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プロセス

まぁた、振られてしもうた

俺の部屋に入ってきたアリスはそういってニッコリと笑う。
それは、どう見ても振られたような顔ではなく、どちらかというと上手くいったというような表情なのだが・・・彼の場合は違うらしい。
その証拠に、ホッペタには赤い紅葉がある。つけられて間もないものなのだろう。
くっきりと痛々しく浮かび上がっている。
「そうか」
一言つぶやき、彼が付き合っていた女を思い浮かべる。
たしか、一つ下の髪の長い女だったはずだ。
真っ黒でまっすぐな髪の和風の・・・アリスには不釣合いなほどの美人。
そう、そういえば確かに少し気が強そうではあった。
「なに?」
「いや、今度こそ本気なのかと思ってたから」
美人で大人っぽい彼女の横にいると、アリスはやけに幼くみえたものだ。
彼女の隣でデレデレになっていたコイツの姿を思い出しながら言うと、彼はけろりとした表情で
「本気やったよ」
と返した。本気だったやつが・・・振られてこんなに明るい顔を出来るものなのか?
「その割には平気そうだな」
俺の言葉にアリスは俺の正面に座りながら笑う。
「冷たい奴やって思った?」
「そこまでは思わないが、涙くらいは見せるかと思った」
校内をよく二人でいちゃつきながら歩いていた二人。
理想のカップルだなっと友人たちに揶揄されるような二人だった。
もちろん、うらやましいとはちっとも思わなかったが・・・それでも似合いだとは思っていた。
付き合って、大体2ヶ月ちょっとというところか・・・?二人の間に何があったのかはしらないが・・・。
「まぁ・・・本気やったけど・・・」
いいながらアリスは俺が飲んでいたビールに手を伸ばす。
「けど?」
汗をかいたビール缶をを口に運び、半分ほど残っていたそれを全て飲み干す。
口の端からこぼれた雫を、ぐいと腕で拭き、それから
「本命やなかったし」
本気だけど、本命じゃない・・・?
「初耳だな・・・」
「そりゃーいうてへんもん」
もう一本もらうで・・っと彼はいい、腰を上げると冷蔵庫を開ける。
「しかし、お前に本命がいながら他の女とくっつくほどの甲斐性があったとはな」
「あ、この肉じゃがの残りもろていい?」
冷蔵庫の中を物色しながら言う。
「あぁ」
ラッキーっとアリス。
「んで、なんやったっけ?」
ラップをした肉じゃがの皿とビール缶を二つもち、アリスが冷蔵庫の扉を足で閉める。
「甲斐性だよ。お前の」
「あぁ、それな。まぁ、俺自身も意外やったんやけど、まぁプロセス?みたいなもんやし」
プロセス・・・?過程・・・
あぁ、それで分かった。
「なるほど、慰めてもらえる予定だったわけか」
言うと、アリスはきょとんとした顔をしたあと、そういう手もあったかと唸った。
「おぃおぃ・・・。」
「冗談やて」
「だが、俺のトコにきたってことは、そのプロセスってやつも失敗か?」
ニヤリと笑って言うと、アリスもまたニヤリと笑った。
彼がこんな笑い方をするのは珍しい・・・。思わず訝しみ目を細める。
「いや、君のトコにきたんは、プランに組み込まれてる。」
プロセス・・・過程に・・・プラン・・・計画ときたか・・・。
俺はあきれて、煙草に手を伸ばした。
「ま、最初のプランはどうやら失敗やったけど」
「ん・・・?」
「君が、作戦その2を考えてくれたから、そっちでいくわ」
「?」
どうも、会話が上手くかみ合っていないと、正面に腰を降ろしなおしたアリスを見る。
すると、アリスはニッコリと笑っていった。

「慰めてくれ。火村」

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