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らっしゃいノームランド 07

読み返しもせず、展開を考えもせず
適当にかいてますので矛盾上等
誤字脱字上等

的場が世界を渡り初めて見た草原は、なんとももの寂しく、味気のない草原だった。
大きく開けた視界は心地よいものの、しかしそれは換算とした寂しさしか的場には伝えてこない。
的場は出そうになったため息をおさえ、代わりに一つ魔法を唱えた。

「うっすらと道が見えるだろう。それをたどればもう半日で村につく。今日はそちらで一晩泊めてもらうことにしよう」
「はい、ヤザリさん」
「それから道からはあまり離れないようにな。進んでこちらを襲ってくるような魔物は、この辺りにはあまりいないが、まったくいないわけじゃない」
「魔物…」
ぶるりと震える的場にヤザリは安心させるように微笑んだ。
「まぁ大丈夫だよ」
そうして二人はいつものようこの世界についてのいろんな事を話ながら歩いた。
といっても話すのはもっぱらヤザリで、的場は時折質問を挟むだけで、あとはずっと魔法を唱えていたのだが。
今日の話題は、前に話に出たギルドについてだった。
この世界には、冒険者ギルドの他に、商業ギルドや薬師ギルドなど業界を仕切り、情報をまとめる大のギルドがあり、またその下に専門的な職業ギルドがある場合もある。
たとえば、小さなギルドを例に上げると“甘味ギルド”、“海産物加工ギルド”、“駅馬車ギルド”なんかがある。
小さなギルドは冒険者ギルドのように各地にたくさん支所を置いているわけではないが、ギルド会員たちは情報交換や助け合いが盛んで、月に一度くらいの機関誌を発行しているらしい。
そういうヤザリさんも、“出版ギルド”と“作家ギルド”に所属していて、“旅人ギルド”に助けを得ているらしい。
何らかのギルドに所属しておくと、その会員証が通行証代わりになることもあり便利であるから、的場にもぜひ所属しておくようヤザリはすすめた。

そして日が暮れ出した頃、ヤザリにとっては久しぶり、的場にとってはこの世界初の村についた。
村というだけあって規模は小さいが、的場は目を輝かせあちこちをキョロキョロと見回した。
彼の興味をひいたのは、ヨーロッパ中世を思わせる建物はもちろんだが、何より暮らしている人々だった。
到着する前に、的場はヤザリか村には主にラウジ族が住んでいると聞いていた。
的場はそれをそういう民俗が住む村だと勝手に理解していたのだが、実際に見るラウジ族とは、彼の知る民族、チベットやアイヌ、あるいはインディアンといったものからはかけ離れていた。
というのも、ラウジ族は一見人と変わらぬように見えるが、頭には三角の大きな耳、そしてふんわりと大きく膨らんだ尻尾を持つ獣人だったのだ。
もの珍しげに行き交う人を見る的場をヤザリは笑った。
「ラウジの人々を見るのははじめてか」
「え、あ、はい。というより、俺は人間とヤザリさんしか知りませんでした」
「そうか。獣人を見るのははじめてか」
「はい。…あれ?ヤザリさんは…」
獣人ではないのかと口ごもる的場に、ヤザリは「私は獣人(じゅうじん)ではなく獣人(けものびと)」だと言った。
「けものびと?」
「あぁ、獣人(じゅうじん)の祖先のようなものだ。今でも時々先祖帰りで生まれる」
「へぇ。時々ってことは少ないんですね?」
「まぁ少ないといっていいが、目を見張るほどでもない。10人に1人くらいか。呼び名は違っても、同じ種族だからあまり区別はないな」
「へえ」っと返事をした的場の視界を、タイミングよくラウジの獣人(けものびと)の子供がかけていった。
耳の大きな、オレンジ色の犬と狐の中間のような姿をした子供だ。
その子供は、他の子供たちと一緒にころころと走りながら路地に消えて行く。
どうやら見た目での差別もないようで自然と受け入れられているのがわかる。
「さ、こっちだ」

ヤザリが案内したのは少し大きな二階建ての民家だった。
「民宿みたいなもんだ」
ヤザリの言葉に頷き、中にはいるとすぐにダイニングになっていて的場は少し驚いた。本当に普通の家なのだ。
奥には台所も見え、水仕事をしていたらしい奥さんが音に気付き振り返ると、二人を見て「あら」と嬉しそうな声を上げた。
「ヤザリさん。こんにちわ。でも森の向こうへ行ったんじゃなかったかしら…?」
「あぁ、それがちょっとメルヴィルに用事ができてね。悪いが部屋をお願いしたいんだが」
「えぇ、もちろんですよ。それでそちらは?」
興味深げな女将さんの言葉に的場がヤザリを見上げると、彼は「知り合いの子だよ」と的場の肩に手をおき何でもないように言った。

女将さんが用意してくれたのは二階の二人部屋だった。
ホテルのような部屋…ではなく、生活感のある暖かな部屋ですぐにここで生活がはじめられそうなほどだ。
もしかしたら、女将さんの息子さんの部屋だったのかもしれないと的場は思ったが、それは当たりで二人が入った部屋は、元は出稼ぎで今は家を出ている二人兄弟のものだ。
部屋の両側にベッドがあり、窓からは村が見渡せる。
「いい村みたいだ」
的場が言うと、荷物の整理をしていたヤザリが「あぁ」と同意した。
「ずいぶんと虚無におかされてはいるがな。人々が明るいから、そこまで病んでいる印象はないだろう?それに同族だけの村のおかげか、治安も安定しとる」
「ふぅん。じゃぁ、大きな街は違う?」
「…まぁそうだな。それより的場様、村の精霊樹を見に行ってきたらどうだろう」
「精霊樹?ですか?」
「あぁ、昔からある村や街には、大抵精霊樹がある。まぁ御神木のようなものだ」
昔の人々は精霊樹の元に集い、精霊樹の元に住まいを作ったのだとヤザリは言った。
「今はもう枯渇しかかっているが、精霊樹というのは精霊に愛された樹で自然の恩恵も大きいからな」
人の暮らす場所の近くではむやみに魔法は使わない方がいいが、出来れば精霊樹には魔法をかけてほしいと言われ、的場ははっとした。
「いいんですか?」
「あぁ。いや、本当は良くないんだろうが…助けてほしいと言うお願いだ」
複雑そうなヤザリに、的場は「大丈夫です」と笑顔を見せると、早速とばかりに部屋を出た。

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