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バラ色の檻 02

不幸な美形とその親友
裏切りたいけど、裏切れるかな?
読み返しません。

俺は今現在、これまで感じたことのない開放感と幸福感に包まれている。
3LDKの高級マンションに閉じこもっている状態で開放感という言葉を使うのはどうかと思うかもしれないが、俺が感じているのはまさに開放感だった。そしてこの上なく幸せだった。

俺はこれまでの人生、本当に不幸だった。
女に追いかけられたり、おっさんに物陰に引きずり込まれそうになったり、股間を触られたり、おしりを触られたり、おぞましいものを贈られたり、刺されたり、私物を盗られたり、閉じ込められたり…考えつく限りのありとあらゆる嫌がらせを受けてきた。
本当に神に恨まれているのか、それとも前世でよっぽど悪いことをしてきたのかと散々悩んできた。いっそ死んでしまったほうがいいんじゃないかと考えたことは数え切れないほどにある。実際カッターを手首に当てた事もあるし、薄く切ったこともある。天井からロープを吊り下げたこともあるし、校舎の屋上の柵の外にたったことだってある。
女性が怖い、男性が怖い、むしろ人が怖い、近頃じゃ犬も猫も怖い。はねられそうになったり、拉致られそうになったことがあるから、車やトラックだって怖い。嫌な思い出がある自転車や電車も怖い。学校が怖い、デパートが怖い、映画館が怖い、もういっそお外が怖い。
外に出ると考えるだけで冷や汗が出る、人ごみの中一人でいると足がすくんで動けなくなる、人が近づいてくると目の前が真っ暗に成るような気がする、クラクションを鳴らされると心臓発作で死んじゃいそうになる…そんな症状を抱えながらも、これまで普通の人と同じように生活することができたのは何を隠そう親友のおかげである。
親友は生まれた時からの友人で、所謂幼馴染というやつだ。
家はすぐ隣同士で、幼い頃から仲が良かった俺の唯一の友人で、両親以外に心を許せるただ一人の大切な人だ。
彼がいなかったらきっと俺はとっくの昔に死んでいただろう。もしかしたら海外に売り飛ばされていたかもしれないし、変態野郎に切り刻まれて食われていたかもしれない。
彼は俺にとって大切な親友であり、俺を守ってくれるヒーローだ。
汚いおっさんに公園の物陰に引きずり込まれそうになった時に助けてくれたのは彼だ。女性教師にセクハラを受けていた時に助けてくれたのは彼だ。気持ち悪い男に手を引っ張られていた時に、そいつを殴って助けてくれたのは彼だ。衝動的に自傷行為に走ってしまう俺を止めてくれたのは彼だ。
挫けそうになったり、泣いていたり、自棄になっていたりするときに助けてくれたのはいつだって彼だ。
背は俺よりも高くて、体格も良くて、目尻が少し上がっているから人には怖がられる容姿だが、本当に優しくてかっこいい俺のヒーロー。
一度、どうしてこんなに助けてくれるのか聞いたら、彼は仕方ないだろうと困ったように笑った。
俺はもう彼に助けられっぱなしで、彼に依存しっぱなしで、彼が居ないと冗談じゃなく生きていけなくて、俺にとって彼は本当にヒーローだ。
だから彼が「俺に囲われてみるか?」と言った時も、驚きはしたけど迷うことはなかった。
そして彼が連れてきてくれたのが、今のマンションだ。
彼の叔母が、税金対策ってやつでくれたらしいセキュリティのしっかりした高級マンションの一室。
色々ガタガタだった俺を、彼は此処に連れてきて今日から此処に住めと言った。
高校も行かなくていいし、外に出なくてもいい。誰にも会わなくていいって言ってくれた。
それが毎日を地獄だと感じていた俺にとってどれほど救われる提案だったか!きっといくら言葉をつくしても俺以外にはわからないだろう。
この開放感!
この部屋は俺にとってバラ色の檻だ。



