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天真爛漫

書きたいとこだけかく。@1

父が死んでからずっと未婚を貫いてきた母が再婚したのは、ちょうど今から二年前だった。
相手の男性、つまり義理の父は、建設会社に勤めているちょっと冴えないオッサンだった…が、とても良い人で、まぁ当人達が愛し合っているならいいんじゃね?って感じ。
俺はちょうど少し離れた場所の大学に行くのが決まった時期で、独り立ちも決まっていたから、タイミングもバッチリって感じだ。
けど…まぁ、全てが順調とばかりは言わない。
問題は…義理の父の弟の仕事にある。

義理の父の弟、叔父さんは特殊な仕事をしていた。
特殊といっても、外国人傭兵部隊にいるとか政府要人のボディガードをしているとか、はたまた種子島の宇宙センターに勤めている…とかいうわけではない。
叔父さんが経営しているのは、アダルト系の映像配信会社なのだ。
素人の女の子からプロ、女子高生から熟女、果ては男の子やガチムチ男、盗撮(演出上だが)からレイプ(こちらも演出上だが)ものまでなんでもござれの大手。
男の子なら一度はお世話になったことがあるんじゃないかな…?ってくらいには知られた会社を経営している。
だからなんだって言われたら困るが…まぁそうだ。
義理の叔父がアダルト会社の社長だったからといって、何の問題もない。
ただし、叔父が「タレントが急病なんだ、変わりに出てくれないか!?」と飛び込んでこない限り。

実際、叔父は飛び込んできた。
まだ19だった俺に。
最初は断ったものの、どうしても明日アップしなきゃいけない企画だ…と泣きつかれ、絶対に顔は見せないから!と言われ、またバイト代を弾むと言われ引き受けた。
相手はアイドルばりに可愛い女の子だったし、初めての一人暮らしでちょっとお金に困ってたこともあったし…仕方なくっていうか…まぁ割りと簡単に引き受けた。
それが悪かったのか、良かったのか…それからはちょくちょくビデオに出演することになった。
お陰で学校のやつらよりも1ランクは上の部屋を借りる事も出来たし、ちょっと後ろめたいところもあるが悪くはない。
正式に契約を交しているわけではないが、半分契約社員みたいな感じ。
近頃じゃ一ヶ月に2、3本の割合で出演していたりする。

そんな俺が叔父に呼ばれて事務所に顔を出したのは、大学の授業が終わった4時過ぎくらいのことだった。
1階のオフィスにいた女優の子(頭にAVがつくけど)たちとしゃべったあと4階の叔父の部屋に向かう。(ちなみに2階には撮影のための部屋がいくつかあって、3階は編集やビデオの配信なんかをやっているオフィスだ)
するとそこには…叔父の部屋には、彼の他にものすごく綺麗な男がいた。
「おじゃましま…す?」
声を掛けると話をしていたらしい二人は一斉にこちらを見た。
その二人の反応はそれぞれ。
叔父はほっとしたような顔をしていて、その綺麗な男…多分俺よりも年下…はキラキラとした目でこちらを見た。
「もしかして、いえ、彼がそうですよね?」
男が叔父を振り返って言うと、叔父は「そうだ」といって困ったような笑みをこちらに見せた。
「叔父さん?」
「ん?あぁ、悪いな光矢君、彼はうちの大型新人になってくれる予定の堀口君」
「どうも、堀口真です」
にっこりと微笑む彼はどこぞのアイドルよりもよっぽどきれいで輝いている。
身長も俺より少し高そうだし、頭は小さいし手足は長いし…、細いわりにきれいに筋肉ついてそう。
「ども、関光矢です。時々ビデオにでさしてもらってます」
「うん。知ってる」
知ってる?
あぁ、叔父に聞いたのか。
ちらと叔父を見ると、彼はなぜかひどく疲れた顔をしていて応接セットにつくように促した。
どうやら今日の話とやらには、彼も関係があるらしい。

