スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

探偵役

ヒムアリ 小説家と同じようなかんじでウザイ。 学生
「はい」

彼は私に手紙を渡す。

「ん」

ゴムで束ねられたそれは、全てが淡い暖色系の色をしている。
可愛らしい。
そんなこと思いつつ、数を数えると、5通あった。
ちょうど、片方の指の数とおんなじ。
一応、私の思い人の名前が無いのを確認してから、あらためて一通一通を手に取る。
かさかさと、手紙を振って、中に刃物が入っていないことを確認。
一度、これで痛い目にあったから、この確認は大切だ。
ふんふんと、鼻歌を歌いながら、厚さを確認し、

「えい」

ばりっと真っ二つに破る。
それをあわせて、もう一度。
それ以上は厚すぎるので、半分に分けて、もう一回真っ二つに。
3センチ四方になるまで、何度も破く。
時々、便箋に書かれた丸っこい文字が見えるが、あえて気にしないことにして。
とにかく破る。
破り終わったものはくずかごに入れる。

ふんふんと鼻歌歌いながら、次々に破る。
横顔に、火村の視線が当たっているが、とりあえず気にしない。
そうそう。破いている間に、少し説明しておくと、私が今、破いているものは火村がもらったラブレターだ。
まったく、性格は世界の底辺ってくらいに悪いのに、この男ときたら顔と頭だけは相当にいい。
だから、もてるのは仕方なく、一週間に一度ほど、こうやって私が処分をしてやっている。
“読んだから破っといてくれ”
との言葉に、最初は、気持ちの詰まったものなのだからとっておけと返していたのだが・・・
いつのまにか、こういう習慣がついてしまった。
だが、一体、何故私がこんなことしなきゃいけないのだろう?
何度も浮かび上がってはうやむやになっていた疑問が、あらためて頭に浮かぶ。

最後の一枚を紙ふぶきのように変えて、

「なんで、自分で始末せぇへんのや?」

と聞いたら、

「そりゃ、俺へのラブレターをお前が破くところを見たいからだろう?」

といった。

ふーん。
よくわからん。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。