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フェアリーオークション

映画会社社長?三十路な独×女優志願女子高生にょロマ
にょた化が多くてどうかと思うのですが、
ロマーノ(♂)だと話が進まなくなったので…orz
読み返さない。 これくらいの年齢差、割と好きです。

いくら向いてないと思っている仕事でも、一生懸命にやっていればそれなりに板につくものだ。
日に十冊は送られてくる台本に目を通し、将来のスターを夢見る人々に猛烈なアピールを受け、売れない映画監督に予算を組んでくれないかと懇願され、報酬の件で俳優たちとやりあい、トラブルを起こした俳優たちの尻拭いに奔走する。
税金対策として別会社を立ち上げ、そこの社長に就任している兄は「お前が全部やることはねぇだろうに」とあきれているが、彼はできるだけすべてを把握しておきたいのだ。
これは性分というやつでしょうがない。
自分だってもっと上手く立ち回れたらと思ってはいるのだ。

その日もルートヴィヒが会社を出たのは、日付が変わらんとする深夜の事だった。
いっそ会社に自分の部屋を持つべきか…と彼は思わないこともないが、そうなれば彼はますます仕事にのめり込み、近いうちに過労死してしまうだろう。
それを自身もわかっているので、毎日家にかえることを自分に課しているのだ。
空腹を抱えた彼は、帰りに安い24時間営業のレストランに入った。
そして窓側の席で一人、マカロニとひき肉・卵をトマト味で仕上げた美味しいんだか不味いんだかよくわからないものを食べていると、向かいの席に誰かが座った。
顔を上げると、そこに座っていたのはこの店の店員であり、この辺りにはよくいる女優志願の若い女の子、ロヴィーナだった。
ルートヴィヒがここの常連であるため、彼女とは顔見知りで何度も言葉を交わしたことがある。
「つっかれた顔。おじさんみたいになってるよ」
「お前に比べれば十分におじさんだろう」
ロヴィーナの言葉にルートヴィヒは苦笑を浮かべる。
聞いたところによると彼女はまだ高校生。対してルートヴィヒはつい先日30の大台にのったところだ。
経営者としてはまだまだ小童、子供みたいなものだが、高校生から見れば十分におじさんの範疇だろう。
ロヴィーナは興味なさそうにふぅんと相づちをうつと、「それよりさ」とすぐに話題を変えた。
「何か役はない?小さな役でもいいんだけど!」
「またそれか」
「この際、セリフがほしいなんてわがままいわないし!」
「…無い」
きっぱりいうと彼女はとたんに機嫌が悪くなりルートヴィヒを役立たず扱いする。
「なによ!あんた偉いんでしょ!役の一つや二つくれたっていいじゃん!ケチ!」
「そういわれてもな。新人の発掘は他の人間に任せているんだ」
「だからって!あ!じゃぁ、私をそいつに紹介してよ!」
「ダメだ」
「ドケチ!」
彼女は顔を赤くして怒ると、ルートヴィヒのお冷やをとりぐいと飲み干した。
そしてざまぁみろとでも言うように鼻を鳴らした。
そんな態度にルートヴィヒはあきれ返るが、腹を立てることはない。
普段彼に売り込みをしてくる女優志願者や男優志願者は、断られても怒ることはけしてない。お願いだと泣かれたり、土下座されたり、成功した暁には大金を支払うと言ったり、病気の祖母とやらを引っ張り出したり、はたまた豊満な体を押し付けたり…と色々だが、彼女のように彼をケチ呼ばわりする人間はいないのだ。
なんだかとても新鮮で…
「なに笑ってんのよ!」
まだまだ子供だから…というのもあるが、彼はそんな彼女にいつも癒しのようなものを感じている。だからこそ彼はついつい、美味しくもない食事をとりにこの店に足を運んでしまうのだろう。
「いや。なんでもない。俺を頼るより自分でがんばってくれ」
「ほんっとケチ!あんた本当にえらいんでしょうね?無駄に筋肉ついてるくせに!ムカつく!」
「筋肉は関係ないと思うが…」
彼は困ったように口許を歪め、ふと気づいたように鞄をあさると一枚の紙を抜き出して彼女にすべらせた。
彼女は無視してツンとしていたが、
「今度、映画のエキストラ募集のチラシの叩き台だ」
ルートヴィヒの言葉を聞いて、紙にかじりついた。
その姿もまた新鮮で彼は彼女に小さく笑った。
こんなところも…他の人間ならきっと、さりげなく…興味がないふりをして紙をとるか、それとも紙を手にしながら彼に意味ありげな視線を送ってくるか、大袈裟に喜んでみせるか…少なくとも彼女のようにルートヴィヒにはもう用はない…とばかりの態度はとらないはずだ。
「映画の内容はいえないが、高校生の男女をそれぞれ20人前後募集をかける予定だ。その中に主役は入らないが、いくつか重要な役が入っている」
「本当?!」
「あぁ、まぁ女の子でセリフがあるのは2人か3人だろうがな」
「十分!」
彼女はさっきまでの不機嫌はどこへやら、不敵に笑い拳を握った。
「ところで脚本はいいんでしょうね?!」
「…それと全く同じセリフを昼間にも聞いた気がするな…」
相手は大女優だったが…。
「そんなことは聞いてない!脚本は?クズじゃないんでしょうね?!」
「…俺がゴーサインを出したんだ。予算はそれほどつかないが、きっと売れるだろう」
「やった!」
立ち上がりぴょんっと跳ねるロヴィーナ。
ルートヴィヒはそんな彼女に目を細め、「だがまずはオーディションに合格するのが先だろう」と釘を指した。
「いっておくが、俺は口の口利きはなしだからな」
「ハッ!そんなの最初から期待してないわよ!ジャガイモ野郎!」
ジャガイモ野郎…。
自分の上司…いや、雇い主になるかもしれない人間に向かってなんて口を聞くんだとルートヴィヒはあっけにとられる…が、やはり怒りは湧いて来なかった。
自分に正直で、口が悪くて、元気が良くて…それが彼女のいいところ。魅力だ。
「今に見てないさい!あんたに “君に出て欲しい映画があるんだ” って言わせてみせるんだから!」
「それはたのしみだな」
「えぇ、せいぜい楽しみにしてることね!」
ビシッと宣戦布告。
彼はそれを快く受け入れ、「ところでお冷をもらってもいいだろうか」と空になったグラスを指さした。

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