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君が為に嗚呼眠る 21

行き当たりばったり継続中
ちょっと短いな。 読み返してない。

翌日、朝食を取った三人はさっそく子猫を探しに出かけることにした。
昨日はフランシスとロヴィーノはずっといっしょにいたのだが、今日は三人ともバラバラだ。
見つかっても見つからなくてもお昼には一度、町の中央にある大きな広場に集合することにして彼らは解散した。

すぐに子猫を探しに出かけたフランシスとロヴィーノとは違い、ルートヴィヒはその前にやることあり、武器屋へと向かった。
狩りをはじめてまだ一週間も経っては居ないのだが、もう武器が限界を迎えていたのだ。
出来れば研ぐだけで済めばいいが、もしかしたら買い替えが必要かもしれない。
最初に武器を買った人間の店に行くと、愛想のいい青色の髪の店員はルートヴィヒのことを覚えていてくれたようで「お、早速きたね」と嬉しそうに言った。
「で、今日は何の用事?」
魔族だとわかっている相手にも愛想を崩さない彼に、ルートヴィヒは少しだけ暖かい気持ちになった。
それというのも、此処に来る途中の武器屋でドワーフとおもわれる人物に、敵意むき出しの視線を浴びたからだ。
こういうものは種族補正だからといって納得できるものではない。
自分自身が何をやったというわけでもないのに、一方的に敵意を向けられるのは決して気分のいいものではない。
「あぁ、剣を見て欲しいんだ」
「ん?こないだの剣?」
「あぁ」
そういってカウンターに剣を置くと、店員はそれを鞘から出し「うわぁ」と声をあげた。
「こりゃすごい。…っていうかひどいな」
「…あぁ」
「一体何をきったの?岩でも切った?これはもうだめだね」
「…やはりか」
刃こぼれどこじゃない。形が歪んでる。此処に大きなヒビが入っている…と色々と言われ、ルートヴィヒは肩をすくめた。
「どんだけ乱暴な使い方したんだよ…」
自分の剣をボロボロになるまで使ってくれる…というのは鍛冶師にとっては嬉しいことではあるが、しかしたった数日で使い潰されるとなると悲しみが沸く。
青年の表情を見ながら「すまない」とルートヴィヒは謝った。
「あまり考えずに振っていたせいだと思う」
「…だとしてもねぇ…」
「それに手入れもほとんどしなかったし」
「手入れしなかったって…!」
普通は使った日にはちゃんとメンテナンスするのが冒険者としての常識である。それを怠るというのは武器に対する冒涜、いやその武器を打った者への冒涜だ。
青年はカッと一瞬怒りに任せて怒鳴りそうになったが、しかしすんでで彼は相手が魔族だということを思い出したらしい。
とても渋い顔をして怒鳴りつけるのだけはなんとか抑えた。
「…そっか、あんた魔族だもんな」
「……あぁ」
「仲間に手入れできるやつ居ないのか?」
「…一応血を拭うくらいはやってみたんだが…」
「まぁそれがあんたには精一杯だろうね」
青年は苦い顔をしたままつぶやく。
彼だってこの世界の住人であるから、魔族がどれほど戦闘に特化している種族であるかくらいは知っている。
しかし、知っていたとしても、鍛冶師の端くれとして自分が一生懸命に打った武器を乱暴に使われ、潰されるのはやはり許せない気持ちが大きい。
ルートヴィヒは、彼が明らかに自分に嫌悪を感じている事に対し、申し訳ない気持ちになったがどうしようもなかった。
「すまない…それは引き取ってもらえるか」
「あぁいいよ。ただし金はだせないよ」
「それはかまわない。それで新しい剣だが…やはり此処では無理だろうか」
伺うように言うと、青年は渋い顔でじっとルートヴィヒを見つめ、それからハァっと大きく息をついた。
「…無理だな」
「そうか」
「うちの武器じゃあんたには間に合わないよ。だから…」
そういって彼は紙にサラサラと何かを書くと、それを二つ折りにしてルートヴィヒに差し出した。
「これを持って町外れにある天狗の武器屋に行きな」
「え?」
「俺の師匠のところだよ。彼は、客を選ぶけど、俺が一筆かいといたから多分武器を売ってくれる。師匠は腕がいいから、きっとあんたに見合う武器があると思うよ」
「…しかし、いいのか?」
「何が?言っとくけど、俺はあんまり腕はよくないけれど、ここにある武器は全部俺の可愛い子供なんだよ。それを…数日で潰されたんじゃかなわない。もうあんたには売れないからな」
イライラしたように言う青年。その苛立ちの中には、ルートヴィヒに対するものもだが、それよりも自分の未熟に対する苛立ちの方が大きなウェイトを占めていた。
「師匠にあったら、ビッツがよろしくいっといたって言っといてよ」
そしてさっさと言ってくれというように手を振った。
ルートヴィヒはやはり申し訳ない気持ちになりながら、「世話になったな」と小さく言うとその店を後にした。

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