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不覚の者

オチがミエミエ
テーブルに散らばったファンレターを集め、アリスはトントンっとそれをそろえた。
ふと見ると、一通だけその束から分けられているものがある。
気になって俺が手を伸ばすと、触れる前にアリスの手が伸びてきてそれを取った。
「何だよ。ラブレターか?」
アリスの行動を揶揄していうと、彼はアホと返した。
「こいつは」
そういって白い封筒をひらひらと振ってみせる。
「熱烈なファンからのやから、別にしとくんや」
「へぇ。そいつぁ奇特なファンだな。」
俺の言葉に、いつもならほっとけという言葉を返すアリスがそのときは何故か、そうだなと肯定した。

そのときは全く気にもとめていなかった。
だが・・・
もし、あの時、俺が“みせてみろよ”といってその手紙を読んでいたら・・・
こんなことにはならなかったのだろうか・・・?

アリスが重傷・・・。
その知らせを俺は授業中の教室で受けとった。
事務の男が小さなノックとともに教室に入り、小声でそれを告げたとき、サーッと血のひく音を俺は確かに聞いた。
“大阪府警”だの“夕陽が丘”だのという言葉が断片的に聞こえてきたが、全く理解できなかった。
「大丈夫ですか?顔が真っ青ですよ」
ようやく頭に入ったその言葉に、我に返った俺は、その男を突き飛ばすようにして走り出した。
廊下を全速力で走りぬけ、研究室から上着を掴み取ると、駐車場へと急いだ。
鍵を、鍵穴にさそうとして、俺は自分がひどく震えていることに気がついた。
ガチガチと手が震え、鍵穴に鍵を入れることが出来ない。
それを無理やり押し込むようにして鍵を開け、エンジンをかけようとして、またそれがなかなかうまくいかないことに俺は苛立ち、ハンドルを殴りつけた。
心臓が耳元に移動したかのように鼓動が煩い。
―落ち着け!―
このままでは自分が事故を起こしかねないと、自分を落ち着かせるために、上着にいれておいた煙草に手を伸ばした。
しかし、その煙草のケースもまた何度ふっても1本もでてきやしない。
悲しくなるほど動揺している自分に苛立ち、煙草を放り出した。
そして、愛車から飛び出すと、タクシーを捕まえるためにまた走り出した。

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