スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

らっしゃいノームランド 06

ちまちまかいてます。
読み返さないデフォ

夜、ヤザリが夜営の準備をしたあと、的場はテントを中心にあたり一帯の木々に魔法をかけていった。

エリ・エリ・レマ・サバクタニ

エリ・エリ・レマ・サバクタニ

エリ・エリ・レマ・サバクタニ

歩きながらかけていた時にはあまり効果が感じられなかったが、道々魔法をかける時より円形のエリアを作るように魔法を掛けたほうが、魔法の効果が1.2倍ほどに感じられた。
これは魔法をかけた範囲外点が面に変わったことで、点と点、木々の間の空間にも浄化が作用した正にヤザリのいう相乗効果がでた形だ。

ほんの少しい息がしやすくなった的場は、魔法の唱えすぎでからからになった喉をヤザリがくれた果実のジュースで潤し、木々の間から見える星を見上げた。
あたりからは夜行性の虫や鳥の声が聞こえ、昼間とは別の意味で騒々しい。
「そうだ、的場様、よいものを差し上げよう」
ヤザリの声に顔を戻すと、彼はテントを出したことでずいぶんと小さくなったリュックを探っていた。
そして
「これは精霊玉とよばれるものだ」
と、赤ん坊の拳くらいの大きさの緑とも水色ともつかない美しいガラス玉のようなものを差し出した。
受けとると、的場の手のなかでそれはぽぅっと小さく一度光った。
「それは主に精霊使いが使うものだ。力を安定させ、また引き出す力がある」
「へぇ」
ほんのり暖かいようなそれは握り心地がよく、同時に持っていると心が落ち着くような感じがした。
「精霊が減り、精霊使いもわずかになった今、それを使えるのは的場様くらいのもの。ぜひ持っていて欲しい」
「えっ。でも、貴重なものなのでは?」
精霊玉としては役目を果たせないかも知れないが、それは宝石としてもかなりの価値があるように的場には思えたが、ヤザリは首を横にふった。
「確かに、滅びゆく世界においては無用の長物とはいえ、金を出す酔狂は山ほどいる。しかし私に多くの金は必要ではないし、それに的場様にはやはりそれが必要だ」
そして「気づいているか」と目をきらりと輝かせた。
「今の的場様は、力のないものには見えぬ半透明の精霊体ではなく、肉のある、本物の人のように見える」
「え?!」
的場は驚き自らの体を見下ろすが、残念ながら彼自身では変化を感じることはできなかった。
だが客観的に見た彼は、間違いなく人と変わらぬ姿になっている。
十歳くらいの日本人らしい、黒髪に黒目の男の子。
ただし小さい頃の的場よりももっと可愛らしく、みる人によっては女の子と間違えるかもしれない容姿だ。
「本当ですか」
「あぁ。少しばかり綺麗すぎる気はするがな」
虚無におかされた世界では、元気一杯に健やかに生きている子供はほとんどいない。
だから今の的場のようにふっくらとした頬や、潤いのある髪を持つものはそれだけでも目立つものだ。
「まぁ、ローブでも被っていればわからんだろう」
ヤザリは紐のついた小さな小袋を出すと、的場に妖精玉をその中に入れさせ、首にかけてやった。
「それを使えば、的場様の力も引き出しやすくなるんだろうが、私は精霊使いではないからな。まぁ、それはそのうちに誰かに教わるといい」
「はい」
素直に返事をする的場にヤザリは笑顔を見せ、「それじゃぁ一つ頼むよ」と、そこらでとったキノコに草、それから干し肉の入ったスープを的場に示した。
そのスープに的場が魔法をかけると、有り合わせで作った即席のものとは思えないほどによい香りがあたりに漂い、それほど減ってはいなかったはずの的場の腹がクゥと小さな声を上げた。
「変ですね。あの森だと一日にリンゴ半分でも十分だったのに。森を出てからはヤザリさんと一緒に同じくらい食べてる」
やはりこれも“虚無”の影響なのかと聞く的場に、ヤザリは頷いた。
「あの森は驚くほどに豊かだったからなぁ。精霊である的場様はそれだけでも満たされていたんだろう」
例えるならば、酸素に満たされ、プランクトンの豊富な海。
「それに比べて、ここは何もかもが希薄で軽い」
例えるなら、酸素は少なくと陽も差さない金魚鉢。
「精霊である的場様にとっちゃ、ただ息をするだけで疲れるだろう」
「そうですか…」
だとすると、旅にはそれなりの路銀が必要になりそうである。
食料は節約できるし、寝る場所も木の中に確保できるし、お金が無くともなんとかなるとも考えていたが、そうは問屋がおろさないようだ。
「まぁ、その辺は旅の仲間と相談してくれ」
「そういえばヤザリさん、その紹介してくれる人ってどんな人なんです?騎士をやってたって言ってましたが」
「あぁ、名前はディー。年齢は二十歳を越えたあたりか…。少々粗暴だが、なかなかに見所がある人間の男だ」
「騎士を辞めてからは?」
「私があった時はふらふらしていたな」
あごひげ(?)を撫でながらヤザリ。
「冒険者をすすめたら、それもいいと言っていたからちょうどいい頃合いだろう」
「頃合い?」
「冒険者っていうのは、旅人と同じような意味合いで使われるが職業でもある」
ヤザリの言う職業としての冒険者とは、冒険者ギルドに所属する人のことである。
ちなみにこの世界におけるギルドは、一般的なゲームの世界とあまり変わらない。
つまりギルドは世界各地にあり、冒険者はギルドから仕事を請け負う生業のこと。また冒険者にはランクがあり、高位の冒険者は数が少なくまた凄まじい力を持つ。
まぁこんなところだ。
違うことといえば…
「ただ世界を渡り歩く冒険者になるには、最低限三ヶ月以上の所属していることと一定の依頼数をこなす必要がある」
ということくらいか。
他は特筆するような違いはない。
「ディーのやつが真面目にやっていれば、そろそろそれをクリアしている頃だ」

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。