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雨に打たれたいお年頃

火村→←←←←←←←←←←アリス
報われてます。
モブ視点 モブはアリスの高校からの友人って感じ。
駄文

今日も今日とてアリスはアホだった。

「なぁ、クリスマス空いとる?な、デートせぇへん?」

アホだ。
傍で聞いている俺がそう思うくらいだ。
言われた当人は…と、見てみると、これがまたものすごーーーく嫌そうな顔をしていた。
ま、当然だな。
いつもクールでめったに表情を変えない火村の顔をあそこまで歪められるアリスの才能に少しばかり感心しないでもないが、やはりアホだ。
あぁはなりたくない。
「なぁ、火村、デート、デート!」
バッタバッタと暴れるアリス。ガキか。
周りの冷たい視線を少しは気にして欲しいものだ。
「しねーよ」
「え?」
「しないっていってんだ」
「えー!なんでや?」
「なんでって…大体、クリスマス以前になんでお前と出かけなきゃいけねーんだ」
「っていうか、火村、そこは“もちろんだよ、アリス。その日はお前の為に一日あけてるぜ”とか、“クリスマスにはせんちゅりーはいあっとを予約しといた”とかいうんやで」
えへ。
…って、おいおいおいおい。
何いってんだ、コイツ。
俺は正気を疑ってアリスを見た。
火村もドン引きの目で彼を見ていた。
っていうか、そのときに教室にいた全員が可哀想な人をみる目でアリスを見ていた。
アリスは気づいていないけど。
っていうか、今の言い方、絶対アリスのやつセンチュリーハイアットが何かわかってなかったよな?
…まぁどうでもいいけど。
シンっと一瞬静まり返った室内。
アリスは何を勘違いしたのか「あ、家デートでもええで」と言った。
「いや、違うだろ」
俺の言いたかった言葉を火村が口にした。
教室をまたもや見渡すと、みんな“よく言った”って顔をしていた。
まぁそうだよな。
そして教室に残っていた半数ほどがやってらんねーって感じで出ていく。
「ちゃうって何が?……えーっと、クリスマスにデートして下さい?」
それも違うだろう。
ますます嫌そうな顔をする火村。
わかる。わかるよ、その気持ち。
もういっそ殴っちまえよ、アリスなんて。その方が頭の回路の接触がよくなってマトモになるかもしれん。
「あれ?あかんかった?」
「あぁ」
「クリスマスケーキは用意するつもりやけど、それでもあかん?」
「…だめだな」
「あ、いま、火村少し迷ったやろ!」
いや、違うだろう。呆れたんだよ、今のは。
俺の内心のつっこみは残念ながらアリスには通じなかったようで、火村もまた大きくため息をついていた。
気がつけば、教室には俺を入れほんの数人しか残っていない。
「やどりぎも持ってくで」
「いらねーよ」
アリス…宿り木が何かもわかってないな…。
「きよしこの夜?」
「意味が分かんねーよ」
「えっと…あ!プレゼント!プレゼントやるで!」
アリスがパッと明るい顔をしていうと、火村が少し考えるような顔をした。
「な、な、火村なにがええ?俺、バイトしとるから今ちょっとお金あんねん」
「じゃぁ、ロールス」
「え?ロールスって誰?」
…だめだこいつ。
口にこそしなかったが、火村も俺と同じ気持ちだろう。
「じゃぁロレックスだ」
「それも誰や?」
ガラガラガラっと音がして、そちらを見るとちょうど誰かが教室を出ていくところだった。
これで教室の中には火村とアホアリスと俺だけ。
今日はバイトもないし、ゆっくり帰ろうと思ったけれど…そろそろ帰ろうか。
「ジョンロブ」
「だから誰やねん」
「ポールスミスは?」
「しらんなぁ。なにもんや?」
俺は聞くともなしに二人のアホな会話を聞きながら、荷物をまとめてバッグに入れるとそれを背負った。
「お前は本当にものをしらねぇな」
「そんなことはないで。俺、アオリイカとヤリイカの違いわかるんやもん」
「あぁ、そうかよ、わかったよ」
火村も相手をせずにいればいいのだ。下手に相手をするからアリスが調子にのる。
アリスはアホウだから、中途半端に対応するのが一番悪い。
応えられないなら“応えられない”というのではなく、“嫌いだ”と言う必要があるのだ。
それを火村の奴が妙な同情心を持ちだして甘やかすからこういうことになる。
まぁ、俺の知ったことじゃないか。
おもむろに立ち上がり、長い机の間を歩いて出入り口へと向かう。
と…。
「仕方ねぇなぁ。じゃぁ…そうだな、あぁ、お前が借りパクしたジーンズの代わりをよこせよ」
「え?」
いや、この“え?”は俺が思わず口にしてしまった言葉だ。
アリスは「こないだのジーンズって、あの裾が擦り切れたやつ?」とか言っている。
っていうか、違うだろ。
ジーンズ?
俺が知る限り、火村がジーンズにこだわっているというような印象はない。
彼は頭も顔もいいことで有名だが、他にも苦学生であるということも有名だ。
そんなに高いジーンズを買っているわけがない。
だから多分、借りパクしたってやつも5000円とかそこらのやつだと思う。
…ん?
俺は出入り口のあたりで思わず足をとめ、二人の方を振り返った。
…………
そして、ひどく後悔した。
火村…お前って……趣味悪い。
見たくもない火村の笑顔を見てしまった俺は、うんざりとした気分で教室を出た。

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