三人がけのソファー。
俺と堀口が隣り合って座り、対面に叔父さんがついた。
「さて、どっから話したらいいか…、あー、光矢君、近頃はうちのような会社が他にも乱立しているのは知ってるよな?」
「え?あぁ、らしいですね」
実はネット自体俺はあまりやらないのでしらないが…。
「21.comやパピヨン、プライベートルーム…、後続が次々やってきてはそこそこの売り上げを上げている」
「はぁ」
「うちもね、キャンペーンや特典、英語対応なんかで一位はキープしてるんだけどね、ちょっと危機感感じてるんだよ。そこでここらで一つ、うちの各サイトでそれぞれスターを作ろうって事になってね」
各サイトとは、普通のアダルトサイト、熟女専門サイト、マニアック専門サイトなどのことだ。
「それで彼はペールムーンの?」
「そうだ」
こちらから話を振ると、叔父さんはどこかほっとしたように頷いた。
ペールムーンというのは、ゲイ専門サイトのことだ。
俺自身はゲイではないし、よく知らないが、そういう目でみると…確かに彼はそういう意味でももてそうな感じがした。
以前、ゲイの部門には二つの主流があると聞いたことがある。
一つはカワイイ系の男の子、もう一つがガチムチな兄貴系の男を好むタイプだ。
彼は…といえば、かなりの男前だが、微笑むとカワイイ感じになる。体格も細すぎず太すぎずでどちらの琴線にも少なからず触れてる感じ。
「へぇ、いいんじゃね」
同じ男としては、滅びろって感じだが、彼がゲイだというなら特に問題はない。
「だろう?彼は絶対に売れる」
叔父は強い確信を持っているみたいだ。
「うまくいけば流行りの…なんだ?ホモ好きの女性も取り込めると思っている」
「腐女子ってやつ?」
「そう、それだ。実は女性向けのその手のサイトも開設を企画しててね、女性向けの…まぁソフトなやつだ。それにも出していけたらと思っている」
なるほど。
それはなかなかいい考えかも知れない。
彼なら清潔感もあるし、男性向けの即物的なのじゃなくてロマンチックな甘い雰囲気重視な感じでも十分に大丈夫だろう。
「いいんじゃない?」
ていうか、彼は普通に…頭にAVのつかないアイドルとしての方がもっともっと稼げそうだと思うけど。
「光矢君もそう思うか」
「うん。まぁ」
そういってちらっと隣を見ると、堀口君とばっちり目があってドギマギした。
なんというか…心臓に悪い顔立ちしている。
画面越しに映える顔っていうのはえてして実際に目の当たりにするとそんなものなのかもしれない。
「で?俺に話っていうのは?もしかして彼のマネージャーになれとかってこと?」
「え?それもしてくれるの?」
「え?」
言ったのは堀口君だ。
驚いて見つめ合っていると「違う。それはだめだ」と叔父さんが言った。
「でも、それだと俺もっとがんばっちゃうけど?」
「いや…まぁそれは嬉しいが…それは個人で交渉してくれ」
「ふーん…」
「え?何?何の話?」
「あぁ、悪いな、光矢。実はお前を呼んだのは、彼の相手になってほしいからだ」
「相手?」
相手ってなんだ?
一瞬考えてザッと血の気が引いた。
「え?相手?」
相手って、相手って…相手?
叔父さんの顔を凝視すると、「彼の作品のパートナーだ」と苦笑された。
苦笑された… って、え?!
「は、はああああ?!む、無理!叔父さん、俺がノンケだって知ってるじゃないですか!」
「いや、知ってるんだけどさ、堀口くんがどうしても君がいいって…」
「そんなこと言われても無理にきまってんじゃないですか!お、俺じゃなくて、そうだ、南さんとか!柿丸さんとか!あの人ら人気あるし!」
「まぁなさ…しかしあいつらは確かに人気はあるが、あくまでもゲイ向けだからな。ちょっと濃いすぎんだね」
「じゃ、じゃぁ、コーイチさんとか!」
「コーイチか。一応候補にはあがったんだけど、あいつそろそろAVからは足洗うって言っててな」
テンションがカッと上がっていた俺だが、叔父さんの言葉に一瞬頭が冷えた。
「え?マジで?コーイチさん真面目に働くの?あの人、この仕事が天職とかいってたじゃん」
「だけどあいつ親が病気らしくてね、田舎で家の仕事継ぐらしいよ。ついでに身もかためるって」
「え!」
俺は驚いた。
「あの人バイだったの?!」
「ていうか、高校から付き合ってる彼女がいるらしいよ」
まじか。
俺は叔父さんの会社のアルバイトタレントみたいなものだが、ゲイ部門とはほとんどかかわり合いがない。
それでも下のロビー(?タレントが遊びにきたりしてる気楽なスペース)で、話をする機会は何度もあった。
その中でもコーイチさんとは割と気があってよく話していたのだが、彼女の話なんて一度も聞いたことがなかった。
「うわー、なんか俺、まじびっくり」
「だよねぇ、俺も驚いたよ、話聞いたときは」
なんて思いがけずまったりしていると…
「ん、んっ!ゴホン!ゴホン!!!」
わざとらしい空咳が俺の隣から聞こえてきてハッとした。
そういえば…そう…だった。
「あー…」
横を向くと、若干怒ったような堀口君の顔。
「俺、あんたじゃないとこの話から降りることになってるから」
「は?」
「だから、俺がこの話に乗るのはあんたが条件だってこと」
若干さきほどよりも荒いのは…やっぱり無視しちゃったからか?
でも…
「だからって…」
ねぇ?
そう同意をとりつけようと、叔父さんに顔を戻した俺は…彼が、一番初めに俺にAVに出演してくれと頼んだ時と同じような表情をしている事に気づき、のけぞった。
「いや…無理だから」
そう言いつつ、押しには弱いという自信のある俺は押し切られそうな予感に身震いした。

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