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君が為に嗚呼眠る 10

満足したといいつつ、他にネタもなかったので続けてみた。
そろそろ色々忘れているので、仕方なくメモをとることに…。
気力があれば、次からは冒険を始めたい…(;´∀`)

「おや、ぼっちゃん。ようやく元気になったんですね」

久しぶりに食堂に姿を表したルートヴィヒに店主が言った。
ルートヴィヒは何か反論しようとしたようだが、すんでで自分の今の姿に気づいたらしく「心配をかけた」と悔しそうに言った。

今日は三人で朝食をとった後は、街に出てみるつもりである。
本当に帰れないのかどうかは別にして、当面はこの世界でも暮らせるようにこの世界の事をリサーチするためだ。
ケ・セラセラ。
何事もなるようになる。
あまりにもあっけらかんとしたフランシス程ではないが、ルートヴィヒもようやく焦燥から立ち直り顔を前にむけだした所だ。
「ベース自体はゲームだった頃とあまり変わっていないようだが、その他は何がどうなっているのかさっぱりわからないから、色々と調べてみよう」
とはハチミツパンを食べながらのルートヴィヒの言葉だ。彼は開発に関わっていた人間ではあるが、担当はNPCのAIだったらしい。他にも街や城・ダンジョンの設計などもやってはいたが、ゲームの戦闘システムやレベルアップ、ステータス上昇に関するノウハウ、イベント、国家間の関係など知らないことのほうが多いという。
それを聞いたロヴィーノは自分が作っているゲームだろうと呆れていたが、しかしこれは仕方がない。丸ごと一つの世界を作り上げようと制作されていたゲームは、開発に携わる人もかなりの数がいて全てを把握している人間などまずいない。
総括の本田ですら、基本的な概要を知っているだけで、全てを知っているわけではないのだ(例えばダンジョンの仕様や、サブイベントなどは担当者に一任されているものも多い)。
「とりあえず、どうする?ゲームだとチュートリアルを受けた後は、洗礼を受けるんだけど」
「洗礼…。教会か。フランシスはもう受けてるんだろう?」
「あぁ、最初に受けるものだしね。一応、愛と美の女神、ルリリュート様を信仰してるよ。ちなみにルートヴィヒも受けてるからね」
「ふむ…。魔族なら闇の神か」
「そう、闇の帝王ラウドだ」
フランシスは言ってから、不思議そうな顔をしているロヴィーノに気付き信仰と神についてを教えることにした。
「この世界には何人もの神様がいてね、誰でもがいずれかの神の信徒になるんだよ」
そして洗礼を受けると、その神からの恩恵が受けられるシステムになっている。
「恩恵は色々とあってね、魅力にブーストがかかるとか、素早さがアップするとか…、あと信徒限定クエストとかあったり」
逆にマイナス面も、ある種のステータスが上がりにくくなるとか、某神の信徒とパーティを組むと経験値が減るとか…もあったりするが、基本的には受けたほうがメリットが大きい。
「別に信仰といっても毎週日曜にはミサにいかなきゃいけないというわけでもないし、特性の一つにでも考えとけばいいよ」
「神様ね」
どうでもよさげに呟いたロヴィーノにフランシスは苦笑する。
「だが、つけておいた方がいいだろうな。まずはロヴィーノの洗礼に向かおう」
ルートヴィヒが言うと、フランシスはコクリと頷き、「それから冒険者登録と、固定パーティ(ギルド)の登録だね」
彼らは幾つかの予定を立てると、朝食後さっそく出かけることにした。

