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サジタリウス

昔オリジナルで考えてたもの
構想だおれしたもの
16歳でオリンピックにクレー射撃で初出場。
2大会連続で優勝を飾っていたドイツ人の男をあっさりと抜き去り、鮮やかな金メダルデビューを飾る。その後、国内、国外ともに敵無し状態。
機械よりも正確なスナイピングで、クレー射撃の他にライフル射撃でも他に追随を許さない。
二十歳のときに、オリンピック2競技6種目に参戦、その全てで金メダルを掻っ攫うという快挙を成し遂げる。その後、活動の場をドイツに移す。
三大会連続となった、二十四歳での出場時において、敵はもはや、以前の自分の記録となった彼は、以前の自分の記録すらあっさり塗り替え、その技術の高さに人は「魔弾の射手」「サジタリウス」とはやしたてた。

そして、彼が二十五歳になったとき・・・。
彼は忽然としてその姿をメディアの前から消した。
世間は一時期その急な展開に驚き、報道合戦が行われたが、一ヶ月の後、メディアは何かの圧力をかけられたかのように一斉に沈黙した・・・・。

「スカウト・・・?」
アリスはその男を見て、驚いたように目を見開いた。
普段、アルバイト代わりに手伝いをしているパン屋からアパートメントに帰る途中のことだった。
いつの間にか、男が後ろからついてきていて、呼び止められて振り返ってみれば、影のように真っ黒な男が立っていたのだ。
高級そうな真っ黒なヴァレンチノのロングコート・・・いや、全身ヴァレンチノか。一分の隙すらないほど決まっている。アリスが嘲笑するような種類の服装ではあったが、それが道化に見えないだけの背丈と程よい肉付きときては・・・非のうちようもなかった。
「そうだ。お前の腕を見込んでのことだ」
アリスと同じ東洋人の男はそういった。低く響く、いい声だ。
「俺の腕?」
アリスは一瞬何を言われたのかわからなかった。そして、何気なく自分が抱えていたパンの入った包みをみると、男が苦笑する。
「まさか、パン屋の手伝いをしているとは思わなかったが、そっちじゃない」
「せやったら・・・あぁ・・・ライフルのほうか。いっとくけど、プロになる気はないで」
プロになると、収入も大きく増えるだろうが、しがらみの方が面倒でプロにはなっていない。
アリスの反応に男は喉の奥で心底おかしそうに笑った。
おかしなことを言ったわけでもないのに笑われるのは心外で、アリスは少しムッとした。
「いや、悪かった。俺を正規のスカウトマンだと思い込むなんてのは、予想外だったんでね」
「なんや、正規のスカウト・・・・・・・」
問いかけようとして半ば、アリスは自分でその答えに思い至った。
アリスの顔が次第にこわばっていったので、相手の男のほうも気がついたとわかったらしい。
「思ったより察しがいいな。アリス」
「・・・・勝手に人の名前よばんといて」
「俺の名前は、火村だ」
名前を教えろといったのではないと言おうとしたのだが、これ以上会話を交わす義理はないと、アリスは踵を返す。っが、一歩歩き出す前に、腕を掴まれた。
「ちょっ・・・」
「先月・・・」
抗議をしようとしたが、先手を打たれ、アリスは出鼻をくじかれる。
「先月・・・?」
「同じようなことがあっただろう?」
アリスはそれにわずかに口を開いただけで何も答えなかった。
だが、男はそれで満足したように口の端に笑みをたたえる。
確かに、先月に同じようなことがあった。この男のような風体ではなく、もっと砕けた感じのイタリア人だった。おかしな日本語で親しく話しかけてきたかと思ったら、一緒に商売をしないかと持ちかけてきたのだ。そのときは、笑いながら断ったが、次の日に、今度は数人で現れた・・・。どこの国でもそうなのかしらないが、黒い高級車でパン屋の前に乗りつけ、ノリのきいた黒い背広の数人は、アリスを店の外に連れ出そうとした・・・。そのときはパン屋の主人の機転でうまく逃げられたのだが・・・。
「あの連中、あれから、お前の前に現れてないだろう?」
「なんで・・・?」
そう、あのあとも、アリスは警戒していたのだが、なぜかピタリとそういうことは収まった・・・。
火村という男は目を細めて笑った。
「俺たちが、手を回したからさ。先に目をつけたのはこっちだったんでね。」
「先に目ぇつけたって・・・」
「ついでにいえば・・・あんたの日本の家族も守ってやったんだぜ?」
「なっ・・・」
絶句するアリスに火村は余裕の表情で続ける。
「あいつらがそんなに簡単に諦めるわけないだろう?
 なんたって、「魔弾の射手」「サジタリウス」だ。手の内に入れればこれほど力強いものはない」
やはりそうなのだと、アリスはこのときに確信した。
自分の腕を買う人は何も、スポーツ選手としてだけではない・・・。
「大丈夫さ。あんたの家族は無事だ。こっちのもんを数人張り付かせてる」
火村の掴んだ腕が痛い。
「俺に・・・・スナイパーになれいうんか・・・?」
罠に落ちた獲物を見るような残忍さを含んだ笑みを火村は浮かべ、アリスは反対に小さく震えた。
「アリス、お前にはうちの組織のお抱え暗殺者になってもらう」

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