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らっしゃいノームランド 02

ほのぼの系がかきたくなった。

部屋に最初から置かれている木箱は、プレイヤーがとてもお世話になるものだ。
なぜなら、その木箱はその小さなサイズにも関わらず、何でもいくつでも収納可能な無限木箱(アイテムボックス)だからだ。
さてその木箱であるが、最初に中をあけるといくつかのものがすでに入っており、ゲームではそれを使ってチュートリアルが行われる。
例えばドア。
最初はそれを取り出して、開いたままの穴にはめる。
次は窓。
2つ入っていて、好きな場所にペタリとはると、まさに窓になり、陽射しが室内に入る。
絨毯とタンス、それからランプ。
これでアイテムを置いたり、使ったりすることを学ぶ。
そして作業台。
これは木箱と同じくらいに大切なもので、この作業台を使えばアイテムを作ることができる。

的場が開いた箱にもゲームと同じものが入っており、彼は妙に感心しながらゲームと同じように窓を作ったり、敷物をひいたりした。
それから一度外に出ると、落ちている木の枝をいくつか拾った。
ゲームでは、これを使って最初に表札を作るのだ。
拾った木の枝を作業台におき、トンカチ、トンカチ…
「ん?」
ゲームでは、作業台にものを置くその材料からつくれるものの一覧が表示され、そこから目当てのものをクリックすると後は自動的にキャラクターが動いてくれたものだ。
しかし、どうやら現実の(?)ノームランドではそれは適用されないらしい。
作りたいものは自分で考えて、自分で手を動かす必要があるのだ。
「なんだ、困ったな」
表札が作れない程度はどうでもいいが、ベッドがないのは困る。
的場は口を尖らせてしばらく考えていたが、とりあえず次のチュートリアルに進むことにした。
ゲームで次に、というか最後に用意されているのは、自分の家である木を成長させることである。
やりかたは簡単、的場が今やっているように木に向かって両手を掲げ、
「エリ・エリ・レマ・サバクタニ!」
自分が決めた成長魔法を唱えるのだ。
するとキラキラっとしたエフェクトが飛び出し、木の成長ゲージにポイントが少したまる。
ちなみにこれは一日に一度だけ使えるスキルになっていた。
「エリ・エリ・レマ・サバクタニ!」
それはここでも同じらしく、二回目にはエフェクトが出ない。
「やっぱメニューもなしか」
ついでに、成長魔法を唱えたあとに表示されるメニューも当然出ない。
ゲームであれば、貯まったポイントを何に使うかが選択できるはずで、チュートリアルでは最初に持っていたポイントを使って翌日にはリンゴを収穫するはずだった。
ただ、制限が増えたばかりではないようで、
「エリ・エリ・レマ・サバクタニ!…お!」
ゲームでは自分の木にしか掛けられなかった魔法が、他の植物にもかけられるようになっていた。
「すごい!」
ゲームでは一日に一回だけで、二回目を唱えようとするとキャラクターが疲れたような仕草をしながらいやいやと首を振るのだが、二回目以降も的場は全く疲れを感じなかった。
余談だが、彼の呪文であるエリ・エリ・レマ・サバクタニとはキリストが臨終の際に言った言葉とされ、意味は“神よ、なぜ我を見捨てたのですか”である。あまり縁起がよいとも、言いやすいともいえず微妙な言葉だが、ゲームに突然『呪文はなんにしますか?』と聞かれたとき、的場にはその他の言葉は思い浮かばなかった。
そんなわけで、あっちこっちと呪文を唱えまくっていた的場だが、キラキラとしたエフェクトは面白いが目に見えた成長はわからないしゲージも見えないのでじきに飽きてきた。
「それよりごはんとベッドをどうにかしないとな」
ゲームではキャラクタに空腹度や満腹度といったものはなかった。色々食べることは出来たが、『甘くて美味しい!』とか『ちょっと苦い!』とか出るだけで他に変化はなかった。
しかし今的場は少しだけ空腹を感じていた。
ちいさなぽこっとしたお腹を撫でながら、自分の木に戻った的場は木を見上げ、
「お」
ちいさな赤い実がなっていることに気づいた。
「りんごかな?でも高いな」
木登りなんか子供の時以来だ。
「ゲームでは木登りなんかしなくても、熟せば勝手に落ちてくるんだよな」
あれがまだまだ未熟なのか、すでに熟したものであるのかは的場にはわからない。ただ木登りは少しばかり億劫だった。
「おちないかなぁ」
そうやってむなしく願っていると、それが届いたのか、それともただの偶然か、赤い実は枝からぷっつんと離れまっすぐに的場に向かって落ちてきた。
「ふぅっわ!」
変な声を出しながら、的場はあわてて手を出し赤い実を胸に抱え込むようにしてキャッチした。
落ちてきた実は大粒のリンゴだった。しかも宝石のように赤くてつやつや、ピカピカと輝いている。
まるで作り物のような美しさだが、ずっしりとした重さと甘い香りが本物だと告げている。
くぅっと小さく的場のお腹が催促の声をあげると、的場はリンゴを洗うことさえせずにそれにかぶりついた。
シャクリと小気味良い音をたて一口食べると、とたんに広がるりんごの旨み。
「やば、なんだこれ」
それはりんごに違いないのだが、本当にこれがリンゴかと疑うほどに美味かった。
シャクシャクシャクと夢中になって食べる的場。しかしそれめ半分食べるとお腹がいっぱいになってしまった。
「子供ってこんなに食べないものだっけ」
それともノームになってしまったからだろうか。
とにかく的場には半分以上は食べられそうになかった。彼は半分になったりんごを持ち帰ると、木箱の中にしまいこんだ。

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