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好かれる予定はなかった

書きたいとこだけかく。
読み返してない

高校は離れてしまった親友に恋人ができたと聞いたとき、俺はその相手が同性の男だと知って驚きはしたが幸せそうな顔を見て素直に祝福できた。
光一の相手は、彼の通う男子校のクラスメイトですごくもてる相手なのだそうだ。183の長身で、読者モデルで雑誌デビューし、今は有名な男性ファッション誌の専属モデルをやっているらしい。
光一に雑誌でその相手を見せてもらったら、これがまた大袈裟ではなくカッコいい男だった。
手足は長いし、頭は小さいし、日焼けした褐色の肌に濡れたような黒髪。顔の造形は言わずもがな。
同じ男だとしても称賛の言葉しか出てこないような色男に思わず口笛を吹くと、光一ははにかんで照れた。
そして彼は女はもちろん男にももてるから心配だと不安な顔を見せ、だけどとても大切にしてくれると自惚れた。
実際、時折会って話をきく限り二人は上手くいっているように思えた。
相手の乾という男が、モデルの仕事をやっていることもありあまり会えないし、外でいちゃつくなんて出来ないらしいがメールや電話のやりとりは頻繁にやっているらしい。
実際、幸せそうな彼を見て俺は彼が羨ましくなったものだ。
もちろん彼氏が欲しいわけじゃなく、彼女がほしくなったという話。



