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君が為に嗚呼眠る 14

満足したといいつつ、他にネタもなかったので続けてみた。
読み返しません。

「いらっしゃいませ!」

二人が店に入ると、先ほど店先に商品を並べていた青い髪の青年が二人を見て言った。
青い髪の青年は20代そこそこ。まだ鍛冶屋としては駆け出しといったところか。彼は自分よりも若い客に少し戸惑ったようだった。
「えぇっと…お客さん…でいいのかな?」
「あぁ、そうだ」
ルートヴィヒが言うと、彼は笑顔を取り戻し「そっかよろしくね」と言った。
「あぁ、よろしく頼む。とりあえず、初心者用のナイフが欲しいんだが扱っているだろうか」
「もちろん。そっちの棚がそうだよ」
そういって彼がさしたのはカウンターの左手の机だった。
「えぇっと…まぁ見てもらうとわかるんだけど、まだ俺は駆け出しで…ぶっちゃけそんなに代物とはいえないんだけど…」
机はショーケースのようになっていて、ガラスの中にいくつかのナイフが並べてある。
「なるほど…補正がついていないな」
「えと…まぁそうなんだ」
補正ってなんだ?っとロヴィーノは思ったが、此処では質問しづらい雰囲気だったので彼は黙って二人の様子を見つめるにとどめた。
「触ってみても?」
「どうぞ」
彼は引き出しの鍵を開けると、それを引き出しナイフを示した。
ルートヴィヒはそれを手で持ち上げ、握りを確かめたり重さを確かめたりといったことを続けている。
「補正はないが…なかなかいいバランスだな」
「え!そう?」
「あぁ、重心がいいな。これなら素人がふるってもそこそこ使い物になる」
「えーっと…褒めてる…よね?」
「もちろんだ。ただ刃はもう少し鍛えたほうがいいか」
そういってルートヴィヒは持ったナイフをブンブンと振り回す。
「だが十分だ。ロヴィーノ、持ってみてくれ」
「エッ、あ、うん」
ロヴィーノはルートヴィヒからナイフを受け取ると、彼が先ほどやっていたように握りを確かめてみた。
「どうだ?」
「どうって言われても…よくわかんねぇ」
「ふむ…悪いが見立ててもらえるか」
ルートヴィヒが青年に言うと、彼はもちろんだと頷き柄を握ったロヴィーノの手を確かめたり、腕の長さを測ったりということをやりだした。
そして「うーん、まぁこれかなぁ」と一振りのナイフを取り出しロヴィーノに持たせた。
それは最初に試しに持ったものよりも随分薄くていかにも安っぽく見えロヴィーノは不安になった。ルートヴィヒを見ると、彼はそのナイフを見て一つ頷いた。
「まぁ今のロヴィーノならばそれが妥当だろうな」
「初心者用の使い捨てナイフだ。使い捨てといっても、そんなにすぐ潰れるわけじゃないけどね」
「そうだな、それが潰れる頃には新しいナイフが使えるようになっているだろう。ではそれをもらおうか」
「一つでいい?」
「いや、四本とそれからベルトも頼む。それと俺用の剣も探したいのだが…」
「ん?あぁ、いいよ。どんなのがいいんだ?…と…」
青年はルートヴィヒを見てふと顔を強張らせた。
「あんた…魔族か」
「ん…まぁそうだ。俺には売れないか?」
「いや、そんなことはないが…」
彼は少し渋るような表情を見せた後、ふっと力を抜き肩をすくめた。
「いや、大丈夫だよ。ただわかってるとおもうけど、俺の作った武器はあんたの手では100の力は出せないよ」
それに耐久性も下がるし…と言う彼の言葉にルートヴィヒはわかっているというように頷いてみせた。
「承知している」
「それだけわかっているならオーケー。で、どんな武器を?」
「できるだけ丈夫なのがいい」
「丈夫ね。俺のところじゃブロードソードくらいまでの大きさのものしか扱っていないが…」
二人が話しながら他の棚の方へいく後ろ姿を見ながら、ロヴィーノは少し複雑な気持ちになっていた。
魔族…ということで差別されるルートヴィヒ。
それを見ると、ゲーム…いや、別世界なのだとはいえ複雑な気持ちだ。
姿は小さくなってしまったし、種族も変わってしまったけれど…だけど、ルートヴィヒであることには代わりはないのに…。
そっとため息をついて、彼は手元の貧相なナイフを見つめ、これからどうなるのだろうと思いを馳せた。
これが現実の世界ならば…、ルートヴィヒがナイフをすすめてくるなんてありえなかった。
彼はロヴィーノがギルベルトからパクったライターを持っていただけで、頭にツノを生やして怒っていたくらい過保護なところがあった。
それがまさかすすんでナイフを買い与えてくれるようになるとは…。
本当にこれからどうなるんだろう?
「……ノ?どうした?大丈夫か?」
「お、おう。それより決まったのか?」
「あぁ、これで行こうと思う」
そういったルートヴィヒの手の中には、彼には大きすぎる剣が握られていた。
銀色のギラリとした両刃の剣に黒い柄。飾り気のない汎用型のごく一般的なブロードソードだ。
「まぁこんなものだろう」
「まいど」
そういう青年の顔は嬉しそう…ではあるが、少しつらそうにも見える。
どうしたのだろうと思ってロヴィーノが見ていると、「大丈夫だ」とルートヴィヒが言った。
「なかなか筋がいい。きっとすぐに腕を上げるさ」
「あー…はい。精進します。その前に潰れないといいんだけど…」
どうやら、あまりにもズバズバと批評するルートヴィヒに自身を喪失気味であったらしい。
彼はルートヴィヒにフォローに苦笑しながらも少し嬉しそうだ。
「まぁ、それまでに店があるといいんだけど…。この辺りは激戦区だからね」
「そうだな…しかし、とりあえずしばらくは安心していい」
「え?」
「しばらくはこちらに世話になると思うからな」
「そりゃぁありがたいね。魔族相手だと売値も色がつけられるからな」
「そんな…」
そんなことまであるのか…というロヴィーノの驚きは、ルートヴィヒに目で制されたことにより口の中で消えた。
「もちろん規定の範囲内で頼む」
「うちの場合だと 1.15 だけど大丈夫?」
「1.15だな、大丈夫だ。それと俺の剣にも鞘を頼む。ついでに背中に背負えるベルトがあればそれも」
「あぁあるよ、じゃぁ全て込みで…7,513リルド。端数は捨てて7500リルドでいいよ」
「わかった」
「一括で大丈夫か?無理ならギルドにつけることもできるが?」
「いや、一括でいい」
「わかったよ、現金にするか?それとも銀行カードで?」
「銀行カードで頼む」
「了解」
店主の青年がカウンターから取り出したのは例の水晶玉だ。
ただしこちらはギルドでみた水晶玉の半分以下の大きさしか無い。
まずはそれに店主が触れると水晶は水色に光り、次にルートヴィヒが手を当てると水晶は黄緑色に光った。
ルートヴィヒが手を離すと、今度はまた店主の青年が水晶に触れる。
ロヴィーノにはよくわからなかったが、それで取引は終わったらしく「確かに」と青年は笑顔を見せた。

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