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らっしゃいノームランド 11

よ、ようやく主要キャラが…

的場はエリーと長々話したあと、門へ行きギルドのカードを示したあと、この街にあるという精霊樹の元へ足を運んだ。
ちなみにメルヴィルには3本の精霊樹があるらしく、一つは街の中心付近、一つは総督府内、最後の一つはこの世界の人々が広く信仰しているハトゥリヌス教の教会近くにある。
街の中央にある精霊樹は大きく立派で、またまわりは人々の憩いの場になっていた。
精霊樹の力はここでもかなり弱くなっていたが、最初の街の精霊樹ほどではない。
的場は魔法をかけたいと思ったが、衆目の中で魔法を使うのはよくないと我慢をし、教会の方へと向かった。(総督府には入れないだろうと最初から行く予定はない)
教会は街の東側にあり、大きな敷地を持つ白亜の荘厳な建物だった。
教会の正面は広く開かれており、誰もが自由に出入りができるようになっている。
中に入るとキリスト教の教会のように左右に椅子が並べられており、正面奥に祭壇があった。祭壇には的場がまるで七福神だと感想をもった七体の神の像と、後ろに大きな精霊樹の像がある。そして両側は回廊のように両側には円柱が立てられているだけで壁がなく、広々とした庭に出られるようになっていた。
教会には何人かの市民の人々とともに、一目で聖職者とわかる人たちがいた。
的場は見よう見まねで形ばかりの祈りを祭壇に捧げると、庭の方に出た。
すると先程の教会の奥に神殿のようなものが見えた。
どうやら奥の神殿こそが、本物のハトゥリヌス教の神聖な場であるらしい。
そちらにも的場は興味をひかれたが、本来の目的は精霊樹だ。
精霊樹はどこに…と、的場は広い庭園を見回した。
整えられた芝生に切り揃えられた植木、咲き誇る花壇、人工的に作られたらしい小川に噴水。
「すごいなぁ」
入場料をとられてもおかしくないほどに立派な庭だ。
そこには散策を楽しんでいるらしい人や、ベンチで読書をしている人、庭の手入れをしている人がいる。
だが、そのすべての人がひっそりとしていて、マナーの行き届いた図書館にいるようだと的場は思った。
そして…
「あった」
的場はしばらくして目的の木を見つけることができた。
他の木々に紛れるようにひっそりとたつ精霊樹は、知らなければ見逃すほどに凡庸な見かけをしていた。
しかし…
「すごいな」
的場には他とはまったく違って見えた。
何しろ、他が一様に色身を失っているにも関わらず、この木にはまだ力がある。
弱っているし、けして力強いとはいえないが、それでもまだ精霊樹としての威厳を感じさせた。
「教会にあるせいかな?」
的場は祭壇を思い出しながら小さな手で幹にふれた。
すると、気のせいかも知れないが精霊樹の力、エナジーが自分に流れ込んでくるような気がした。
彼はしばらく気にふれたままじっとしていたが、やがて「どうしようかな」といって辺りを見回した。
街の中央ほどではないにしろ、ここにも人の姿はある。
しかしかなりまばらであり、魔法をかける隙はありそうだ。
彼は少し離れた場所にベンチが置かれているのをみつけると、そこに座って人の姿が近くから消えるのを待つことにした。



結局、的場が宿に戻ったのは陽も暮れかかった頃で、部屋で待っていたヤザリは随分と気を揉んでいたようだ。
的場はそんな彼に謝罪し、無事に薬師ギルドに入り門兵に証明書を提示したこと。それから精霊樹の一本に魔法をかけてきたことを告げた。
「教会の木は他のそれより元気があったけど、やっぱり神聖な場所だからかな?」
「ふむ。そうじゃろうな。ハトゥリヌスでは、世界を支える大精霊樹と7人の神を信仰しとるからな」
それに毎日神官たちが祈りを捧げているのだとヤザリは言った。
「それより的場、帰ってきて早々だが出掛けるぞ」
「どこへ?」
「ディーと夕飯をとる約束をしとる。もう向こうはついとるころだ」
「えっ、そうなんだ。ごめんなさい」
「いや、気にするな」
彼は首を横に振ると、的場を促して部屋を出た。

二人が宿の夕飯を断り向かったのは大衆食堂であり、夜遅くになると酒場にもなる『木こりのトット亭』だ。
大きな丸テーブル席が十席ほど、奥にはカウンター席もあり、地元の人や旅の人などで随分と賑わっている。
「さて、ディーは…と、いたいた。あれだ」
ヤザリが向かう先には二人の男がいた。
一人は大人の男性で、もう一人は13、4歳くらいの少年だ。
二人は何かを真剣に話していたようだが、先に大人の方が気づいて、ヤザリに向かって手を上げた。
「ヤザリさん、遅かったな」
男性の言葉にヤザリは小さく謝罪し、「はじめとってもよかったのに」と言って席についた。
的場もヤザリにならって席につくが…少年から向けられる視線が妙にとげとげしくどきまぎとしてしまう。
多分大人の男性の方がディーだとは思うが、だとしたら少年は一体誰なのだろうか。
テーブルの上に料理はなかったが、すでにオーダーは通してあったらしく、男性はウェイトレスに「料理頼む」と合図を送った。
そうして的場はあらためて男性を見た。
男性は二十代前半から半ばくらいか。見た目は普通の人間に見える。
的場には馴染みのある焦げ茶の髪に、晴れた青空のような瞳。基本的には西欧風な顔立ちだが、どこかしらアジア風なところも入っている。まず男前といっていい顔立ちで、程よく肉のついたしなやかそうな体つきだ。
その彼は、的場の方をじっと見つめ「ディラシェントだ。ディーと呼んでくれ」と言った。
応えて的場も「的場です」と名乗りペコリと頭を下げる。
「で、そっちはだれだ?ディー」
「ん?あぁこいつは…」
「ミシェル。ディーの相棒だよ」
ディーの言葉を遮った少年は敵意たっぷりにやってきた二人を…とくに的場の方を睨み付け、つんと顔を反らした。
そのミシェルは、態度こそ可愛くないものの、見た目は美少年といっていいほどに整っている。赤みのあるサラサラの金髪に真っ白な肌。くりっとした大きな目は髪とお揃いの色で、極めつけに頭に三角の耳がある。
そう、ミシェルは獣人だった。
的場にはどのような種族の獣人なのかまではわからなかったが。
「えっと…」
戸惑う的場にディーは苦笑し「悪いな」と謝罪した
「いえ…」
「そうだよ、ディーは謝る必要なんてないよ!」
「あのな、ミシェル…なんなんだその態度は。初対面相手に失礼だろう」
「だって……っていうか、ちゃんと自己紹介したじゃないか!」
言い合う二人を前に、ヤザリと的場はちらりと視線を交わした。

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