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君が為に嗚呼眠る

最初は孤児もので家族ものな話を書こうと思ったけれど
途中から異世界トリップがやりたくなったというとんでもない話。
話が迷子すぎる。 多分続かない。
よみかえさん。

俺と兄さんが暮らしていたアパートの部屋の前で、衰弱しきっていた子供を保護して10年がたった。
結局、十年が経っても彼と暮らしていたらしい母親は見つからず、また親戚の類についても手掛かりはつかめないままだ。
だが、警官を職務怠慢と一概に責めることはできない。
彼らはかなり熱心に探してはくれたのだ。成果は出なかったが。
俺達は七年間、彼の母親の帰りをそのアパートで待ったが、結局今年、兄さんが仕事でドイツを離れるのをきっかけに、俺と彼、ロヴィーノは古い一軒家を借り、そちらに住まいを移すことにした。

「もっと希望は高くてもいいんじゃないか?」
朝食のサラダをつつきながら言うと、来年受験を控えているロヴィーノは「いいんだよ」とぶっきらぼうに言った。
「俺は頭悪いし、それに今の志望校だとここから通えるし」
「しかし…」
あそこは大学への進学率が…といいかけ止めた。
彼は最初高校の進学すら渋っていたのだ。
高校には行かず、働く。
そんなことを言っていた彼だから、これ以上言えばまた同じことを言い出すかもしれないと思ったのだ。
「まぁ、お前がそれでいいなら」
「いいんだよ」
金の心配なら無用と言っているが、そう簡単に割りきれぬものでもないらしい。
十年も暮らしていてまだ遠慮があるのかと少し落胆するが…そういえば、普段はとことん遠慮がないこと思い出した。
それを考えるとただの勉強嫌いか。
「…まぁ、他にやりたいことがあればすぐに言え。できる限り希望はかなえる」
「…あぁ」
わかっているのだかいないのだか。
彼は朝食を終えると、テーブルの上に置いていたトマトを掴み学校へ行く準備を始めた。
「そういえば週末は兄さんが帰ってくるらしい。夕飯に何が食べたいか決めておけと言っていたぞ」
「はぁ?あいつ、また帰ってくんのかよ」
毎週帰ってきてないか?と言うロヴィーノに苦笑する。
確かに、毎週とは言わないが、彼は頻繁に家に帰ってくる。
「そう言うな。今までずっと三人だったんだ。一人じゃ寂しいんだろう」
「ケッ」
下らないとばかりのロヴィーノ。しかし、隠してはいるがロヴィーノだって寂しがっているのを知っている。
ギルベルトがいた時は、構いたがりな彼をかなり疎ましがっていたが、いないといないで少し物足りない仕草を見せるのだ。

 *

ロヴィーノを学校へ送り出すと、俺も仕事場へと向かう時間になる。
俺の仕事はプログラマーだ。大手のゲーム会社に籍をおいており、国際色豊かな面々と仕事をしている。
直属の上司は日本人の本田で、彼はプロジェクトの総括でもある。
まだ若いはずだが、いつもニコニコしながら茶を啜っているせいか好好爺といった雰囲気がある。しかし仕事の時はとても厳しく、妥協をしない。尊敬できる人だ。
その日、会社に顔を出すと外部のデザイナーであるフランシスがきていた。
今、俺達が作っているのはバーチャルリアリティを取り込んだオンラインゲーム。そのデザイン担当の一人が彼なのだ。
「よ、ルートヴィヒ、おはよう」
「あぁ、フランシス、おはよう」
彼は兄さん、ギルベルトの古くからの友人であり、俺も彼の事を昔からよく知っている。芸術家だからか、いつもおしゃれで女性社員たちの人気も高い。
「今日はギルドが出来たって聞いたから見に来たよ」
「あぁそうか。お前は見ていなかったな」
本田に朝の挨拶と許可をとると、俺は彼をテストルームに案内した。
テストルームにはマッサージチェアのような大きな椅子が10ほどおかれている。
それがゲームへのアクセス装置だ。それに座り、ゲームをスタートさせると自動的に椅子全体がカプセルのようにすっぽりと特殊なシールドで覆われる。するとこれまた自動的に機械が脳に直接信号を送り、一種の睡眠状態に陥り同時にマシンで座った人の情報がゲーム内に再現される…というわけだ。
体を直接動かせるわけではないが、脳に直接信号を送り、また脳から直接情報を受け取る事により完全に感覚的には完全にゲームの中に入る事が出来るのだ。
ちなみにこれは一般に出回っているver2.0の後継機、ver3.0だ。
ゲーム自体はすでに動いており、現在大幅アップデータに向けて作業を進めているところだ。
「そうだ、今日はお前も一緒に入ってみないか?」
「なに?」
俺は係のものに指示をしてフランシスを振り返った。
「だからさ。一緒に入らないかっていってんの。お前、開発に関わっている割にはほとんど入ったこと無いんだろう?」
「…まぁ、そうだな。あまり表に出る部分の開発には関わっていないしな」
「表には直接はでないけれど、表で動いている部分をプログラムしているんだろう?入ってみて損はないはずだとおもうけど」
「それはそうだが…」
「何かいいアイディア浮かんだりするかもよ」
パチンと片目をつぶるフランシス。

この時には、もちろん二人はまさか二度とこの世界に戻ってこれなくなるとは…思ってもいない。

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