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世界なんてほんとはせまいの

火村の見た夢2
特に意味は無い話。 恋愛もクソもないよ

こんな夢を見た。

俺は巨大な白い鯨だった。
大きさは数百メートルはある、常識はずれに馬鹿でかい鯨だった。
だが、それほどの巨体を持ってしても海は尚広かった。
俺はただ一頭、海を泳いで回っていた。
特に月夜に泳ぐのが好きだった。
海はどこまでも青く、そして潜る程に黒く塗りつぶされる。
その中で、俺の白い体はぼんやりと光って見えた。

ある時、大海を泳いでいた俺の傍に、俺と同じような白い鯨が集まってきた。
これまで自分以外に白い鯨など見たことのなかった俺は、彼らの登場にいささか驚いた。
鯨は全部で10頭前後。
彼らは俺に寄ってくると、やがて俺を囲み、何処かへ誘導するように泳ぎだした。
逆らう理由はない。
俺は彼らに従って泳いだ。
同じ種族と連れ添って泳ぐのは、赤ん坊だった頃を除き、これが初めての体験だ。

彼らが案内したのは陸地に近い海だった。
とても暖かで、波の穏やかな海だった。
そこで彼らは俺の前で螺旋になってくるくると泳いだ。
その意味は俺にはわからない。
俺達には言葉がないので説明を求めることも出来ない。
だが、しばらく彼らが泳いでいる様子を見ている内に、その意図を察することは出来た。
まず10頭近くいる彼らは、どうやら血でつながった家族であるということ。
そしてその中にいる若い雌の番として、俺を家族に迎え入れようとしているということだ。
そうやって気づいてみると、若い雌が発情期特有の薄いピンク色に色づいているのがよくわかった。
“彼女”の方は随分と乗り気らしい。
家族の方も、俺を受け入れている。
だけど…俺はそんな気にはなれなかった。

俺はしばらく彼らに気を持たせた後、彼らの側を後にした。
雌の鯨が落胆したような目で俺を見ていたような気がした。

彼らは俺を追いかけてくることはなく、気づけば俺は慣れ親しんだ外海へと出ていた。
そして月夜だった。
深い海からゆっくりと浮上する…と、会場に大きな影が見えた。
大きいといっても、俺の全長を考えると小舟のような大きさではあるが、船の規模からするとかなり大きな船だ。
船を転覆させぬよう、船から少し離れた場所に慎重に浮上する。
月と星だけが高原の夜の海で、船は煌々と明かりをたたえていた。
静かに浮上したおかげか、船はこちらに全く気づいていないようだ。
いや、ただ一人を除いて…というべきか。
甲板に一人だけ男が出ていて、俺の事を驚いたような目で見ていたのだ。

アリスだ。

俺にはそれがなぜかわかった。
それとともに、ひどく胸が高揚した。

俺は一度海中に深く潜ると、頭を上にまっすぐに空を目指し、海中から飛び上がると海面に背中を打ち付けた。

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