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隸たるは

悪魔系。
午前2時。
いわゆる丑三つ時。
私は、郊外の霊園にいる。
広い、そして、どこかじめじめとした霊園には、沢山の十字架がある。
くずれかけたものや、折れたものも多く、風化したものもある。
古い霊園だ。
私は真っ黒な黒装束・・・いや、神父服を着ている。
だが、私の胸元に十字架はない。
死者を慰めるために来たのではない。
どちらかというと真逆だ。
私は、スコップをもって、墓を掘り返しているのだから。

「ふぇぇぇ。火村ぁ、もうおうちに帰りたいぃ~」
私は、スコップでザックザックと土を掘りながらわめく。
「ダーメ」
それに応えるのは、少し離れたところにいる男。
崩れかけた白い墓標に優雅に腰掛けていらっしゃる。
黒いタキシードに赤い裏地の黒いマントというものすごい格好をしているこの男は・・・・何を隠そう・・・というか、隠れていらっしゃらないが、悪魔な人なのです。
「大体、お前が呼び出したんだから責任を取れ」
っと、冷たい言葉。
というわけで、私は泣く泣くスコップを振るいます。
何故こんなことになったのかというと、少し話は複雑になりますので、手っ取り早く説明します。
私は、とある古い教会に派遣(?!)された新米神父でした。
その古い教会は、古いだけがとりえというような、ほとんどあばら屋の状態。
私は、数日間、掃除に忙殺されたのです。そして、その教会の奥の部屋で見つけた、古い本。
なんとそこには、悪魔の召喚方法なるものが書かれているではありませんか。
私は、興味津々、掃除をほっといて読みふけりました。
月食の夜に、魔方陣だの、生贄だの・・・・っと書かれているそれを一晩で読みました。
そして・・ほら、人間って知識を持ったらそれを使ってみたくなるじゃないですか。
本当は処女の生贄がひつようだったのですが、それは、肉屋にうってあったターキー(レンジャーじゃないよ)とペンキで代用。
死者を燃やした灰は石灰で代用。
人間の左目、3個はピンポン玉で代用。
子ネコの臓腑は、いらなくなった自転車のチューブを代用。
他にも沢山の代用品を使って、やってみたわけです。
そしたら、出てきたのがこの男。
っというわけです。はい。名前は火村らしいです。(変な名前ー。まぁ人のこと言えないのですが)
そして、私は、墓荒らしをしております。いや、させられております。
神父にあるまじき行為ですが、仕方がないのです。
呼び出したか~らには、ちゃんと身体を用意しろといわれたのです。(本当は、彼を宿すための生きのいい死体も必要だったのです)
「しっかし、君もよく代用品だらけで召喚されたなぁ~」
っと私は思い出しながら思ったことを口にしました。
すると鋭い視線。
「あたりまえだ。お前じゃなければ、召喚などされてたまるか」
「ん?火村、君、俺のことしっとるん?」
聞き返したら、彼はあからさまにしまったというように舌打ちをした。
「ぉ、いい反応」
にやにやとしてみれば、
「・・・くそったれ神父、さっさと俺の身体をよこしやがれ!」
っと腕を振ったかと思うと。いきなり私のすぐ傍に雷撃がおちてきたりするわけです。
ちなみに、彼、私からはよーくみえるのですが、まだ実体をもっていないのです。
つまり幽霊さんの状態なのです。
本当はさっさとお帰り願いたいのですが、その方法が分からないのです。
昔からよく言われたものです。もう少し後先を考えて行動しろと。
思えば、あの4歳の頃・・・近所のお兄ちゃんに誘われて・・・
「さっさとしろっつってんだろ・・・?アリス・・・?」
地を這うような声に、私は過去ログ(?)へと沈みそうだった意識を急浮上させました。
まったく、人使いの荒い悪魔です。
いやなやつだ。
ちらりと見て、彼がこちらをみていないのを確認すると、舌を思いっきりだしてやりました。
けど、思いっきり過ぎて、両目をつぶっていたものだから、目を開けたときにはばっちりと彼がこっちをみていたりする始末で・・・。
神父に睨みきかせんじゃありません。
全く。
「いや、悪魔やからしゃぁないんかな」
「なにがだ」
手を動かせと目が言っている火村(悪魔)。だが、私はつとめてそれを無視して話を進める。
「いや、やから、君にとって俺って宿敵なんやないかと・・・」
言うと、彼のその険しい眉間の皺が一瞬とれた。
そしてひどく不機嫌そうにそっぽをむく。
あら、可愛らしい。
「ぉ?なんなん?その反応。ツンデレか?」
にやり、笑った途端、何処からとも無くタライが落ちてきましたよ。
でかいです。
直径1メートル近くあります。
そして、痛いです。
「全く・・・・本当に忘れてやがるンだからな・・・・ボケアリス・・・」
ぐわんぐわん頭の中が鳴っている間、悪魔は何か言っております。
頭もぐらぐらです。
このまま気を失っちゃおうかしら・・・そう思ったときでした。
悪魔が言いました。
「さっさと掘れ!」
悪魔は非情でした。
ちょっぴり涙が出ます。
「ううう・・・酷い・・・神父いじめや・・・・。大体・・・・こんな墓ほったところで出てくるんは腐った死体やで?
 臭くてドロドロになっとるわ。蛆やってわいとるかもしらん・・・うぅ怖いぃい・・・」
「はぁ・・・大丈夫だよ。お前は棺を掘り出せばいいんだ。」
「んで、何するん・・・。魔王としてこの世界に君臨するとか・・・」
「いわねぇよ。だからさっさと手を動かせ。」
「ううう・・・この悪魔怖い」
「いいからさっさと手を動かせ・・・。」
ううぅ・・・。私は涙を流しながら墓荒らしを続けます。
「そうそう。そうやって黙って言うこときいときゃいいんだよ。アリスは」
「どういう意味や・・・・」
「そのうち分かるさ」
その悪魔は、にやりと笑います。
牙がきらりと光ってとってもいやらしいです。
こんなことなら真面目に聖書の文句の一つでも覚えておけばよかったと私は思いました。
もちろん、後の祭りなのですが。

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