それから2ヶ月くらい経った日曜日。俺は光一に彼氏の乾くんを紹介したいからと呼び出された。
いらねーよ。とか思ったが、せっかくの光一の好意だし、もしかしたらモデルの女の子とか紹介してくれるかも?なんて下心ありありで出かけることにした。
待ち合わせはちょっと高級志向なファミレス。
入った途端、彼らを探すまでもなく見つけてしまった。
オーラ半端ない。
ものすごく目立っている。
「あ、きたきた、和也!」
近づきがたくて、もうこのまま帰っちまおうかと思ったところで光一に気づかれた。
彼氏である乾くんもこっちに気づいてペコリと小さく頭を下げる。
それに俺も頭を下げていそいそと二人の待つボックス席に行くと、乾くんの正面に座っていた光一が乾くんの横に移動する。
それを見て、なんとなく妙な気持ちになった。いや、だってね…まぁいいけど。
「へへ、和也、こっちが乾くん」
「どうも、乾 俊介です」
「どうも、井上和也です」
ニコリと微笑まれて俺はドギマギした。
「やべ、イケメンパワースゴすぎ」
動揺を隠すように胸を抑えてそんなことをいうと、乾くんも光一も笑ってくれた。
乾くんは見た目とは違ってかなり気さくな人物で、話題選びも上手く話上手で聞き上手、初対面の俺でもすぐに打ち解ける事ができた。
しかし外見も内面も、きくところによると頭も運動神経もいいらしい。…神様、えこひいきしすぎだろう。
いや、だからゲイなのか?
なんて考えてたらバチッと乾くんと目があった。
途端目を細めて微笑まれるが、そこに意味深なものを感じるのは俺の気のせいだろう。
多分、彼は天然たらしなのだ。フェロモンハンパないし。
っていうか、男相手にいちいち心臓跳ねさせてる俺もなんだかな。
「っつーか、光一、よくこんな色男捕まえたよな」
光一は男にしては可愛い系、いわゆるジャニ系な顔立ちをしてはいるが、ぶっちゃけ飛び抜けて美人ってタイプでもない。
よくも悪くも一般人レベルでキレイって感じだし…。
「お前、付きまといとかしたんじゃないだろうなぁ」
なんてニヤニヤ言うと、「してないよ」と言って光一はぷぅっとほっぺたを膨らませた。
普段は絶対こんな仕草見せないくせに。
「なんだよ光一、乾くんの前だからってかわいこぶんなよ」
「かわいこぶるに決まってるじゃん。乾くんに好かれてたいし」
「うん、光一は可愛いよ」
さらりと乾くん。
「はいはい、ごちそうさま」
俺はお手上げのポーズでひきつった。
ラブラブだなんて聞いていたけれどここまでとはね。
しかも絶対お前らテーブルの下で手握ってるだろ。
まさか男同士のいちゃこらみて『リア充爆発しろ』って思うなんて予想外だよ。俺は。
そうやって二人に当てられながらしゃべっていると、しばらくして光一が席を立った。
便所と妹に電話をしなきゃいけないらしい。
「ちゃんと乾くんの相手していてよね」とか言われて、「うるせぇよ」と追っ払ったはいいものの、乾くんと二人きりとなるとなんとなく落ち着かなかった。
意味もなくテーブルの上にたててあったデザートメニューに目をやったとき「携帯アドレス交換してよ」と乾くんが言った。
「光一の親友なら光一のことはよく知ってるよね。色々相談することとかあるかもしんないし」
だめ?
色男が小首を傾げるのに、断ることができるやつがいるだろうか。
少なくとも俺はできなかった。
「いいよ」
俺たちは携帯を背中合わせにして、赤外線でアドレスを交換した。
「井上くんって格好いいよね、もてるだろ?」
「あんたに言われてもなぁ…」
なんか惨め。
「え?格好いいじゃん。俺、井上くんみたいなのタイプだな」
げほっ
思わず変なせきがでた。
タイプって…は?正気か?
彼を見ると妙に熱い眼差しをしていて俺は焦る。
いや、違うよな。
「からかうなよ」
からかってるだけ、冗談だよな。
やつがあまりにカッコいいから俺が妙に勘ぐってるだけだよな?
「乾くんには光一がいるじゃん」
「井上くん、恋人はいるの?」
げふっ
にらむとにっこり微笑まれた。
やっぱりからかわれているだけだと俺は判断する。
「お前、性格悪い」
「で?いるの?」
「いないけど」
もしかしていい子紹介してくれる?…と気軽に聞ける雰囲気ではなくなっていた。いつのまにか。
なんだこの妙にねっとりとした空気は…。
光一ヘルプ…!と思っても、まだ帰ってくる気配はない。
「いないんだ。へぇ。ラッキー」
「ラッキーって…あのな、あんたには光一がいるんだろう?」
「え?まぁいるね」
「いるならさ、そんな変なセリフ言わないほうがいいんじゃねぇ?絶対誤解するやついるって」
「別に誤解でもなんでもないんだけど」
おい。
俺は思わず乾くんを睨みつけた。
「あんたさぁ、光一と恋人なんだよね?」
「一応ね」
「一応って…」
「しつこく言うからさ、じゃぁいいよって」
「はぁ?」
俺はカチンときた。
光一は確かに単純だし、頭悪いし、お人好しすぎてよく人に騙されるけど…だけど俺の親友で、人の不幸に本気で泣けるくらいいいやつなんだ。
それを義理で付き合っているなんていわれて腹が立たないわけがない。
「あいつはマジでお前に惚れてるんだぜ?そこんとこわかってんのかよ」
「わかってるよ。だからこそこれまで誠実に付き合ってたじゃん」
あぁ、誠実そうに俺にも見えてたよ。
今はその印象が180度変わっちまったけどな。
「あのさ…お前は、あいつのことどう思ってるわけ?」
「可愛いと思ってるよ。子犬みたいで」
「子犬…」
「まんまの意味でね」
まんまって…
「恋人としては見てないってことかよ」
「子犬を恋人と思えるような酔狂にみえる?」
俺はテーブルに拳を叩きつけた。
のってた食器がガチャンと大きな音を立てて他の客がこちらを一斉に見たのは気づいたが、それを気にしてる余裕はなかった。
「てめぇ、まじふざけんなよ」
お前との間にテーブルさえなければ、どんなにお前の顔がおキレイだろうが胸ぐら掴み上げてぶん殴ってやるのに。
「ふざけてないよ。別に。俺は井上くんが気に入った。だから、恋人に立候補したい。今は光一と付き合ってるけど」
「それがふざけてるっていってんだよ!お前、光一がどんだけてめぇのことを好きかわかってんのかよ」
「一応ね。他にも井上くんが光一のことを大切に思ってんのはわかったよ」
「あたりまえだ!あいつは俺の親友なんだ」
そう言い切ると、乾くん…いや、乾で十分だ!…は、不愉快そうな表情を浮かべた。
「つまり親友として、光一が不誠実な男にひっかかってるのが許せないわけだ」
そしてニタリ。
嫌な予感がする。
頭の昇っていた血が一瞬スッと下がったのを俺は感じた。
「光一が弄ばれるのが嫌なんだ。泣かされるのが?捨てられるのが?」
「何が言いたいんだよ」
「だけどさ君も知っての通り、光一は俺に夢中なわけ、君がいくら言っても信じないとおもうけど…?」
その言葉に俺はグッとつまった。
確かに、光一のメロメロっぷりは相当だ。
多分、今の光一なら乾に生命保険に入れと言われれば軽くはんこ押しそうだし、宗教にだって走りそうだ。高い壺や絵画なんていわずもがな。
変に止めようものなら、逆に俺の事を責めて絶交とかいいそうだ。
「お前…マジ最悪だな」
褒めたわけでもないのに乾は俺の言葉ににっこりと微笑む。
「でも別に俺は子犬をいじめて遊ぶ趣味はないし… と、時間切れか」
ふと見ると電話をかける為に店を出ていた光一が戻ってくるところだった。
「後で連絡するから」
「いらねーよ」
「じゃないと、後悔するのはそっちだよ」
「おま…」
「ごめん!遅くなって。全くみゆき(妹の名前)ったら長いんだから…って、どうかした?」
俺たちの微妙な雰囲気に気づいて光一が首をかしげるのに、「なんでもないよ」と乾は愛想たっぷりににっこりと微笑んだ。

