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誰も知らない命

火村の夢
生物学とか科学とかまったくわかんない テケトー。
虫の飼い方とかしらない。 ちょいグロ
読み返さない

こんな夢を見た。

研究室にはたくさんの虫かごがあった。
中には湿った土ととともに、新鮮な葉がたくさんいれられている。
そこで飼われているのは様々な種類の蝶の幼虫だ。
一つの虫カゴに5匹ずつ。
ジャコウアゲハ、ナミアゲハ、モンキアゲハ、ルリシジミ、コツバメ、モンシロチョウ、リュウキュウアサギマダラ…。
あふれんばかりの虫カゴ。
たくさんたちの幼虫たちに囲まれて俺は毎日がとても幸せだった。
温度に室温の管理、餌となる葉っぱの管理、日当たりを考慮しての虫カゴの配置換え、それに虫カゴの掃除。
どれもなかなかに手間のかかるものではあったが、俺は全く苦にならなかった。
生徒たちは気持ち悪いといって研究室には近寄ろうとしなかったが、それは俺にとって好都合でしかなく、俺は思う存分虫たちに没頭していた。

ある日、とある幼虫がサナギになっているのに気づいた。
薄い黄緑色をした小指の半分くらいの大きさのサナギだ。
それを見つけた瞬間、俺は心が浮き立った。
俺はサナギが好きだ。

サナギ。
幼虫はサナギの中で一度どろどろに溶けて、そして蝶になって出てくる。

俺は虫カゴの中に手を入れ、サナギをそっと撫でた。
表面は固い。だけど、中身は柔らかい。
ふと俺はそれを人差し指と親指に挟んでぶちっと潰したい欲求に駆られた。
幼虫は、もうサナギの中でどろどろにとろけているだろうか?
そうだとしたら…このサナギの中に今詰まっているのは生命のスープにほかならない。
俺は少し迷ったが、その時は行動には移さなかった。
面倒なことこの上ないが、授業が入っていたのだ。

授業中。
俺はテキストを片手にペラペラと喋りながら、しかし頭の中はサナギの事で頭がいっぱいだった。
これまでたくさんの幼虫を育て、そして蝶にしてきた。
その過程で、これまたたくさんのサナギを目にしてきた。
俺はサナギを見るたびになんとも言えない幸せな気分を味わったものだ。
子供の頃、望遠鏡を担いで山に上り、そして星を見ていた時のように。
それなのになぜサナギをあばこうと考えなかったのだろう。
あのサナギ。
生命のスープ。
それは一体どんな色なのだろうか。
血のような赤?それともサナギの外側とおなじ薄い黄緑色だろうか。
俺は気になって気になって仕方がなく、何度も時計を確認した。
そして耐え切れずに10分も前に授業を切り上げ、質問しによってくる生徒たちを振りきって研究室への急いで帰ってきた。

サナギは当たり前だが、そこにあった。
だけど、サナギの数は授業に行く前に見た時よりもずっと増えていた。
サナギのあった虫カゴにいた全ての幼虫がサナギになっていた。そしてその隣の虫カゴの幼虫も、そのまた隣の虫カゴの幼虫も。
気づけば俺はサナギに囲まれていた。
色とりどりのサナギに囲まれていた。
大きさは様々だった。
小指の先くらいのから、手のひらにどっしりと乗るサイズまで、色も様々で真っ黒なのや、茶色っぽいの、緑色に赤っぽいのまであった。
「楽園だな」
俺は馬鹿みたいなことを本心からつぶやき、俺はサナギたちを1つずつ見て回った。
それはとても幸せな時間だった。
どこを見てもサナギサナギ。
いつの間にか、研究室には木々が生い茂り、そしてあちこちにサナギがくっついていた。
俺は森の中のようになってしまった研究所を歩きまわり、やがて一際大きなサナギを見つけた。
それは30センチくらいもあるとても大きなサナギだった。
クスノキにそりかえるような格好でくっついている。
鼈甲色のてらてらと光った美しいサナギ。
俺は迷わずそれをもぎ取った。
そうだ、こいつの中身をあばいてやろう。
俺はそう決めるとサナギを床に置き、ポケットを探ってカッターを取り出した。
カチカチカチと刃を出し、カチっと固定する。そして大きく上に振りかぶってサナギに刃先を突き刺した。
ゴムを刺したような感触。
どうやらサナギの殻の厚みは1センチ程度しかないようだった。
そしてもちろん中身はとろとろだ。
腕をひいて切開すると、とろりと乳色の液体がこぼれた。
「これが生命のスープか」
甘いような匂いがプンと香った。
俺はカッターを投げ捨てると、切れ目に両手をの指を入れてぐっと左右に押し開いた。
ビチャビチャと音を立てて生命のスープが溢れる。
そして、

その中に…アリスがいた。

小さなアリスが、胎児のように足を抱え込んで眠っていた。
なぜ、こんなところにアリスがいるんだ?
俺はとても驚いた。
「アリス?」
切れ目を両手で握ったまま彼の名を呼ぶと、眠っていたアリスは目を覚ましたようだった。
彼は眉間に皺を寄せて大きくあくびをしながら体を起こすと、きょろきょろとあたりを見回した。
そして見下ろしている俺に気づくとぎょっとしたように驚き、それから背中についていたクシャクシャな小さな羽根を一瞬で大きくピンと広げた。
そして驚いている俺の隙をついて飛び上がると、あっという間に何処かへ飛び去ってしまった。

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