 ※

教会は街の中心付近の広い芝生のひかれた敷地内にある白い巨大なドーム型の建物だ。
東西南北の四つに扉があり、どこが正面というものはない。周りは公園のようになっていて人々の憩いの場となっている。
カトリック教会のようなものを予想していたロヴィーノは少し驚いていたが、既存の宗教色を取り除くためだと説明されるとすぐに納得した。
中入ると、中央に丸い水盤がありその水盤の上ではサッカーボールくらいの光がキラキラ輝きながら浮かんでいる。そしてそれを背にする形で何体もの像が並んでいた。
像に個性はなく、むしろ石膏を大雑把に人の形に削ったような感じだ。
神父やシスターのような人は見受けられないが、聖職者は教会とは別の聖堂という場所にいるらしい。
「じゃぁとりあえず、俺がルリリュート様に挨拶してみるから」
そういってフランシスは一人で離れると、石膏の像の前に進み出た。
それをさして「あれは依代だ」とルートヴィヒは説明した。
フランシスが腕を胸の前であわせて像の前で一礼すると、水盤の中央に浮かんでいた光から小さな光が飛び出してきて像に吸い込まれる。
するとその像はキラキラと光り出し…
「あれがルリリュートだ」
美しい女神の像に変わった。
「洗礼を受けていると、あのように依代に神が降りる。祈ることによって、神とのコミニュケーションがとれる」
「コミュニケーション?」
「神託といってもいいかもしれん。気まぐれにアイテムを受け取る事が出来たり、いくつかの冒険を進めているとそれに対する報酬のようなものをもらえたり、一定レベル以上だったり条件をクリアしていたりするとクエストが発生したりする」
「ふぅん…」
「ちなみに信仰できる神は一人のみだが、信仰する神を変えるのは簡単だ。特に罰則は発生しない。但し、その場合、神に祈った際に自動的に貯まるようになっているポイントがリセットされるのでその点は注意が必要だ」
「へー…」
「あと種族によっては信仰できる神に制限があったりするが、ヒューマンの場合は特に制限がない」
そういった説明をしている間に、フランシスは祈りを終えたらしくもう一度像に向かって頭を下げていた。するとまた像がキラキラと光り、像の中から光が飛び出して水盤の上の大きな光の玉に吸収された。
「どう?わかった?」
「それで神ってどんな種類があるんだ?」
戻ってきたフランシスの言葉を無視してロヴィーノが質問をした。ルートヴィヒは無視されたフランシスをちらっとみて「基本25神+α…全部で500以上にはなる」と答えた。
「フランシスが信仰しているルリリュートは基本の神だが、俺の信仰しているラウドは条件をクリアしていないと信仰出来ない所謂レアな神だ」
「アルファに含まれる神は、レアなだけでクズみたいなのとか、開発者の趣味としか思えないもの、あるクエストをクリアしないといけないものとか色々あるんだけど、ラウドは最強の神の一人だよ」
「ふぅん…。で、俺は何を信仰すればいいんだ?」
ロヴィーノが聞くと、「俺はパルファリアが良いとおもうのだが」とルートヴィヒはフランシスを見ながら言った。
「パルファリアは偉大なる盾。守備が固くなる恩恵がある。確か魔法との相性は悪くなるが、硬さと体力の多さは基本神の中では随一のはずだ」
あまりロヴィーノは戦いには向かないだろうと選んだ神がパルフィリアだ。
フランシスはそれ自体には賛成したものの、彼はルートヴィヒの薦めるパルフィリアではなくシーモルーネを推薦した。
「シーモルーネは疾風の狩人。硬さは…むしろ他の神よりも随分低くなるけれど、その分素早さと正確さは随一だ。ロヴィーノにはソッチのほうが向いているきがするな」
「だが、一撃が致命傷になるんじゃないか?」
不満そうな顔をするルートヴィヒに、それはそれとフランシスは言う。
「そこは俺がカバーできるって。補助もあるしさ」
「ふむ」
彼らはロヴィーノの意見を全く無視して話を進めているが…しかしだからといってロヴィーノは別段不満はなかった。
何しろ彼はこれまでほとんどゲームに興味がなかったので、意見しようにも全くわけがわからなかったからだ。
だがどちらかというと、ルートヴィヒの言う硬さよりも速さが優れている方がいいような気がした。
それで「シーモルーネがいい」と言うと、あーだこーだと言っていた二人はあっさり彼の意見を採用し、彼は疾風の狩人シーモルーネを信仰することになった。

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