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君が為に嗚呼眠る 23

ネタがなかったんで久々に…
やっぱりつまらなくてorz

「大体、魔族がなんだって剣を欲しがるんだ。魔族なんてのは魔法が得意なんだろう?だったら物理攻撃武器なんて…」
ブツブツ言っている天狗だったが、熱心に武器を選ぶルートヴィヒの姿に少しずつその独り言も小さくなっていく。
「…ふむ…。ピッツが俺のところに回してきたわけだな…」
天狗はしばらくルートヴィヒの姿を後ろから見守っていたが、やがておもむろに近づくと「おい」と声を掛けた。
「ちょっとこっちへこい」
そう言って、彼はルートヴィヒを裏庭へと案内した。

裏庭には、藁で作ったカカシのような人形が3対並んでいた。
「此処は出来た武器の試しをやったり、客に武器の性能を見てもらう為のもんだ」
彼はそう言って不恰好な長剣をルートヴィヒの方に放った。
ルートヴィヒが受け取った長剣は長い間外に出しっぱなしになっていたのか、刃に輝きはなく一部には錆がついている。
「きったねぇ…」
ついてきたロヴィーノが眉を潜める程度には汚い長剣だ。
「これは…?」
「別にそれを持って帰れ…なんて言いやしねぇよ。それをちょっと振ってみろ」
言われてルートヴィヒは柄を両手で握り、頭上に振りかぶるとブンと風を切りまっすぐに振り下ろした。そして天狗を見やるが、天狗は何も言わずに厳しい目でじっとルートヴィヒの方を見ている。
ルートヴィヒはもう一度振った、そしてもう一度、もう一度。
上から、右上から左下へ、そしてその逆へ、左下から右上へ…。
様々思いつくままに剣を振るっていると「なるほどなぁ」と天狗が口を開いた。
「魔族ってのは見た目じゃねぇっていうけど…なるほど、なるほど。おい、坊主、お前別に両手じゃなくてもいけるだろう。片手で振るってみろ」
言われてルートヴィヒは一瞬戸惑ったような顔をしたが、素直に右手一本で剣を持つと、それを振るう。
最初はバランスが取りづらかったのかぎこちない動きだったが、チート仕様のお陰かすぐに感を得てやすやすとそれを使いこなせるようになる。
縦横無尽、舞うように剣を振るうルートヴィヒをロヴィーノは目を見開き、そして天狗は顎に手を当てて見守る。
「フムゥ…」
天狗は何やら頷くと、傍らにあったもう一本の剣を取り無造作に剣を振るうルートヴィヒの方へと放った。
「ッ!」
剣先を前にしてまっすぐに飛んでくるもう一本の剣。
一瞬の剣先がルートヴィヒの腕に突き刺さったかのように見えたが…そうではなかった。無理な体勢からルートヴィヒは身を捩り、剣を避けざまそれを掠め取る。
そして今度は戸惑う間もなく2本の剣を恐ろしい速さで振り始める。
いや、その速度はどんどんと上がっていく。
今度は剣を振るうだけではない。アクロバティックな動きで、四方八方を敵に囲まれたことを想定しての動き。
ひらりと舞い、くるりと回転し…
「すっげ…」
瞬きもわすれ唖然とつぶやくロヴィーノ。しかしそれも無理がない。それほどにキレのある凄まじい動きだった。
まさに神技。
しかしそれでも速度は上がる…と、剣風が次第に形をとり始める。ピシリ、ピシリという小さな音。そして…
「…ヒッ!」
「やめ!やめろ!止まれ!!!」
小さく悲鳴を上げるロヴィーノ。そしてそれに続いて鋭い声を上げる天狗。
夢中になって剣を振るっていたルートヴィヒはその声にハッとして動きを止めた。
ドクンドクンと逸る鼓動。
しっとりと汗ばんだ手、そしてその腕にある二本の錆びた剣を見た。
体を動かしたことによる爽快感とほどよい疲れ。
軽く息をつき、そしてロヴィーノと天狗の方を見、驚きに目を見開いた。
「お、お前たち、一体どうしたんだ?」
ルートヴィヒは驚いた。
なぜかロヴィーノをかばうように天狗が前に出ており、両腕を胸の前でクロスさせている。そうすると和装を纏っていた彼の服が下がり、腕がむき出しになるのだが、その腕には無数の赤い線…いや、傷が開いている。それだけではない。彼らの周り、いや辺り一帯、地面も、植木も、壁も…そして3体のカカシも刃物で切られたかのように無数の傷をつけている。
「一体これは何事だ…」
怪訝な顔であたりを見回すルートヴィヒ。
そんな彼を伺いつつゆっくりと両手を下ろした天狗は、ちらりと自分がかばった少年を振り返り無事なのを確かめるとほっと胸をなでおろしつぶやいた。
「まさか、あのボロ剣でここまでやるとは…」
恐ろしい。
天狗は口の中でつぶやき、額に知らず浮きだしていた汗をそっと手で拭った。

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