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ピエタ 08

シバ=主人公(一応、多分、きっと)
シュウジ=無口で大柄、喧嘩半端ない  クロ=切れ長の美形、頭のネジが緩い
ヒロ=美人系、割りとまとも?  カナ=バカナ シュウジが好き
ユウキ=新人 チャラい。  ナンゴウ=赤毛 ???
ミヒカ=大学生でバンドリーダー  間宮=ヒロのバイト先の先輩

店内は入ってすぐ右側にカウンターがあり、壁に沿っていくつかテーブル付きの席、そして椅子がズラッと並べてある。
フロアの中央は広く開けられており、そして奥にステージがある。
広さは教室二つ分くらい。
俺たちのようなバンドがよく利用する店で、店長も昔はプロを目指すバンドマンだったらしい。
フライドポテトやチーズの盛り合わせなど、料理というような料理はメニューにはないが、飲み物はとても充実している。
今日はライブという形式をとっているが、普段でもアマチュアのバンドならば格安でステージを借りれ、大体いつでも生演奏が聞ける。

俺たちの出番は八時過ぎから。時間帯もいいし、会場の空気もあたたまっているし一番いい時間帯かもしれない。
これもリーダーであるミヒカさんの力だろう。彼は天然のカリスマの持ち主で、やたらと顔が広い。
そして彼はヴォーカルなのだが、少し掠れた色っぽい声をしていてヴィジュアルもいいから女性のファンも多いのだ。
そのミヒカさんは、バンドで演奏する曲を口ずさみながらリラックスした様子で俺に近づき、冷えたスポーツドリンクをくれた。
「水分はちゃーんととっとけよ」
「ありがとうございます」
「ん。緊張はすんなよ。いつも通りやればいいし」
ミヒカさんはニコニコ笑いながら俺の背中を叩くと、ふらりと別のメンバーのところに移って行った。
ほんといい人。
理想の先輩だ。
ぼんやり見てると携帯がなる。メールだ。
誰かと思えばクロ。
『せっかく来たのに出てこないから帰る』
…って…。
俺、ちゃんと出る時間帯教えといたのに。
一応、今から出番だとは伝えたが、クロの事だ。淡々と帰るに違いない。(多分シュウジも一緒だろうが、引き留めてくれる確率は低い)
まぁ来てくれただけでもありがたいと思うべきだろう。彼はチケットこそ買ってくれるものの、めったに足を運んではくれないから。
俺は携帯を閉じると、イアホンでバンドの曲を聞きながら、気持ちを高めることにした。


※ユウキとカナ※

「あぁもう五月蝿い!だから嫌いなんだよね!」
フロアに響く大きな音に、カナはぷくっと頬を膨らませた。
「しかもなに?あいつらマスク!あんなのがかっこいいとでも思ってんのかな?だっさ!」
そして、それを演奏するバンドマンにも文句を向ける。
そのバンドは縁日で売られるキャラもののお面をつけて演奏するバンドで、そこそこ人気があるのだが、やはりカナは気に入らない。
「あーもう!さっさとシバ出てこないかな?」
「んー、あと一曲くらい終わったら交代じゃない?」
不機嫌なツレの横で、ソワソワとしているのはユウキ。
ライブには何度か足を運んだことはあるそうだが、この店ははじめてだと言う。
「っつか、女の子のレベルたかっ!うわ、あのこ、パンツ見えてるし!」
キョロキョロしながら、女の子のチェックに余念のないユウキは、かなりテンションが高い。
カナはそんなユウキを軽蔑の目で見るが、彼は気づかない。カナは「あ、あのこ超好み!」とか言い出したユウキの腹に無言で肘鉄を食らわせた。
「いった!なに?!」
「なにじゃないし!なに鼻の下伸ばしてんの、みっともない」
「鼻の下って…いいじゃないか、可愛い子がいたら目で追うのは健康的な男子…いたいって!」
ユウキはカナに足を踏まれて情けない顔をする。
「僕、女の子に興味ないし、デレデレしないでくれる?」
「あ、カナちゃん、もしかして焼きもち?…ごめんって!」
拳を握ったカナにユウキは慌てて手を振った。
そんなやりとりをしている間に、お面のバンドの演奏は終わったらしい。
「あ、終わった」
軽く後片付けをする彼らを見てユウキが言うと、カナはキョロキョロとあたりを見回した。
「誰かいるん?」
「うん、そういえばヒロも来るっていってたから、どこかなって」
「ヒロ?」
二人でフロアを見渡すが、いつの間にか客がぐっと増えていて見つけることが出来ない。
「うーん、いた?」
「いやぁ……あ!」
首を横に振ったユウキはある一点で目を止めると、驚いたように目を見開いた。
「ん?いたの?どこ?」
「いや、ヒロじゃなくて……」
っつか、なんでこんなとこにいるんだ?
ユウキは人混みの中にちらりと見えた赤い頭に首を傾いだ。


※ヒロと間宮※

「こういうところによくくるの?」
ヒロに聞くのは、ヒロのバイトの先輩であり大学生の間宮だ。つい先日ヒロに告白し、そして振られた男でもある。
彼はあまりこういう場所には足を踏み入れないのか、少し緊張しているように見える。
「はい、まぁ時々。知り合いが出るんで」
「チケットくれたこ?」
「バッチリお金はとられましたけどね」
にっこりと微笑んでみせると、間宮は目を見張り、ついでくやしそうな顔をした。
「その子が本命?」
単刀直入に問われ、ヒロは「さぁどうでしょう」と意味ありげに返した。
そして闘志あふれる表情を見せる間宮を彼は少し意外に思った。
彼はあまりしつこく一人にこだわるタイプではないと思っていたのだ。
それは気持ちの面では引きずるかもしれない。しかし、断られてもまだヒロを口説くような人間だとは思わなかった。
そんな態度は人としては好意が持てるが、しかしそれを向けられる側となると少し厄介だ。
「チケットの半券でドリンクと交換できるんでいきましょう」
ヒロが誘うと、間宮は不機嫌だった顔を笑顔に変えた。

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