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花天月地 3

「なんで泣くんや・・・」
「だって、アリスと会えなくなる・・・」
「あぁ・・・そうか。そうやな」
「アリスは寂しくないのか?」
聞くと、アリスは戸惑ったように見えた。
「そら・・・君と会えなくなるんは寂しいけど・・・もどってきてくれるし・・・」
俺はその言葉が分からず、小さく首をかしげた。
「戻ってくる・・・?」
「え・・あ。そうや」
っと、何故かバツが悪そうにするアリスは、どうみても寂しそうには見えなくて、自分だけが寂しいのかと思うと、悲しい気持ちになった。
「困ったな・・・一体、どうして泣くんや?」
「アリスと会えないからじゃないか」
半ば自棄を起こしていった言葉も、何故かアリスには届かないようだった。
「俺と会えなくても平気なのか?」
そんな言葉を言ったら、アリスは困ったように笑った。
それでますます俺が落ち込むのだが、アリスには分からない。
「アリスは冷たい」
そういっても、アリスは微笑んだままだった。きっと、俺の言葉が理解できなかったのだろう。
俺の心はひどく傷ついたようにおもう。だが、だからといって、この場所を飛び出すのは惜しかった。
なにより、彼とはお別れが近いのだ。
もう話すことはできない。もう一緒にお茶を飲むこともない。
なのに、平気そうに笑うアリス。
とても悲しくて、裏切られたような気分を味わっていながら、どうしてもアリスを嫌いにはなれなかった。
「そう、泣いとらんで、一緒にお茶のむか?」
いつものように言うアリスに俺を少しだけ俺は恨んだ。

いつものようにお茶を入れ、カップを俺の前に置く。
今日のお茶は、薄いピンク色をしていた。
「それはたった2年で咲いてしまった花なんや」
少しおかしな言い回しだと思ったが、俺は何もいわなかった。
いつものように口をつけると、ミルクのような味がした。
「おいしい・・・」
言うと、いつものように、やわらかくアリスは微笑む。そして、
「君と、お茶をのむんも最後やね」
っと、平気でそんなことをいうのだ。俺が思わず俯いてしまったのにも気付かない。
ただただ、幸せそうに微笑みながら、口にカップをつける。
「君は一体、あと何年で咲くんやろうね」
ぽつりと言った。
「どういう意味?」
聞き返すと、にっこりとまたアリスは笑った。
「君が咲くまでの時間」
「咲く?」
もう一度聞きなおすと、彼は表の窓に視線を向けた。
そこには7週間咲き続けるという個性的な花々が見えた。
「どういう意味なの?」
「君もその内わかる。そのうち・・・帰ってきたら教えたる」
「そのうち帰ってくる・・・?」
アリスは時々謎な言葉をいっていたが、その日のアリスは特によくわからなかった。
「そう。何年かたって、此処に帰ってくる。できれば長くたってからのほうがええな」
「どうして?すぐに会いにきちゃだめなの?」
俺はアリスの横顔を見ながらいった。
「だめってことはないけど、できれば長くあわんほうがええとおもう」
「どうして?」
「さっきからそればっかりやな。君は」
そういって、アリスは視線を俺に戻して楽しそうに笑った。
「そんなに不思議がらんでも、時がきたらわかるようになっとるんや。
 みぃんな、ここに来るようになっとるんやからな」
「でも・・・此処にはアリスだけじゃないか」
俺の反論に、アリスは直接こたえずに、また窓の外に目を向けた。
温かい春風が吹き込む、個性的な庭。

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