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君が為に嗚呼眠る 11

満足したといいつつ、他にネタもなかったので続けてみた。
まだ冒険は無理だった。 前回からメモ取り出したんで、変なトコあるかも。

像の前に立ち、フランシスがやっていた仕草を真似てロヴィーノが一礼すると、水盤の上の光の一部が分かれて像に宿る。しかしロヴィーノの場合はまだ神を信仰していないせいか特定の形はとらず、ぼんやりと像が光っているだけだ。
そしてその光から、男とも女ともつかない声がロヴィーノに語りかけてきた。
『ようこそ、私は運命を司る神、ヴィヴァーネ様の使徒です。此処は貴方に洗礼を与える場です。神と信仰、恩恵についての詳しい説明は必要ですか?』
ロヴィーノは不思議な声と演出に驚きながらも、会話の内容はやはりゲームなのだと妙に感心した。
そして説明を不要だと答え、次を促した。
『それでは此処で洗礼を受ける神々を紹介します』
使徒がいうと、突然ロヴィーノの前にウィンドウが開き、白く輝く文字で神の名前らしいものが綴られていった。
時を司る者【トリトエスタ】
美と愛の神【ルリリュート】
聞き語る者【シュベリエール】
などとあり、中にはきちんと“疾風の狩人【シーモルーネ】”の名もあった。(尚、当たり前ではあるがルートヴィヒの信仰するラウドの名はない)
『それぞれの神の名を口にすることで、その神の詳細をお教えいたします』
これもまた従来のゲーム展開そのものか。いちいちすべての説明なんか聞きたくなかったロヴィーノはその作業をショートカットし「シーモルーネを信仰する」と言った。
すると“本当によろしいですか?”というような質問がされた後、像は真っ白に光り痩身の若い男へと姿を変えた。
『私は疾風の狩人、シーモルーネ。そなたに私の守護を与えよう』
性別どころか年齢もさだかでは無かった先ほどの声とは違い、今度ははっきりと若い男の声とわかった。だが、基本は石膏の像のまま、容貌などはよくわからない。
その像が、両手を広げたかと思うとロヴィーノの体を光が包みすぐに消えた。
『これでお前は私の信徒だ。私の名を汚さぬよう精進するといい。困ったことがあったり、悩むことがあったなら何時なりと祈りに来なさい。お前が私を裏切らぬ限り、私はお前の神であり、お前は私の可愛い子供である。私はいつでもお前の味方にあることを忘れないように』
彼は言い終わると、すうっと像の中から出ていった。
なんともあっけないが、まぁこんなものだろう。
ロヴィーノがフランシスたちの方に戻ると、「早かったな」「全く説明を聞かなかったろう」と笑われた。

「それで、シーモルーネにしたんだよな?」
「ん?あぁ。言われた通りにしたぜ」
「よしよし、それじゃ次は冒険者ギルドに向かうか」
三人は教会を出ると、彼らがこの世界で再会した場所へと足を向けた。
「ギルドに入ると、冒険者として登録される。すると冒険者専用のクエストが受けられるんだ」
「それだけじゃない。冒険者として登録するということは身分を保証するという事にもなる」
これが無いと出入り出来ない場所が出てきたりするんだ」
説明を話半分に聞きながら、ロヴィーノはキョロキョロとあたりを見回した。もうここにきてから1週間になるのだが、町の風景や行き交う人々、働く様子などは未だに目に新鮮である。
首輪をつけた大きなハリネズミみたいなのはペットなのだろうか、あの真っ黒な男は忍者だろか?、あの吊るされた肉は一体なんの肉なんだろう、…あ、ガネーシャが歩いている…。といった具合だ。
そんな上の空なロヴィーノに気づき、ルートヴィヒがはぐれぬようにと彼の手をとった。
ロヴィーノは手をとられた瞬間ハッとしたようにルートヴィヒを見つめ、それからつながれた手に視線を落とした。
「ちっちぇ…」
そしてボソッとつぶやく。
小さくて…しかも焼きたてのパンのようにふかふかとした手。
ルートヴィヒはその囁きにムッとしたような顔をし、小さい姿になってから口癖になった「仕方がないだろう」という言葉を口にした。
ロヴィーノは自分の手をにぎる手をまじまじと見つめると、一度手を解きしっかりと握り直した。
「小さいと視界が低くて大変だろ」
ロヴィーノがなんとなく思った事を口にすると、ルートヴィヒは「そうだな」と答えた。
「早く大きくなりたいとばかり思っていた時期を久しぶりに思い出した」
怒ったように言うルートヴィヒ。フランシスは二人の微笑ましい様子を目尻を思い切り下げて微笑ましく見ている。
「ルートは小さい頃は他の子よりも小柄だったもんなぁ~」
「え、そうなのか?」
「うん、そうだぜ。しかも昔はひどい喘息持ちで…「フランシス!」」
小さい頃の自分を恥じているらしいルートヴィヒが慌てて静止の声を上げる。
そして「何も聞くな!」と言ってルートヴィヒはロヴィーノの手を引いたままずんずんと歩き出した。…といっても、歩幅が違うので、フランシスにとっては少し早歩きになったか…くらいにしか感じないのだが。
「こらこら、視界が低いんだから迷子になるぞー」
「う、うるさい!とにかくさっさと行くぞ!」
「はいはい、そんなに慌てないの」
子どものように(?)意地をはってがむしゃらに小走りをするルートヴィヒと、そんな彼を自分の子どものように扱うフランシス。
二人のふざけあい(ルートヴィヒはふざけているつもりはないだろうが)自体は珍しくもないものだったが、姿が違っているせいか全く別のものにロヴィーノには感じられた。
これまで大人だとばっかり思っていたルートヴィヒが本当に本物の子どもみたいに見える。
フランシスも同じように感じているのだろうか…?
いや、もしかしたらフランシスにとっては大人だった頃のルートヴィヒも、今の子どもの姿のルートヴィヒと変わらないのではないだろうか?
自分よりずっと大人だと思っていた彼は、実は違っていた?
自分が見ていたルートヴィヒの姿は、その一面でしかなかった?
そう考えると、ロヴィーノはなんだか寂しいような気持ちになった。だけどそれも一瞬で、フランシスに共犯者めいたウィンクを送られると、今度は逆にくすぐったいような気持ちになった。
思わずクスリと笑うと、気づいたルートヴィヒが真っ赤になって「ロヴィーノ!お前もフランシスなどと一緒に笑うな!」と怒った。
しかし元の姿ならまだしも、今の姿ではちっとも怖くない。二人はますます笑い、ルートヴィヒは耳まで赤くするとロヴィーノの手をぎゅっと強く握りしめとうとう走りだしてしまった。

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