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飴玉を噛み砕く 07

ゲイ専用ソープ店の世話人

国見はしばらく機嫌が悪そうにしていたが、テナントで入っているお好み焼き店に入った途端機嫌を取り直した。
こういうとき、引っ張るやつは1日不機嫌とかでうんざりするが、国見は体育会系なせいかわりとさばさばしていて好きだ。
「なぁ、飯食ったら映画見ねぇ?」
「『プラネットX~悪魔の星~』?」
「そうそう!あれまだ見てないんだよね」
「俺もまだ…けど、評判悪くね?」
CMはがんがん流れてるし、街中にポスターが貼られてるのもよく見る。
だけど見たやつの感想は期待ほどじゃないってのが大半だ。
舞子も近頃見たらしいが、イマイチだったとか言ってた。
「え?そうなのか?誰かは面白かったって言ってたけど」
「誰かって誰だよ、まぁいいぜ、見たいなら」
俺が了承すると、彼は嬉しそうに笑った。
「よし!じゃ決まりな」
俺は彼にお好み焼きを焼くのを任せ、携帯で映画の予約を入れることにした。
時間はこれから大体一時間後で、ゆっくり昼食でも食っていけばちょうどいい時間だ。



前評判通り?映画はイマイチだったが、国見的にはすごく面白かったらしく、宇宙人が!とか、とりつかれた女の子が!とか大興奮。
国見、バカだしな。とか思ってると、やたら彼が可愛く見えてきた。
これがバカワイイってやつなんだろうな。
彼の話を聞きながらぬるい気持ちになっていると、それに気づいたのか国見はさっと頬を赤く染めた。
「クラッチ…。お前、今、俺の事アホだと思ってたろ」
「えー、そんなことないって」
「いーや、思ってたね」
拗ねた顔をする国見の頭をポンと叩き、「ただバカワイイなぁって思っただけだし」と言うと、赤い顔をした国見に悔しそうに睨まれた。
「くそー、しかしバカは本当だし言い返せねぇ」
「でもその分、スポーツは誰にも負けてないじゃん」
「体動かすのだけはな」
「それだけですごいって」いや、マジで。
国見はアホだけどとにかくすごい。
「まぁいいけどさぁ~…」
「そういや今日はよかったのか?なんか練習とか試合とかあったんじゃねぇの?」
「ん?あー、そゆのは入れようと思えばいくらでも」
「いうことが違うね。今日はサボり?」
「…ってわけでもないかなぁ」
国見曰く、大学でやっているテニス以外は全部正式メンバーではないらしく、行っても行かなくてもという感じであるらしい。
「それにそろそろ真面目に勉強しないとやばいし」
「なんで?」
「なんでって…親に将来は家手伝えって言われてるし」
「家って?」
「不動産屋さん」
初耳だ。
「もしかして金持ちなの?」
「なわけないじゃん。不況なのに。普通だよ、普通」
「でも、お前、顔広いしいい営業マンなれそうじゃないか」
「親父と同じこと言うなよ」
苦笑する国見。彼は将来もスポーツで食っていくものだと思っていた俺としては意外だが、彼は趣味を仕事にする気はさらさらないらしくあっさりとしたものだ。
「それにさ、割と気楽なもんだよ、マンションの収入もあるし」
「うわ、羨ましい」
「将来困ったら頼ってくれよな」
「むしろ今すぐたよりたいよ」
俺が言うと、彼は愉快そうに笑って「よし、お前くらい俺が食わせてやる」ととても男前な台詞を口にした。
しかし不動産屋の息子か。
バイトもしてないのに金回りが良さそうだと思っていたが、そういう事だったのか。
謎がひとつ解けたと同時に、俺は彼のことを一つ知れて嬉しくなった。

俺達は夕方近くまで遊んで、食材と酒を買い込み俺の部屋になだれ込んだ。
国見は今日は手作りの餃子を作ると張り切っている。
俺も少しだけ手伝ったが、あまり助けにはならなかった…ぶっちゃけむしろ邪魔だと言われたので、缶ビールをちびちびやりながら料理ができるのを待つことにした。
「しかしアレだよな、お前、顔もいいしスポーツもできるし優しいし金持ちだし将来安泰だし料理も出来るって…めちゃくちゃ良物件だよな」
「はは、頭悪いけどね」
たしかに。
「けど、弱点を補ってあまりあるってやつだ」
「誉めすぎ」
振り返って苦笑する国見はやっぱりバカワイイ。
「いや、まじだって。モテるわけだ」
むしろ俺が見る目なかったなぁ~と言っていると、国見は黙り込んでしまった。
怒ったか?と思ったが、耳が真っ赤なところを見るとどうやら照れているらしい。
「か~わい」
からかうと、彼は真っ赤な顔でこちらを振り返り「クラッチ!」と言った。
その顔にズンと腰が重くなった気がして俺は慌ててビールを口に運んだ。
相手は国見だってのに…おいおい。
焦りながら彼を見ると、まだ耳が赤い。
「っつか初すぎんだろ」
ボソッと呟く。
毎日女の子にきゃーきゃー言われて、コクられまくってんのに。
あぁ、口説かれた経験がないってやつか?
俺はペロリと唇を舐め、そしてそんな自分に気づいて自嘲した。
なんか、ヤバイかも。

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