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Amann 04

約1年ぶり
やっぱこの話…微妙
よみかえさん

日曜の午後。
通りを歩いていた俺は、意外な人物に呼び止められ目を見張った。

「こんにちは!お買い物?」

洗いざらしの白いシャツに、デニムのホットパンツ、両手に抱えた紙袋。
フランシス=ボヌフォアの同居人…同棲相手…飼い主だ。
目を見張った俺に彼女は笑みを浮かべ、「ねぇ、お茶でも一緒にどう?」と誘ってきた。
彼女とは隣通しの部屋に住んでいながら、挨拶程度しか交わしたことのない中で、少し戸惑った。
だが結局は頷き、二人で近くのカフェにはいった。

カフェでは俺はコーヒーを、彼女はパフェを頼んだ。小さなチョコレートケーキがのった大きなもので、彼女はパフェ用の大きなスプーンを2つ店員に頼み、そして一つを俺に渡した。
「一緒に働いている子がね、ここのは美味しいしボリュームがすごいって言ってて。ちょうどよかったわ」
遠慮なく食べて。
彼女はテーブルの中央にパフェを据えると、クリームを掬いとった。
彼女は隣人であっても、友人ではない。
一つのパフェを反対側からつつくのは抵抗があったが、彼女は好意で言ってくれているのだ。遠慮する方が失礼になると、アイスクリームにスプーンを伸ばした。
「甘くて美味しい!太っちゃうから普段は我慢してるんだけどたまにはいいわよね」
「あなたは痩せているから、もう少し太った方がいい」
「ポッチャリ型が好み?」
からかうような彼女の言葉には答えず、俺はスライスされたバナナを取った。
そして何気なく「彼と来ればよかったのに」と口にした。
それは特に含むものはないごく自然な言葉だったはずだが、彼女は一瞬驚いた顔を見せた。
「?どうかしたのか?」
「え?ううん。何でも。フランシスよね。フランシス」
彼は今ね、創作に力を入れてるのよ。
彼女は言った。
俺は勘の鋭い方ではない。仕事に関することならまだしも、人の心情や表情を読むのは苦手だ。
だがこの時は、彼女の動揺の理由にすぐさま気づいてしまった。

彼女は、フランシスの他に誰か男がいるのだ。

その時、俺に沸き上がった感情はなんとも奇妙なものだった。
悲しいような、腹立たしいような、悔しいような…。
彼女が楽しくフランシスの事を話しているのに、相づち一つ打てない。
他人事のはずなのに、こんなにも動揺してしまうのは、フランシスに少なからず心を許していたからなのだろうか。
「大丈夫?」
声を掛けられハッとする。
しかしそれを圧し殺し、何気なさを装いながら「何がだ?」と聞いた。
でもそれは上手くはいかなかったらしい。
こちらを見る彼女の瞳が言っている。
“わかっているわ”
「やっぱりばれるのね」
頬杖をついて彼女は言う。
そして俺を見て笑った。
「そんなに緊張しないで。なにもとって食べようなんて思ってやないんだから」
「それは…もちろんだ」
「貴方って真面目ね。フランシスが言った通り」
「他に何を言われているのか聞くのが怖いな」
「悪いことは何もきいていないわよ。みんないいことばかり。フランシスはあなたのことが好きだから」
「それはどういう意味だ?」
他に男が出来たから、もうフランシスはどうでもいい。
そんなニュアンスに聞こえ、俺は少しムッとした。
彼女はそんな俺にすぐに気づいて「違うのよ」と弁解する。
「どういえばいいかしらね…。貴方には理解出来ないかもしれないけれど、私たちは一緒に暮らして入るけれど、恋人同士じゃないから」
「どういう意味だ?」
「私は彼が好きだし、彼も私が好き。だけどそれは恋愛的な愛じゃないのよ。ううん、最初は恋愛だったかもしれないけれど、今は違うの」
「それは…あなたの考えだろう」
「いいえ、彼も同じ考えだと思うわ。私達の関係は…そうね、兄妹に近いかしらね」
「そうなのか?」
「そう。彼にも聞いてみたらいいわ。きっと同じ事をいうから」
ふふふっと笑う彼女の言葉をどうとるべきか俺にはわからなかった。
手元のコーヒーをじっと見ていると、「それにね」と彼女はまた口を開いた。
「彼も知っているのよ。私が恋をしているって」
「え?」
「彼も応援してくれているの」
彼女は頬を淡く染め、とても幸せそうに笑った。

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