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君が為に嗚呼眠る 19

行き当たりばったり継続中

衝撃的なはじめての狩から3日が経った。
ギルドのレベルをあげる為(知名度上げ)に一人外に出ているルートヴィヒとは別に、ロヴィーノとフランシスは町の中だけで生活をしていた。
彼らはその間こと細かくわけられたスキルの事や、種族の事、薬草やアイテムなどについての勉強をして過ごしていた。
その結果、ロヴィーノは“トレジャー”を目指すことにした。
トレジャーとは、体力が低く攻撃力も低いが、その変わりに素早さは一流という特徴がある職種だ。
スキルは探索系が充実しており、遠くを見通せるスキルや罠を発見・解除するスキル、危険をいち早く察知するスキルの取得が期待できる。
まだ外に出ることに不安のあるロヴィーノは、しばらくは街にある道場に通うことになるが、それは明日からの事として今日はのんびりとフランシスと二人でカフェを楽しんでいた。
通りを見れば、ありとあらゆる種族が闊歩しておりロヴィーノは未だ見ていて飽きない。猫耳や、二足歩行の蜥蜴、ロヴィーノの胸ほどの大きさしかない小人…
「あの緑色の女はなんだ?」
ロヴィーノが聞くと、正面でアイスをつついていたフランシスは通りに目を移し「ドリアードだな」と言った。
「じゃぁ、向こうの青い肌のやつは?」
「不死人」
「あっちも不死人?」
「そうそう…いや、違うわ。ありゃ魚人だな」
「へぇ」
ジロジロと見るのは失礼に当たると言うことはわかってはいても、やはりロヴィーノは珍しい姿をした彼らに釘付けになってしまう。
そんな彼が次に目をとめたのが、ウサギの耳を持った女の子が抱えているマシュマロみたいな生き物だった。
色は白で、大きさはダチョウの卵くらい。マシュマロみたいにふわふわしていて、つぶらな目と口がついている。可愛いんだか気持ち悪いんだかよくわからない。いや、あれは気持ち悪いのか?
「ありゃなんだ?」
ロヴィーノが首を傾ぐと、フランシスがそのマシュマロみたいなのを見て「おっ」と声を上げた。
「こいつぁ珍しい。あれは“モチ”だ」
「モチ?」
「ゲームのマスコットキャラクターで、ペットでもある。育て方次第でいろいろな形に進化する神獣だ」
「へぇ…」
「ちなみに卵の状態で売られてるんだが、値段はそんなに高くない。なのに何故珍しいかと言えば、育てるのもだけど、孵すのがめちゃくちゃ難しいからなんだよな」
「ふぅん」
モチを孵すためには暖めるだけではダメだというのが通説だ。確立された孵し方はないが、日にあてたり、水につけたり色々やってみることが大切らしい。
そしてそれだけやってもダメな時はダメ。
中には、なにもしなくても勝手に孵ったということもあるらしい。
ちなみに譲渡は不可で、孵した相手にしか所有できない。
「欲しいなら買ってみるか?中にはろくに世話もしなかったのに孵ったって例もあるらしいし」
「いらねー。あれ可愛くないし」
「いやいや、育て方次第じゃ、騎獣やウサウサっていうヌイグルミみたいなのになることもあるぜ」
「うーん…それな…あ?」
それなら買ってみようかといいかけて、ロヴィーノはぽかんと口をあけた。
「どうした?」
「なんか今、クエストってでた」
「クエスト?」
突然ポンっという音が頭の中で響いたかと思うと、クエスが発生したという声が聞こえたのだとロヴィーノは言った。
それを聞いて、フランシスはロヴィーノにテーブルの上に手を出すように言った。
「そう、で、手のひらは上だ。そして『カード』って言ってみな」
「カード?」
ロヴィーノが言うと、手のひらの上に唐突にカードが現れた。
どこかで見たようなカードは、ギルドの登録の時に受け取ったものだ。
出てくんのかよ。
と驚くロヴィーノ。
「っで次に『展開』」
「展開」
ロヴィーノが言うと、カードがふわりと宙に浮き、そしてミョンとA4くらいの大きさになった。それと同時に透明だったそれは半透明になり、ちょうどタブレット端末のスクリーンのようになった。
そしてそこにはロヴィーノのプロフィール(名前・種族・信仰する神など)が表示されている。
「それが“ウィンドウ”。今は表示されないけど、それでステータスチェックしたり、ログアウトしたり、遠くの仲間と会話したりしてたんだよね」
「へぇ」
「っで、上の方にタブがあるのわかる?そのクエストのとこ指で押して」
言われてスクリーンの上の方を見ると、魔法、アビリティの横にクエストとあった。
ロヴィーノがそのクエストをタッチすると、クエストのページが展開する。
「何て出てる?」
「1、はじめてのクエスト。『子猫を探せ』残り32時間、受理/破棄」
ロヴィーノがかかれている文章を読み上げると、フランシスはふんふんと頷いた。
「ま、最初の子猫をうんたらってのはクエストにつけられた名前ね、それはわかるよね。で、次の時間だけどクエスト終了までの残り時間だな。これは、受けようが受けまいが自動的に減っていく仕組みになっている」
ゼロになるまで何もしなくても(クエストに失敗しても)ペナルティがあるわけじゃないが、中には後に発令されるクエストに影響があるもの(フラグが立ったり折れたり)もあるので注意が必要になる。それはクエストが成功した時も同様だが。
「ま、最初のクエストだから単発だとは思うけどね」
ちなみにクエストをクリアすると、クエストに関わった誰かしらからお礼をもらったり、神様から何らかの支給を受けられたりする。
「今回はクエストの名前からして、子猫の飼い主が依頼主って感じだと思うけどね」
「どうすればいい?」
「受けるなら“受理”。今回ははじめてだし受けてみたら?道場は終わってからでもいいし、もしかしたらすぐに見つかる可能性もあるし」
「わかった」
ロヴィーノが受理を選択すると、またウィンドウが展開しクエストの詳細が表示された。
「『お菓子屋“マーガレット”の一人娘、トレイシーの子猫を探せ。子猫の名前は“ミィハ”黒白の猫で赤いリボンに小さな鈴を3つつけている。鈴の音が捜索の重要な手がかりになるだろう。』」
見つけたら、トレイシーに子猫を渡して上げること。
ヒント:ミィハはカラフルな物が好き。
そしてその隣に残り時間があり、少しずつカウントダウンしている。
「カラフルねぇ…?なんだろう?…あ、もうしまっていいぞ。閉じるときは“クローズ”な」
ロヴィーノはクローズを唱えつつ、カラフルな場所というのを考えた。
もう突然スクリーンのようなものがフッと消えても驚かない。
「野菜屋とか…香辛料売ってるところとかか?」
「あぁ、それに布を扱う店ってのもありうるな。他には…えーっと…花屋とか」
「あー…あとなんだ?カラフルカラフル…」
「まぁ街に出てみれば、何かわかるんじゃない?っていうか、その中に正解があるかもしれないし」
二人は早速出かけることにして、会計を終えると町に飛び出していった。

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