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夢の続き 01

2009年?くらいに書いたものを20120730に改稿
お前が世界をこわしたいなら…の続き捏造みたいなかんじ。
あれから一体、どれくらいの月日が流れただろう?
何年? 何十年? それとも何百年だろうか?
いくつの季節が私の前を通り過ぎ、何人の人が私の前を通り過ぎていった。
大きな災害がいくつも置き、戦争や紛争は世界のあちこちで起こる。
異常気象、高温、低温、寒波、干ばつ…砂漠化、緑化、自然エネルギー、宗教紛争、テロ、独裁国家の崩壊…
世界はうつりかわっていくのに、私だけが変わらない。

死にたい それを考えないといえば嘘になる。
若いまま永遠に生きる。
それは、ある人には魅力的に思えるかもしれないが、私にとっては拷問のように長く辛い日々でしかない。
死んでしまえば楽になれるかもしれない。
だって彼は居ない。
彼は行ってしまった。
私を置いて行ってしまった。
寂しい。寂しい。寂しい。
一人は嫌。
ならばいっそ…。
しかし彼女はいつだって最後の一歩で踏みとどまる。
純銀の弾をつめた拳銃をあるときはこめかみにあてて、あるときは心臓に向けて、あるときは口にその銃口を加えて・・・何度、引き金に手をかけただろう?
しかしそのいづれも果たされずに終わった。
いつも最後に浮かぶ彼の姿に指が動かなくなる。

だめよ。環奈・・・死んではだめ。
生きてさえいればいつか、必ず……。

自殺を試みた後には、いつだって涙が彼女の頬を濡らした。

なにを馬鹿なことを考えているんだろう?
また会えるなんてこと…どこにそんな保障があるっていうのよ。
いつだって一人だった。
きっとこれからも…、この先もずっと…それでも…
泣きながら笑う自分はとても滑稽で惨めだった。

彼女は拳銃を鍵付の引き出しにしまい、冷蔵庫をあけた。
そこには、ワインのビンがごろりと横になっている。
涙をぬぐうこともせず、それを手にとるとゆっくりとそれを呷った。
のどを下る液体は冷たくて、でもそれもじきに熱を帯びて身体をかっと熱くさせる。
アルコールではない。ストックとして持っている人の血液だ。中には抗凝固薬が入っており、数日間冷蔵庫に入れられていた今もさらさらとしている。
環奈はいつだってこれを飲んだ後は、怒りたいような、泣きたいような、大きな声でわめき散らしたいような気持ちになる。
彼女は口元に伝った赤い液体を拭うと、ふらりと立ち上がり浴室へと向かった。

彼女は近頃、自分がかつての蓮をなぞるような行動をとっていることに気づいていた。
彼と同じように、大学へと通い。まじめにレポートを書く。
とくに興味もない男の人と付き合っては血だけをもらって別れる。
人の中にまじり、なるべく人とかかわらないように。地味に、誰の記憶にも残らないような人間を心がけて生きていく。
そんな自分を惨めだと思う一方、彼女は自分を誇らしくも思っていた。

ねぇ、蓮、私、一人でなんでもできるようになったのよ。
今の私ならば、きっと貴方に迷惑をかける事なんてないはずよ。

そんなことをふっと思い、そして現実に戻って落ち込む。
もう彼は居ないのだ。
愛しい人は、永遠に失われてしまったのだ。

しかし、彼女には近頃ある一つの予感を抱いている。
何かが始まろうとする予感。

近頃頻繁に見る夢。
性別の分かれていないような美しい顔をした子供が、何かキラキラとしたもので遊んでいる夢。
なんだかとても悲しくなる夢。
なんだかとてもわくわくする夢。
そんな夢を見た日には、彼女は決まって枕を涙で濡らしている。
何かが動き出す。
いいことも悪いことも、嬉しい事も悲しい事も、いっしょくたに始まる。
始まってしまう。
何かが…。
環奈はもどかしい思いに胸をかきむしる。
何か、何かとても大切なことを忘れている気がする。
とても重要な事を…。

***

「あの…すみません。いつも、夕方ここで川を見ていますよね。」
「え…?」

欄干によりかかり、ぼんやりと川の流れを見ている時に掛けられた声。
気配を消していた環奈は話しかけられた事に驚いて後ろを振り返り、そして目を見開いた。
彼女に声をかけたのは十代後半か二十代にさしかかったくらいのまだ若い男。
線の細い体つきに生まれつきなのだろう茶色の髪と、その髪と揃いの茶色の目。
恥ずかしげにはにかんでいる男に、彼女は強い既視感を抱いた。

そんな…
嘘。
本当に?

「蓮…?」

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