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らっしゃいノームランド 12

そろそろ他キャラに視点あてるのもいいな とおもったりした。

「ミシェルは少し前に拾ったんだ」
と、ディーは言った。
「このバカ、まだ初心者のくせにブラッド・ハウンドに手を出しててさ」
「だってあれは!…アイツいきなり仲間呼ぶから」
ミシェルが不満そうに頬を赤く染めると、ディーは肩をすくめ、
「バカ野郎、ブラッド・ハウンドはそもそも群れで行動すんだよ。単独でいるのを見てチャンスと思うのは素人だけだ」
ミシェルを小突いた。
「っで、助太刀してやってからパーティ組んでたんだよ」
「そう!そうなんだよ!だからいきなり横からやってきてディーを取ろうなんて無理なんだから!」
噛みつくミシェルに、困ったようなディー。
的場はだんだんと事情が飲み込めてきた。
的場がヤザリを見ると彼は「しかしなぁ」と口を開いた。
「昼間の話した限りじゃ、ディーは納得しとるようだぞ?そうだな?ディー」
「ん?あ、あぁ」
「そんなの!僕が納得いかないよ!!だってディーは僕に面倒見てやるって言ったじゃないか!」
「いや、まぁそれは…事情が変わったんだよ」
「なんだよ!ディーは僕より、こんなガキがいいわけ?!」
頭をかくディーにミシェルは顔を真っ赤にして怒鳴った。
的場は「いや、そんな問題かよ」と小さく呟いたが、幸いなことにそれはミシェルには届かなかったようだ。
「絶対、僕は嫌だからね!認めない!パーティ組んでるんだから、それくらい言う権利あるんだからね!」
「いや、しかしなぁ…」
ディーはため息をつき…しかし次の瞬間しゃきっとした顔をしてミシェルをみた。
「これは俺個人への依頼で、そして俺はそれを受ける。だから悪いが、ミシェルに、お前とのパーティはこれまでだ」
「ふざけんな!」
「ふざけてなどいないさ。これでコンビは解消だ」
ディーがきっぱりと言い切ると、強気だったミシェルの表情が崩れ捨てられた子犬みたいになった。
「そんな…そいつのがいいのかよ」
「そういう問題じゃないって」
肩をすくめるディー。
「……あの」
涙を堪えるように下を向いてしまったミシェルを見かねて声をかけたのは的場だった。
「ミシェル君だっけ。あの、もしよかったら、君も一緒にいかない?」
「えっ」
「おい」
的場の言葉に驚いたように顔を上げたミシェルと、不満そうなディー。ヤザリは黙っているが、しかし賛成という表情はしていない。
「あの、ダメですか?」
「それは私に聞くことじゃないな。ディー」
ヤザリに話を向けられたディーはかなり渋い顔だ。
「俺は…やめといた方がいいと思うな」
「どうして!」
噛みつくように言うミシェルをなだめながら、ディーはヤザリと的場を交互にみながら口を開く。
「理由は三つだ。一つは旅の理由。一つは機密保持。一つはろ銀だ」
簡潔に述べたディーにヤザリは納得し、的場もなんとなくわかった。
一つ目の旅の理由とは、これが物見遊山などではなく、逃亡の旅になる可能性を秘めた危険なものになりかねないということ。
機密保持とは、的場の力のこと。これはミシェルが口が軽いというわけではなく、秘密は知るものが多くなると必然とそれが漏れやすくなるという原則をいっている。
そして三つ目は、一つ目の旅の目的にも関係するが、のんびり金を稼ぎながら旅ができるとは限らないという意味であろう。
的場はそれらについては一応納得したが、しかしミシェルの泣き出しそうな顔を見ると、彼に加勢をしたくなる。
的場はまとまらないながらチラリと唇を舐め口を開いた。
「でも、デメリットばかりじゃないと思いますよ」
「というと?」
「ディーさんは、ミシェル君を一人前にするって約束したんでしょ?だったら、その約束が果たせるじゃないですか。それに…今日俺は…えっと…あることをするために人目がなくなるのをずっと待ってたんです。でもそれだって人の目をそらしてくれる人が他にいたら、もっと早く目的を達成できたと思います」
それから…
もごもごと言う的場。
ヤザリはそんな彼を優しい目で見つめ「そうだな」と相づちを打った。
「確かにデメリットばかりとは言えんな」
「ヤザリさん」
「確かにもう一人旅の道ずれがおれば、偵察やなにやでディーが的場の元を離れる場合に的場が一人になる可能性が低くなる。それに的場には近い年齢の友人も必要だろう。どうだ?ディー」
「って、どっちの味方ですか」
唸るように言うディーに、ヤザリはくつくつと機嫌良さそうに笑った。
「まぁ、決めるのはディーだ。お前が無理だというならそれ以上はいわん」
そうだな、というように視線を向けられた的場は固い表情で頷き、ミシェルは検眼する瞳でディーを見た。
「あぁ、くそ。わかったよ」
そして結局はディーは折れた。
「ほんと?!連れていってくれるの?!」
「あぁ。ただしミシェル。お前はこれまでみたいに勝手な行動をとらないことが条件だ」
「そんなの!うん!わかったよ」
満面の笑みを浮かべるミシェルは子供タレント顔負けに輝いていて、的場はこっそり彼に見惚れてしまった。
「それから!依頼の内容と的場については時期がくるまではミシェルには秘密にしておく。いいな?」
ディーの言葉に一瞬不満そうな表情を見せたミシェルだが、ディーと一緒にいけるならとその表情をすぐにもとに戻した。
「ま、仕方ないかな。でも僕がちゃんとやれるってわかったら教えてよね」
そして的場の視線に気づくと、不機嫌そうな顔をつくりギロリとにらんだ。
的場はそんな彼に苦笑する。
的場は見た目こそ十歳の子供だが、実年齢はもう立派な大人だ。
それくらいで機嫌を損ねたりはしない。むしろ、きっと大好きな兄をとられたような気分なのだろうと、ミシェルの態度を微笑ましいとすら思った。
「まぁとにかく食べよう。ヤザリさん、あんたはまだこの町にいるんだろ?」
「そうだな…」
ヤザリはディーに聞かれて髭を撫でた。
「どうしたもんか。ディー。お前はいつメルヴィルをたつつもりだ?」
「そうだな。なるべく早くがいいんだろうが、ギルドから請け負っている依頼はこなしておきたい。的場の準備もあるだろうし…三日後あたりかな」
「まぁ妥当なところか」
二人の会話をミシェルと的場は興味深そうに聞いてはいたが、自分達には口を挟めそうにないと判断すると目の前に並べられた料理に手を伸ばすことにした。

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