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ヴァルキリー

戴冠前。5・6歳 ルッツ
ヴァルキリープロファイルやってるんで、ヴァルキリーネタで。
パロディじゃないけれど、ヴァルキリーのイメージはVPで。
ゲームは知らなくても全然おk
読み返さない

「兄さん、兄さんは戦乙女をみたことがある?」

「あ?」

プロイセンが振り返ると、長い上着の裾をツンと引っ張って彼を見上げる弟の姿があった。
近頃ようやく体が少し大きくなったルートヴィヒは、北欧の神々…と書かれた本を持って、キラキラと期待を込めた目で兄であるプロイセンを見上げていた。
「この本に書いてあったんだ。とても強い勇者は死ぬと戦乙女に選定され、オーディンの屋敷であるヴァルハラに招かれると」
そして英霊となった彼らはヴァルハラで互いを相手に腕を研き、来るラグナロクには神の兵として戦う。
「兄さんは見たことがある?」
目を輝かせる弟に、兄は腰を曲げ、視線を合わせると「勿論だぜ」といたずらっぽく笑った。
「といっても何度かだけだけどな。本物の勇者、勇者の中の勇者だけが英霊になれるんだ」
「本当なのか?!」
「あぁ、この目でしかと見たからな」
焼け野原となった戦場、いくつも横たわる屍、野に突き刺さった剣や槍、主人を亡くした馬の悲しい嘶き。
「いつだってやってくるのは黄昏時さ。太陽がもう沈むという頃に、天から彼女たちは舞い降りるんだ」
英雄、勇者が死んだ時には生き残ったものたちは皆その死を悼む。
そこにヴァルキリーが純白の羽根をはためかせて降臨するのだ。
「ヴァルキリーがそっと死んだ勇者の前で手をかざすと、その勇者の体が青白い光に包まれる。そして魂が…宝石のようにキラキラとした光の塊が体から抜け出すんだ」
プロイセンの言葉にルートヴィヒは口を小さく開き食い入るように話に聞き入っている。
「ヴァルキリーはそれを大事に胸に抱き、そして一度大きく羽根を開く。それがまた綺麗なんだよ」
「天使様…」
「あぁ、まさにそんな感じだな。ヴァルキリーがバサッと大きく翼をはためかせると、その羽根がひらひらと雪のように降り注ぐんだ。そりゃもう幻想的な姿だぜ」
「ふあぁ…」
うっとりしたため息にプロイセンは目を細め、弟の柔らかな髪をくしゃくしゃとかき混ぜた。
そして執務用のテーブルに近づくと、ペン立てに立てられた羽ペンを取りルートヴィヒに見せる。
大きな白い羽根…
「もしかして?」
ルートヴィヒがハッと息を飲むと、プロイセンは自慢そうに頷いた。
「あぁ、ヴァルキリーの羽根だ。俺の真上に降ってきたのを一枚とって、ペンに仕立ててもらったんだぜ」
プロイセンが差し出すと、ルートヴィヒはこわごわと手を伸ばしそっと指先でその羽根に触れた。
それはしっとりと濡れたような感じで、とてもサラサラとしていた。
「俺も…会ってみたい。……俺もいつか会えるだろうか?」
期待に満ちた瞳。
勿論。
そう笑顔で答えようとしたプロイセンだったが、その寸前に言葉が詰まった。
「兄さん?」
ヴァルキリーに会うということは、つまり、それはルートヴィヒが戦場に出るということだ。
そして人の死を間近に見るということだ。
それは…国として生まれたならばおそらく避けては通れない道であろう。
しかし…
「兄さん?俺には無理だと思ってるだろう?」
ムッとして拗ねるルートヴィヒにプロイセンは苦笑した。
「さぁ、どうだろうな?」
「兄さん!」
剣も弓も兵法だって頑張っているのに。教師だって上達が早いと褒めてくれるのに。
それは逞しい言葉だ。
だが…いや…
「そうだな。…いつかお前も逢えるさ。きっと」
ルートヴィヒならば…。
「俺様の弟だからな。…きっとヴァルキリーはお前こそを欲しがるだろうなぁ…」
しゃがみ込み、コツンと額と額を合わせると、ルートヴィヒは間近でくすぐったそうに笑った。
「兄さんも誘われた事があるのか?」
「あぁ、だけど俺は簡単にはくたばらねぇからな。ヴァルキリーの奴、歯噛みして悔しがってたぜ」
ケセセっと笑うと、合わせるようにルートヴィヒも笑い…しかしすぐに顔を曇らせて「絶対に死んではダメだ」と言った。
「ヴァルキリーになんてついていっちゃダメだ。…兄さんはずっと俺の傍にいてくれる…そうだろう?」
「…あぁそうだな…ルッツ」
とりあえず…もう少しは。お前がもっと大きくなるまでは…。
最後の言葉は飲み込み、プロイセンはルートヴィヒを力強く抱きしめた。

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