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猫は叱るよりも囲うべし 02

当たり前だけど、普通にいるプーが割りと好きです。
ホント書きやすい男だよね
読みかえさんよ。

三人での夕食も、もう慣れたもの。
近頃ではドイツ料理に辟易してきたらしいロマーノも3日に1回くらいは率先的に夕食の準備をしてくれる。
今日もまたロマーノが作った夕飯で、メニューは牛肉と野菜のトマト煮込み、それからトマトのスープだった。(おそらくどちらも適当レシピだろうが、かなり美味である)
彼は俺が作った料理を「なんか茶色い」といつも文句を言うが、それを言うなら彼の料理はいつだって「なんか赤い」のである。
まぁ、そんなことを言えば盛大に怒るだろうから言わないが。

そうして食事をとった後は、大体リビングでだらだらと過ごす。
兄は一人用のソファに横向きにはまって座り、日本からもらったというDSでゲーム。
俺は読みかけの本を読む。
二人だけだったなら、こんな時決まってリビングにはクラシックを流しているのだが、ロマーノが居るときはそれに変わってテレビがついている。大抵はサッカーかカーレースの番組。
今日は…と、ふと気になって顔をあげると、彼は映画を鑑賞中だった。
アメリカのところの女優が出ている。名前はブリジット…?ブリタニー…?とにかくそんな名前の女性だ。
なんとなく見ていると、美形の男性刑事が主人公のミステリー系のドラマで、女性受けを狙ったのか随所に恋愛要素の散りばめられたものであるとわかった。
事件の方はさっぱりと意味がわからなかったが、恋愛の展開はなんとなくわかった。
というのも、ちょうど主人公が恋人と修羅場っているシーンが流れたからだ。
二人は同棲中。夜。時刻は12時を回っている。女は不機嫌そうな顔でテレビを見ている。
そこにくたびれた風な様子で帰ってきた男。
この時点で嫌な予感はしたが…案の定、二人は喧嘩をはじめる。
男の仕事をわかっていながらも寂しい女と、彼女を愛していながらも今は仕事で手一杯な男。
最初から噛みあうはずのない会話。
ただのドラマなのに見ていられなくて目をそらした時、あのセリフが聞こえてきた。

『仕事と私、どっちが大事なの?』

自分に言われたわけでもないのに、そのセリフはなぜかグサリと胸にささった。
本を持った手に汗がじわりと浮かぶ。
究極の選択だ。
男はなんと答えるだろう。
俺は神託を待つ信徒のような気持ちで、頭を垂れ男の言葉を待った。
しかし男のセリフはいつまでたっても放たれず、変わりに扉が開くバタンという音が聞こえた。
何も言わない男に失望して女が部屋を出ていったのだ。
そして女性歌手のバラードが流れる。
ゆっくりと顔をあげると、うなだれる男の姿があった。
壁によりかかり、ため息をつく男。
印象的なライティングに、女性のハスキーな歌声。
カメラがパンして、彼に歩み寄る子猫を映す。
子猫は男の足元までやってくると、その足に擦り寄った。
男は猫に気づくと、上半身をかがめて猫をすくい取るように抱き上げる。
男の手の中でおとなしくしている猫。男は、なんとも言えない複雑な顔をして猫に頬ずりをする。
そこでカメラがゆっくりと引き、画面が暗くなってエンドロールが流れる。
俺は無意識に詰めていた息を吐き出すと、身体の力を抜いた。
そして、ロマーノがどんな表情であのドラマを見ていたのかが妙に気になり、彼の様子を伺った。
果たしてロマーノは…

携帯をいじっていて、全くテレビは見ていないようだった。

なんとなくがっかりしたような、安心したような。
妙な気分を味わっていると、視線を感じたのかロマーノが視線をコチラに向けた。
絡み合う視線。ロマーノは俺の視線に何を思ったのか、すぐにむっとしたような顔になりふいと視線を逸らしたかと思うと、リモコンに手を伸ばし番組を変えた。
スポーツニュース。
ちょうど今日のサッカーの試合結果が流れている。
真剣にそれを見入るロマーノに、意味不明の安堵感を覚えていると、
「あーーー…まけたぁあああああ!」
兄が大きな声を上げ、DSを持ったまま万歳した。

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