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可愛げのある女

ゆっくり妖夢と本当はこわいクトゥルフ神話 から
火牙×霊夢
原作はしらんが、ゆっくり妖夢で萌えたので。
読み返さない

近頃は随分と電子化されたとはいえ…、お役所というのはとことん『手書き』というものが好きらしく…
「あぁ、面倒クセェ!」
漢字の間違いに気づき、イラッとして思わずグシャリと書類を丸め、そしてすぐさま後悔。
せっかく20分もかけて書いたのに。
手のひらに収まったそれを恐る恐る開いてみてももちろん手遅れであることには変わりない。
「あー…」
気の抜けた声とともに、ぽいとゴミ箱にそれを放ると、向かいの席に座っていた霊夢と目があった。
なんかすんげー呆れたような目してるけど。
「おぅ、霊夢、まだいたのか」
9時を過ぎた時計をちらっと見ていうと、「えぇ」と彼女は言った。
「といってももう帰りますけど」
「あー、マジか。なぁ、霊夢…」
「嫌ですよ」
まだ何も言ってねぇっていうのに、彼女はきっぱりと言い机の上を片づけ出した。
「つめたいねぇ、先輩が困ってるっていうのに」
「なーにいってんですか、それ先輩が強行突破した案件の始末書じゃないですか。ちゃんと自分で処理してくださいよ」
「霊夢だって突入には賛成しただろうが」
「それは先輩が“責任は俺が取る!”とかかっこ良くいってくれたからですよ」
「あ、俺かっこよかった?」
にやっと笑うと、ガチンっと音がして俺は眉間に銃をつきつけられていた。
「いや、霊夢、マジ煽られ耐性ないな…」
冷や汗掻きつつ両手を上げると、座った目をしてこっちを見ていた霊夢はため息をつきつつ銃を下ろしてくれた。
「っていうか、まだ終らないんですか、それ」
「…あぁ」
ふてくされてながら新しい書類を手元に引き寄せた。
そして最初から文字を書いていく俺に…
「なんだよ」
向けられる視線。
気になって顔をあげると、向かいの席から霊夢がじっとこっちを見ている。
「どうした?お前、もう終わったんだろう。帰らないのか?」
「……」
「何かあるのか?」
何か困り事か。
そう思って姿勢を正す俺を霊夢はしばらく見つめ、それからふと視線を反らすと「…バカ」とつぶやいた。
バカ…だと?
「ちょ、お前!俺が真剣に言ってやってるのに!」
カッとして大きな声を上げると、なぜかうんざりしたような目を向けられた。
「霊夢、一応俺はお前の上司だぞ?」
「知ってますけど」
「ぜってぇわかってないだろ」
現場や公の場ではそれなりに俺を立ててくれる霊夢ではあるが…、署やプライベートでは同等かそれ以下の扱いしかしてくれない。
生意気な女である…が、近頃はそれにもなれてきた。
何しろ無鉄砲で、頑固で、煽り耐性が皆無に近い事を除けばいい女だ。彼女は。
正義感は強いし、頭も、感だって悪くない。刑事としても優秀だ。
もう少し経験を積めば、俺よりもずっといい刑事になるだろう。
「で、なんなんだ?何か気になる事件でもあるのか?」
改めて水を向けてやると、彼女はふてくされたような顔をしてそっぽを向いた。
「こないだのひったくりの少年のことか?それとも、助けを求めてきた女性のことか?」
「仕事の話じゃなくて」
「仕事じゃなくて?」
聞き返すと霊夢はますます不機嫌そうな顔をし、そして気持ちを入れ替えるように大きく息をついた。
「っていうか、先輩、もう9時過ぎてますよ」
「ん?あぁ」
「おなか空きませんか?」
「そりゃ空いたけど…」
昼は出先でソバを食ったが…さすがにそれは消化されている。
「確かに腹が減ったな」
そうつぶやくと、彼女から何かを訴えるような視線が向けられる。
「………?」
だが、それが何かがわからない。
容疑者や、嘘をついている相手には刑事の鼻が効くようにできているのだが…残念ながら、こういう場面ではまったく俺の鼻はバカになるのだ。
「どうした?」
だからこそ、素直に聞いてみたのだが…
「バカ」
「またか!」
またもや罵られた。
「先輩、鈍いって言われませんか?」
「…まぁ、現場以外じゃな」
「だからモテないんですよ」
「それが今関係あるのか?!」
いや、確かにモテないよ。
顔は割りとかっこいいのに、中身が残念だよね…とか何度も言われたけど…それ、今言う必要あるのか?
がっくりとうなだれると、「仕方ない人ですね、先輩って」と呆れたような声を降ってきた。
「お前な…、人に精神的なダメージ与えといて、それはないだろう」
恨めしげに彼女を見ると、霊夢はまた少し考えるように間を置き、バカ…ではなく「仕方ないですね」と言った。
「どうせ、その書類まだ終らないんでしょう?」
「ん?あぁ」
「だったらご飯食べにいきません?」
「飯か」
そういえばそんな話をしていたな。
そう思いながら、「いいなぁ」と気軽に言えば、またも胡乱な目で見つめられた。
その意味はわからないが、もういっそ無視してやることに決めた。
「王王亭でいいか?」
そして近所にある中華料理店の名を上げると、「またですか」とケチを付けられた。
「私、お昼そこでとったんで、他にしてください」
「じゃぁ…、近くのマックか?」
「先輩と私が二人でファストフード店とか」
ケッと言われて、確かにそうだなと思う。
昼間にコーヒー程度なら二人で向かい合って飲んでいても別に変じゃないかもしれないが、二人で夕飯を取るような場所じゃない。
「あー、んー、じゃ…」
と、今度は格安の焼肉店をあげようとしたが、その前に「そうだ、イタリアン食べに行きましょうよ」と霊夢が言った。
彼女が言うには此処から少し離れた住宅街の近くに、なかなかおしゃれなイタリアンの店があるらしい。
イタリアンか…。
下手なフランス料理店や、和食の店よりは出費が抑えられそうではあるが…。
俺は財布の入った胸元に手を当てる。
結構キツイよな…。
霊夢と一緒じゃ、どうせ奢らされるに決まってるし…。
「やっぱり…」
俺は夕飯よりも書類を片付ける…と言おうとしたのだが、その時目に入った霊夢の顔が妙に楽しそうに見えたので出しかけた言葉が喉の奥にひっこんでしまった。
「あそこのパスタって種類が多くて美味しいって人気なんですよ。結構安いらしいし、あ、私はやっぱりペスカトーレ!あと、食後にティラミス」
古い擬音を使えば“ルンルン”と言ったところの霊夢は実に楽しそうで、仕方がないと俺は頭を掻いた。
財布の中は…確か三千…いや、二千円…?
全く足りそうにないが、一応カードがある。
カードは…あまり使いたくないが…この場合仕方がないか。
「あーもぅ、わかった、わかったよ」
そういって書きかけの書類を裏にして伏せ、立ち上がると霊夢は「そうこなくちゃ」ととびきりの笑顔を俺に向けてくれた。

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