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ヒポコンデリー 07

微妙 近頃かいてなかったんで、書き方わすれた。
忘れるのなんて一瞬ね…(;´∀`)
よみかえさん。

その瞬間、スペインは自分が魔法を見たのかと疑った。

*

四苦八苦、もたもたしながら大きな木箱を中へと運び入れている御者。それを見かねて人のよいスペインは手を貸すことにした。
二人で抱え上げる箱は大きさの割に重くはない。
箱の重さを入れても30キロ少々といったところだろうか。
二人で持てば軽さを感じる程だが、なにせ大きさが大きさ。一人で持つには大変だ。
しかし一体何が入っているのか…?
プロイセンが送ってきそうなもの…。
彼は少し頭をひねったが、生憎とさっぱりと想像がつかない。
玄関から箱を家の中に運び入れ、エントランスに箱を置こうとしたスペインに対し、彼は部屋の中にまでそれを入れることを望んだ。
なぜわざわざ部屋の中まで…。
スペインはそのことを訝しみながらも、ここまで入れてしまえば一緒かと諦め応接間までそれを運び入れた。

そして、茶でも入れるべきだろうかとふと視線を放し、
もう一度御者に視線を戻したほんの数秒の間、
その間に忽然と彼女が姿を現していたのだ。

田舎の、ちょっといい家のお嬢さんといったようなワンピースドレスを着た少女。
金糸の長い髪に、透き通るような白い肌、アクアマリンのような優しい青の双眸。
まだほんの小さな女の子。しかしとても綺麗な子だった。

「え?」

思わず間の抜けた声がスペインの口から漏れた。
よく見れば、彼女のすぐ後ろには蓋のあいた箱があるし、髪やスカートが揺れている。
だから、彼女が箱の中の荷物で、そして彼女が今まさに飛び出してきた直後なのは明白。
しかしその時スペインは、

「魔法かと思ったわ」

本当に彼女が魔法のように唐突に現れたように見えた。
いっそ白い煙が彼女にまとわりついていないのが不思議な程。
子供のように胸がトクンと跳ねて、彼は御者に向けていた不信感が一瞬で吹っ飛び、彼女ににっこりと微笑んだ。
「えーっと、それで君はどこのお嬢ちゃんや?」
視線が合うように腰をかがめて言えば、彼女は「私はルイーゼロッテという。詳しくはこれを読んでほしい」と年齢の割に随分と大人びた喋り方で言った。
まっすぐな視線は痛いほど。
「ルイーゼロッテちゃんか」
「ルイーゼで構わない」
「わかった。ルイーゼちゃんやな」
差し出された封筒を受け取り、スペインがちらと御者の方を見ると、彼は彼女の後ろで恭しく跪いていた。
それをどう判断すべきなのだろうか。
まるで姫に忠誠を誓う騎士のような殊勝な態度。
彼女は…いや、それは手紙を読めばわかるだろう。
スペインは「ありがとな」と彼女に微笑み、さっそくアドラーの印が押された封蝋を破る。
そして三枚ほどの便箋を取り出し、さらさらと…しかし几帳面な文字で書かれた文章に目を通し…目を見開き、渋い顔をし、苦笑し、困った顔をし、それからふーっとため息をついた。
「あー…なるほどなぁ…」
あまりありがたくない頼みに微妙な声を上げる。
いや、こども好きなスペインとしては、彼女を預かることには全く文句はない。
ただし…国の情勢を考えると、これはなかなか難しい。
今現在、プロイセンとスペインとは表立っては事を構えているわけではないが…情勢はどう転ぶか本当にわからない。
ここ数日でどうこういうことはないとは思うが、しかし絶対に無いとは言えない。
困るスペインだが…まっすぐにこちらに向けられる視線の主に、帰ってくれといえるほど冷徹にもなれなかった。
彼は癖のある髪をがしがしと掻きながら立ち上がると、「今は持ちあわせあらへんのに」とぶつぶつ言いながら棚の引き出しをあけガサゴソと何かを探る。そして何かを見つけると二人の方に振り返り、手にとったものを御者の男の方へと放った。
慌ててそれを両手でキャッチする男。
「悪いが現金はあらへんから、それで堪忍してや」
彼が放ったのは美しい女性の横顔が掘られたカメオだった。真っ赤な台座の縁には小さな宝石が星のように散らばっている。
一目みただけでも随分と値が張るとわかるそれ。
「質屋にもっていけば、それなりの値段がつくはずや。それと…あのアホウにいうとって。…ちゃんと責任もって預からしてもらいます…ってな」
御者は恭しくカメオを押し抱くと、感動したような顔で深々と頭を下げた。

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