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花天月地 4

「あぁ・・でも、ちゃぁんと、表に来てくれなあかんよ?」
「表?裏庭にはだめってこと?」
「せや。裏庭はあかん」
「どうして?」
聞くと、アリスは、また、といってクスクスと笑った。
「裏庭の花は枯れんからな。」
枯れない花?意味が分からない。
「裏庭の花は、ぜぇんぶ赤くて黒くて・・・枯れへんのや。可愛そうに・・・」
「可愛そう?」
「そう。花は飲んでやらんとあかん」
そういって、アリスはカップに目を落とす。お花のお茶がはいったカップ。
「どうして?」
またしも、そう聞いた俺に、アリスはお茶を一口飲んでから口を開いた。
「君はほんとに知りたがりやね。裏庭の花は枯れないからお茶にも出来へん。
 お茶になれないと飲むことが出来へんやろ?それはめっちゃかわいそうなことなんや。
 裏庭に咲いてしまった花は、彷徨ってるってことや。わかるか?」
本当はわかるわけがなかった。
だが、ここで分からないといってしまえば、会話が終わってしまうようで、俺は思わず頷いた。
「俺の仕事が何かわかる?」
「・・・・アリスは無職だろう?」
俺が思ったままをいうと、アリスは一瞬呆気にとられたような顔をして、ついで笑い出した。
「だって・・・!会社にもいってないし、いつもここにいるじゃないか!」
「あぁ・・・そうやな・・・」
そういいながら涙を流して笑うアリスを睨むと、アリスはちょっと待ってくれとでもいうように手のひらを俺に見せた。
「あぁ・・・おなかいた・・・」
「・・・・・」
「すまんかったな。そんな風に見られとるとはおもっとらんかった」
「・・・・で?アリスの仕事って?」
「俺の仕事はな。咲いた花の話をきいてやって、7週間後に摘み取ってお茶にすることなんや」
「・・・・は?」
それが正直な感想。
いや、誰だってそう思うだろう。
そんな仕事聞いたことが無い。そんなことに給料払うバカなんているわけがない。
が、
「ええやろ?」
っといわれると、その通りなので頷くしかない。
なんとも簡単そうな話に思えたのだから。
「けどなぁ、一人やとけっこうこれが大変なんやわ。やから、君が来てくれて結構たすかっとったんやで?」
アリスは言いながら手を伸ばし、俺の頭をぐりぐりと撫でた。
普段なら鬱陶しく感じるその手が、なんだかとっても気持ちよくて、俺は甘んじて受けた。
「あぁ、そうや。分かった」
「何・・・?」
アリスは突然、いいことでも思いついたように、手をぱちんと叩いた。

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