スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

創生主 02

が・・・学生で・・・。
アリスがやってきた。
いつものように、何の連絡もなしに。
いつものように、へらへらと笑いながら。
シルクハットをかぶって。

シルクハット・・・?

「それは一体何のつもりだ?」
高さ30センチものそれをかぶったアリスは部屋の入り口で一度立ち止まり、それから大きくお辞儀をするようにして中に入ってきた。
そして、ちゃぶ台の前に座ると、黒光りするそれを両手で脱ぎ、くるりと反転させて膝の上にのせる。
「アリス?」
「ん。今度の学園祭でな。俺、マジシャンやるねん」
「ふぅん・・・」
「もちろん、タネも仕掛けもなしのな。」
言って、彼はにっこりと笑う。
彼の特技をよく知っている俺は、それにほんの少し目を細めた。
「本番は燕尾服もきるねんで。」
蝶ネクタイしめてな。
俺はアリスがそんな姿をしているのを想像して思わず笑ってしまった。
似合うというか・・・いや、ある意味にあうのだろう・・・だが、どう考えてもそれは七五三・・・いや、結婚式で無理やり正装させられた子供。
「なんやねん」
不機嫌そうに彼は口を尖らせるが、その仕草がまた子供っぽい。
「お前にはバニーガールの方が似合ってるんじゃないか?」
言うと、アリスは、思ったとおり、ますます口を尖らせる。
「それはマリアがやるんや」
「へぇ。そいつは楽しみだな。」
「やろ。マリアはこれからダイエットやってはりきっとったわ。」
そんなに太ってへんのになぁ、なんでダイエットなんてするんやろ・・・そういうアリス。
“そんなに太ってない” の “そんなに”・・・っという部分が余計なのだ・・・と思うが、俺は口にしない。
そんなことを口にすれば、色男はうんたらかんたら・・・っといやみったらしく言われるのがオチだ。
上目遣いににやにや笑いながら。
「火村~。ハンカチくれ。ハンカチ。」
「ハンカチぃ?」
「うん。ハンカチ」
「何すんだ?そんなもん」
「あーもー、ええから。あ、これ。このタオルでええわ」
アリスは言いながらすぐ傍に落ちていたタオル(台拭き代わり)を手にとると、シルクハットの上に広げた。
そして、右手をその上にかざし、
「ちちんぷいぷい」
呪文を唱え、ゆっくりとかき回すように動かす・・・っと。

コトリ・・・

そのシルクハットがひとりでに動き出し・・・
白いタオルの中から何かが押し出されるように盛り上がった。
「おい・・・アリス・・・・」
アリスはちらりと俺を見上げ、それから重そうにシルクハットを抱えなおし、ちゃぶ台の上に置いた。
ゴトリ・・・と結構な重量をもったそれ。
アリスはおもむろに白いタオルをとった。
「大成功~」
俺はその中に居るものを見て、思わずため息。
その中にいたのは・・・寿司詰め状態の・・・・
アリスは、一匹を手に取る。
兎。
次から次へと。
白、茶、黒、ブチ、灰色、耳のたれたの、毛むくじゃらの、耳の短いの、ねずみみたいに小さいの、そしてやたらとでかいの・・・。
出てくる出てくる・・・。
そして、そのバリエーションの多いことに俺は驚いた。
ウサギってやつは・・・こんなに種類があったのか?
「あはは。かわえ~」
アリスは三匹ほどを抱え込み抱きしめる。顔を半分ウサギに埋めて。
「ふかふかぬくぬく~」
っと心底幸せそうな顔。
ウサギはもぞもぞとしているが、それが嫌がってのことなのか・・・それともくすぐったいのか・・・俺には判断がつかない。
ウサギってやつは鳴かないのだ。(いや、もしかしたら俺が知らないだけで鳴くのかもしれないが)
いや・・・そんなことより。
俺は部屋を見渡す。
1・・2・・・・・・・6・・7・・・・10。
「創りも創ったり・・・。」
唸った。
もそもそと動くぬいぐるみが10体。
殺風景だった俺の部屋が・・・何故かファンシーに見えて仕方がない。
俺は大きくため息をついた。
「どーすんだ?これ。」
つぶやきに返ってきたのは蕩けそうなアリスの言葉。
「俺、鼻血でそうやぁ~」
・・・・勝手に出してろ。

翌日の早朝、俺たちは、一人五匹ずつを抱え、小学校へ(引き取ってもらうために)歩くのだが・・・それはまた別の話。

「なぁ、火村、もっかいやってええ?」
「ダーメ」

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。