう絶望的ですね」
白衣を着た初老の男は、ベットに寝かされた男に向ってそういった。
しかし、反応したのは全身を包帯に巻かれベットに横たわっている男ではなく、部屋の入り口付近に待機していた赤毛の男の方が先だった。
「なんでだよ!!!!傷はついてねぇってあんたがいったんだぞっと!」
男の剣幕に、医者は大げさに肩を震わせ説明をする。
「そ・・・それは言いましたが・・・詳しく調べたら、神経のほうがやられていて・・・
 以前の新羅の医療をもってすれば可能だったかもしれませんが・・ウェポンに襲われたあとでは
 碌な医療機器がのこっていないんですよ・・・・」
確かに、それでは医者を責めるわけにはいかない。そう理性ではわかっていても、感情がそれを良しとはしなかった。
扉の横に立ってた赤毛の男・・・レノはその苛立ちをぶつけるように、傍にあったゴミ箱を蹴りつけた。
ガンッ!!という音とともに側面がへこみ、ごろごろと転がる。
医者は大げさに怯えたように身体を震わせた。
その態度にカッなったレノは男の襟口を掴み、わずかに持ち上げた。
途端、
「よせ。レノ」
レノを諌めるように声をかけたのはベットの上の人物。ルーファウス。
薄いブルーの患者服を着、見えている素肌の殆どを包帯に巻いている人物。
片目のアイスブルーが冷ややかに二人を見つめる。
もう片方の目・・・左目は包帯にさえぎられ、見ることは出来ない。
先ほど、医者が失明したと言った目だ・・・。
「でも・・・!社長!」
言い募ろうとするレノに、ルーファウスは軽く頭を振る。
「私がいいと言っている。離してやれ」
「社・・・!」
「離せ・・・」
あくまで静かに言うルーファウスに、レノは渋々と掴んでいた手を離した。
途端、医者は慌てたように部屋を出て行った。
出て行く途中、医者は、レノが蹴り倒したゴミ箱に躓き、あやうくバランスを崩しそうになるのを、レノは鼻で笑った。
そして、あらためてルーファウスを振り返った。
ルーファウスはベットの上に半身を起こし、まるでリラックスしているように見える。
「社長・・・・!」
「・・・・いちいち煩い男だ。私がいいといっているんだ。お前は気にすることじゃない」

本当に何でもないことのように言うルーファウスに、レノの苛立ちは募る。
「でも・・・・俺は・・・・」
冷たく見下す一対のアイスブルーの瞳。
温かみの一切無い、永遠の氷結を思わせる、あの瞳・・・。
永遠の高みにあるあの瞳・・・。
「俺は・・・気に入ってたんだぞっと・・・」
レノのつぶやきに、ルーファウスは振り向き、驚いたように片方しかない目を幾分大きく見開いた。
「それは・・・悪いことをした」
しかし、その言葉に謝罪のニュアンスは殆ど含まれておらず、レノを面白がるような色が濃い。
それを恨みがましい目でレノは見た。その視線に気付いたルーファウスは、片目を細くした。
「お前も、もう下がっていいぞ」
言われた、レノは大人しく下がろうとし・・・倒れたままのゴミ箱の前で立ち止まり振り返った。

「あの・・・社長・・・」
「なんだ・・・?どうかしたのか?」
ルーファウスの問いに、言いよどんでいたレノは後頭部を掻きながら口を開く。
「あの・・・俺が社長の左目になってやります・・・と」
言われた言葉に、ルーファウスは彼にしては珍しく虚をつかれ、咄嗟にいい切り替えしが出来ない。
「なんだそれは・・・・」
あきれたような言葉に、レノは怒ったように口を尖らせる。
「なんかおかしかったですかっと・・・・」

拗ねたようなレノの言葉を聞いて、ルーファウスはようやく自分の頭が正確に動くのを感じ取った。
そして、レノがどういう言葉を・・・いや、どういう態度を期待しているのかも分かった。
レノ自身は気付いていないだろう。
彼はただ、ルーファウスの助けになろうと思っていった言葉。
だが、ルーファウスは気付いた。
彼は・・・彼に頼るような自分を・・・・レノに頼るようなルーファウスを・・心の中では彼は望んでいないということを。
レノ自身が気付いていないことを、ルーファウスは正確に感じ取っていた。
そう、それに、それは自身も望んでいないのだ。
人に頼るような自分は・・・・
確かに、身体的なハンデは背負ってしまった。
しかし・・・自分という器、命、プライド・・・そんなものは一切傷ついていない。
むしろ・・・・こうなることで、また強くなれる・・・・。

考えこんでいたようなルーファウスの顔が、にわかに変わったのをレノは確かに感じた。
どこか諦めたような色を浮かべていた先ほどとは違う・・・・。
目に、表情に力がみなぎったのを、レノは確かに感じた。
何が、彼をそうさせたのかは分からないが・・・レノが思わず姿勢を正したくなるような変化だった。
そして、
「レノ、それは当たり前だ。お前も、ルードやイリーナも・・・・そのために存在しているのだから」
不敵に口元を上げたルーファス・・・レノはそれを見て、はっとした・・・。
そして、自分が愚かしい言葉を発していたことに気付き、自身を諌めた。
ルーファウスという男の居場所を、あらためて思い知らされたような気分になった。
そう、彼が・・・彼こそが、自分の上司・・・いや、主君といってもいい・・・。
レノは胸にくるものを感じながら、ルーファウスにあらためて向き直り言った。
「まかせてくださいっと・・・」
その言葉はいつものようにどこか不真面目な口ぶり・・・しかし、いつもとは比べ物にならないほどの真剣さを含んでいた。

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