「ただいま」
「おかえり!」
俺は彼が学校から帰ってくると嬉々として彼を玄関まで迎えにいく。
彼は最初は俺だけを此処に住まわせる気だったらしいけど、俺がだだをこねると仕方がないと一緒に暮らしてくれるようになったのだ。
俺が迎えに出ると、彼はいつだって少し困ったような顔をして中にちゃんと入ってろというように手を振る。此処は安全だと思ってはいても、やはり少し心配であるらしい。
俺はそんな彼を無視して近づくと、新妻のように彼の手から鞄をとって中に戻り、手作りのおやつを出す。
今日はシュークリーム。
彼が学校に行っている間にネットで調べて作ったものだ。
菓子をつくるのは、マンションにきてからのはじめての経験だが、俺は元々なんでも器用にこなす才能があるらしく失敗したことはない。もちろん今日のシュークリームも自信作。
近頃では料理もレパートリーを増やしているし、彼が持っていくお弁当も俺が作っている。
彼はそんな俺にいつも微妙な顔をするが、せめてこれくらいはやらせてほしい。
これまでずっと世話になってきたし、俺が作ったものが彼の血肉になると思っただけで…なんというか、ぞくぞくする。
今なら、お菓子に髪の毛や爪を入れてきた女の子の気持ちがわかる…といえば、彼は後生だからやめてくれと言ったので、取りあえず今は普通にお菓子も料理も作っている。
彼の前にシュークリームをおいて、べったりと横にくっつく。
彼は照れているのかいつも離れようとするのだが、それは俺が許さない。
しばらく攻防を続けて、勝つのはいつだって俺。
「何か色々まちがったなぁ…」
と悲壮感たっぷりにいうのは、近頃の彼の口癖だが、意味がわからないので無視。
俺よりも太い腕に抱きつき、彼の唇の端についたクリームをぬぐってやり、指についたクリームをなめとったり…。
あぁめちゃくちゃ幸せだ。
俺は彼にくっついているのが本当に幸せで他にはなんにもいらない。
なんでこんな事に気づかなかったのか不思議だ。
今までだってずっと彼だけが俺の味方で、彼だけが俺を助けてくれて、彼だけが俺を傷つけなかったのに。
きっとこれまでは雑音が、俺と彼の間を邪魔する奴が多すぎたのだ。
俺が抱きついてすんすん臭いを嗅ぐと彼はいやがるけど、泣き真似をすると抵抗は無くなる。
彼も外になんて出ないでずっとずっと俺のそばにいればいいのに。
そうしたら俺はもっと幸せになれるのに。
でも俺はあえてそうしない。
だって俺は、彼が自分とは違うということを理解しているから。
彼には外の世界が(すごく気にくわないけど)必要だと理解しているから。
そして…、彼が“自分が自由である”という前提下において“俺が外に出れない”ということ、またその檻を“彼自身が用意した”という事実に彼自身がじわじわと縛られている事を知っているから。
だから少しはリードを長くしておいてもいいかなと思っているのだ。
「お前、ほんとに元気になったな」
「リュウのお陰だね」
だけど勿論奥の手は用意しておくべきだと俺は知っている。
だから近頃俺はネットを使って金儲けを始めた。
最初の資金は、俺が貯めていた少額のお金+誰かが昔俺に送り付けた五十万円(これは誰にもばれないように隠し持ってた)。だけどそのお金は、今は三倍になっている。これからもっともっと倍々に増やすつもり。
それにもう一つ。
ちゃんと囲われものとしての役目も果たせるように今は勉強中だ。
彼はこれまでの事があるからと気を使ってくれているみたいだけど、きっとしたいはず。喜んでもらえるように知識はちゃんとつけておかなければ。
「ホント、ありがとう。お前のお陰で俺は今ものすごく幸せだよ」
作り物ではない本物の笑みでニッコリと言うと、彼はやっぱり困ったような顔で笑い「そりゃよかった」と言った。





以下、蛇足。

……それにしても、近頃ようやく気づいた。
コレまで俺を苦しめたくて嫌がらせを受けていたと思っていた行為が、実は好意の元に行われていたとは。
全く理解できなかったことが、しかし気づいてみると単純明快だった。
好きだから触りたい、監禁したい、レイプしたい、その人のものが欲しい…。わかる。すごくわかる。
俺だって彼に同じことしたいし、受け入れてもらいたいし!ってことは、俺は彼を好きなのか?いや、好きじゃ軽すぎる!これは愛だ!信仰だ!
これが…恋か。
これまで本当に不幸続きで、恋なんてする機会がなかったから、これが俺の初恋である。
こんなに身近なところに初恋が落ちていたなんて…。
ならばもうやるしか無い。
初恋は実らない?そんな言葉は全力でお断りしてみせる。
そういえば、俺はネットで商売をしたり、料理のレシピを調べたりする傍ら、これまで恐怖しかなかった自分のファンページに時折アクセスしていたりする。
目当ては俺の写真やイラストなどのおぞましいブツではなく、彼ら(彼女ら)が書いている小説だ。
それも俺と彼の事を書いている小説(俺が見知らぬ男にアレコレされたり、気持ち悪い女とイチャイチャしている小説はおぞましいので、もちろん無視だ。いつかネットに詳しくなったら、ぜひともクラックしてやりたいところだ)である。その中で俺は、彼に無理やり犯されたり、らぶらぶでエッチしたり、媚薬プレイや女装エッチしたりしていたりして、とても好ましい。(中には、俺が彼を犯すものもあるけど、それよりは彼に犯されている小説の方が好みだ)
それを読むと、俺は本当にドキドキしてたまらなくなる。そして早くこんな風になりたいなと思ってしまう。
彼も多分、いやきっと、絶対、そう思っているにちがいない。
この“親友ポジション”という小説みたいに、我慢してるに違いない。
俺のあられもない姿を想像して…。
うぅ。俺の方が我慢できなくなりそうだ。
というわけで、もっと頑張らなくては。
俺から誘うのもありだが出来れば向こうから求めてくれた方が理想的(彼がますます俺から逃げられないという意味で)。
俺は近いうちにやってくるだろうめくるめく夜の生活をあれこれ考えながら、媚薬や媚薬入りローションなどと一緒に数々のおもちゃの購入を決めた。

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