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ピエタ 09

シバ=主人公(一応、多分、きっと)
シュウジ=無口で大柄、喧嘩半端ない  クロ=切れ長の美形、頭のネジが緩い
ヒロ=美人系、割りとまとも?  カナ=バカナ シュウジが好き
ユウキ=新人 チャラい。  ナンゴウ=赤毛 不良。
ミヒカ=大学生でバンドリーダー  間宮=ヒロのバイト先の先輩

ミヒカさんが好きなのはボンジョビで、俺たちのバンドはそれに加えてニルヴァーナやストーンズ、ガンズローゼスなど所謂王道を築いたロックバンドの流れを組んでいる。
音楽をやってるやつや、詳しい奴はあたりまえに知っているようなバンドであるが、高校生くらいだと知らない奴も多いらしい。
とにかく近頃はちょっと変わった事をやろうというバンドが多い中では珍しくスタンダード。
それが受けたのか、かなり人気は高い。
他のバンドから『ただのカバー音楽』『ただのアレンジ、やきまわし』などと言われることはあるが、俺はそうは思わないし、ミヒカさんもただの妬みだと取り合わない。
ほんとミヒカさんは色々と大きくてスゴい人だ。
近所の幼稚園児から八十代の元将棋のプロまで顔がきくのも、この就職難の時代に大企業から幹部候補としてオファーがくるのも、あんだけもてて女性関係のトラブルが一切ないのも尊敬に値する。

俺たちが出ていくと女の子たちの黄色い歓声が迎えてくれた。
『ミヒカ~』とハートマーク付きの歓声が一番大きく数も多いが、中には俺を呼んでくれる子もいてテンションが上がる。
そしてミヒカさんがMCやってる間に機材チェックして、仲間と合図しあって静かにイントロ開始。
しばらくするとミヒカさんがMCを切り上げ、後ろを振り返り、一気に音量を上げて俺たちのライブはスタートした。


※ナンゴウ※

近頃知り合ったシバというやつにライブに誘われた。
こんなのは初めてだったから、実はかなり嬉しかった。

俺は中学の時にこっちに越してきた。
昔いた場所は九州の田舎で、回りは田んぼばかり…とはいわないが一学年がようやく二クラスあるって感じのところだった。
学年の奴はお互いにみんな知っててみんなが幼馴染みでってかんじ。俺だって友達はいっぱいいたんだ。
だけど、こっちにきてからは一人になってしまった。
原因は親父ゆずりの強面と、向こうの訛りのある言葉のせいだ。
今は標準語になってしまったが、昔は訛りがひどくて引っ越してきた当初はそれが恥ずかしくて俺は殆どしゃべらなかった。
その上にこのいかつい顔だから、友達なんてできるわけがない。
皆から遠巻きにされ、話しかけてくるのは俺に喧嘩を売りたい奴ばかり。
幸い…いや、不幸にも?…喧嘩が出来たから、虐めには発展しなかったが、俺はますます孤立してしまったわけだ。
高校になったら頑張ろうと思ったが、話しかける事すら出来ずにすぐに挫折、ムカついて頭を真っ赤にして、またまた孤立。
近頃では所謂不良に微妙になつかれ、本当にぐれてやろうかと本気で考えていたくらいだった。そこにぽっと出てきたのがシバだ。
彼はすらっとした体型で、かなり見た目がよかった。
話しかけられた時は、嫌味な奴なんだろうと警戒したがそんなことはなく、むしろとてもフレンドリーだった。
喧嘩を売るか、怖いものみたがり、もしくは仲間に引き入れようとする奴らとしか近頃では話すことがなかったから本当に新鮮で、俺は感動さえ覚えた。
此処にきて初めての友達になれるかもしれないと思うと、緊張でろくにしゃべれなかった。
それなのに彼は気にした様子もなく話しかけてくれる。
ライブに誘われた時は有頂天だった。
家にかえって(一戸建てを建てた途端父親は転勤になり、母親と共に今は北海道だ)、もしかしたらチケットを売りさばきたかっただけかもしれないと不安になったが、すぐにチケットがたった500円だった事に気づいてその考えを打ち消した。
そして俺は指折りこの日を待っていたのだ。
ずっと友達なんかいなかった俺だから、ライブなんか行った事がない。
何を着ていけばいいのかもかなり迷って、ネットでモデルが着ていた物を一色購入した。
同じくネットでライブレポートみたいなの読みあさって雰囲気を掴んで、地図で場所を確認して…
で、今日。
ライブレポートで想像していたより店はかなり狭いかんじだが、人は思った以上に多かった。
男女は半々位で十代の~二十代ばかり。皆洒落ていて異様な熱気に包まれていた。
しきりに話しかけてくる女の子を無視してステージに目を向けると、お面をかぶったバンドが演奏をしていた。
彼らの曲はよくわからない。
俺はあまり音楽を聞く方じゃないが、それでも好みではない音だ。
ボーッと見ていると、やがて彼らは袖にひっこんだ…と、それまで壁側でしゃべっていたやつらが一斉にフロアの中央に集まりだした。
誰もがお待ちかねの雰囲気。
俺はどうやら次のバンドが今夜のメインらしいと悟る。
誰もいなくなったステージ。
向かって左側からそのバンドの一人が顔を出した瞬間、耳をつんざくような歓声が上がった。

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