*

表面上は仲良く振る舞いつつ二人と別れた俺は、部屋につくとぐったりとしてベッドに寝転がった。
「なんなんだ…あの悪魔みたいなやつは…」
一体何をしようってんだ…?
何が俺を気に入っただ。ふざけたことを言いやがって…!
光一も光一だ…あんなクソ野郎にまんまと騙されやがって…!
やっぱり同じ学校受験するべきだったか…?あいつは本当に単純で騙されやすいんだから…
あぁ、でも一体どうしたらいいんだ…?
このままじゃ光一は絶対ひどくきずつけられるに違いない。
乾と一緒に過ごしたのは一時間半ほどだったが、光一が帰ってきてからの白々しい態度から彼が相当な曲者であるのは間違いなかった。
彼は先程までの険悪な雰囲気などまるでなかったかのように明るく振舞い、そして光一とイチャイチャしだしたのだ。
狐につままれたような気分。
しかし俺にはわかった。
あいつは光一の事を本当にどうでもいいと思っている。そして必要ならひどく傷つけることもいとわないような軽薄さと残酷さを確かに持っていた。
そして俺に対して……なんなんだろう。
「あぁわかんねぇ…!」
言葉通りに取れば、俺に惚れたってことなのかもしれないが…まさかそんなことはありえない。
俺は男になんて好かれた経験はないし…光一みたいに愛嬌のある顔立ちもしていない。
じゃぁなんだ…といわれれば…

*

ちゃららーらーらーちゃっちゃちゃー

「ん?」

いつの間にか眠っていたらしい俺は、某最後の幻想物語の勝利ファンファーレのメール着信音に起こされた。
「んだよ」
ぼけーっとしたまま携帯を操作。
そこに出てきた“乾 俊介” の文字に眉を潜める。
誰?
いや、思い出した。
あの野郎…。
「んの用だよ」
一体何の用だ。
無視しようか。…いや、そうするともっと悪いことになりかねない。
嫌々ながらメールを開くと、そこにはこうかかれていた。
『今日は楽しかった(はぁと) 明日は仕事があるから会えないけど、明後日は会えるよ(ニコッ) 放課後迎えにいくからね。逃げちゃだめだよ(投げキッス)』
ふざけた文章と共に添付写真が一枚。
また一段と嫌な予感が深まる。
見たくない。
しかし見ないわけにはいかない。
添付写真を開くと、そこにはあられもない格好の光一の姿がおさめられていた。

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