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愛の敵意 03

茅萱(ちがや) = 不良  まだ名無し = 会長
圭吾 = 茅萱の友人  瞬 = 化物(王道転入生)

「なんか一日も経たないうちにめっちゃやつれてね?」

昼過ぎにようやく登校できた俺を見て、俺の唯一の友人ともいえる圭吾はケタケタと笑った。
「…うっせぇ」
凶悪さにかけては定評のある顔でギロリと睨んで凄むと、彼は途端に引きつった。
「い、いや悪かったって!っつか、本当にどうしたんだよ。なんかめっちゃやつれてるんだけど」
「…だろうな」
カバンを机の横に下げ、ぐったりと席に座り込むと圭吾が心配そうに俺の顔をのぞき込んだのがわかった。
「で?マジどうしたん?ヤバいクスリでも手ぇだしちまった?」
「…アホか」
「じゃぁどうしたんだよ」
ちらっと圭吾を見ると、まんざら面白がっているだけって感じでもなく見えて、俺はほんの少し、ほんのすこ~し圭吾を見なおした。
そして俺は昨日あった出来事をポツポツと話した。
部屋に帰ったら化物がまたギャーギャー騒いでいた事。そして当然のような顔をして生徒会のやつらも入り浸っていた事。そして会長に凄まれ、化物と一緒に暮らしているのが気に入らないからと引越しを強制されたこと。
「え?それっていいことじゃん?」
「引越し先が会長の部屋じゃなければな」
「は?」
がっくんと圭吾の顎が落ちた。
そうだろう。驚きだろう。
俺だって信じられねぇさ。この学校一の人気者、顔も成績も家柄も文句なし、但し生活に難アリな俺様男の部屋に俺が同居してるんだぜ?
「そりゃ死ぬわ」
「だろ?…しかも、昨夜何食わされたと思う?」
「何?手料理とか?」
「アホか…」
そんなんみたら卒倒するわ。
「じゃぁなんなん」
「…フルコース」
「は?」
「だからフルコースなんだよ!」
適当に部屋を片付けて居眠りしてたら夕方くらいに会長に起こされた。
ダイニングのテーブルにつくように指示され、一体なにが始まるのか…と身構えていると、ピンポーンと部屋のチャイムが鳴った。
会長はそれがわかっていたように玄関へ行き客を迎えた。
「マジビビったし、制裁がはじまんのかと思ったし」
「はははは、お前が?」
「……」
「…悪かったって…、で?」
俺はてっきり生徒会のメンバー、もしくは腕っ節に自信のあるゴツいやつらが入ってくるのかと思って、マジびびっていた。
早速締められる…って。
いや、もちろんヤラレっぱなしになるつもりはないが、それでも多勢に無勢の状況なら押さえつけられて一巻の終わりだろう。
手といわず、額といわず嫌な汗がぶわっとにじみ出た。
だが…入ってきたのは、台車を押したタキシードを着た男だった。
「すげ」
「しかも、二人いるんだぜ?」
まず一人がテーブルにさっとクロスを引いて、すんごい手慣れた様子で皿とかフォークとか並べだして…
「すごいよな、グラスがいくつかあるんだよ。ワイン入れる用とか、食前酒用とか…」
「すげー…さすが会長。嫌がらせのレベルたけぇ」
「だろ?」
「そのへんから記憶曖昧だよ…マジで」
うっすらとワインの種類がどうとか言われたり、端からナイフとフォークを使うってのを考えたりしてたような覚えはあるんだが…本当に曖昧だ。
何食ったかも曖昧。なんかパイっぽいのとか、緑色のソースがかかったちっさな魚とか食った気がするけど…。あとは覚えてねぇ…。
「味がしないなんてもんじゃねぇ、食った気がしなかったな…」
「だろうなぁ…」
圭吾は同情たっぷりに俺を見た。
「しかもさ、朝からも似たようなもんなんだぜ?」
「まじで?フルコース?」
「じゃなくて、なんつーの?今度は調理台みたいなの運んできてさ、その場で“卵はどういたしますか?”とかいわれて」
「え、卵?なんて答えるの?」
「だろ?俺もわかんねーって!!真っ白になった」
「うは…まじ会長鬼だな」
「おう、まさかこういう方向で嫌がらせがくるとは思ってないから精神的にかなりこたえたな…」
「で、結局どうしたんだ?」
「真っ白になってたら会長が先にスクランブルエッグに…っていったから…俺もそれでって言った」
「ドヤ顔してた?会長」
「いや、見てねぇけど…」
してたんだろうな…。
こんなこともわかんねぇのかよ…って見下したようなドヤ顔。
「で、腹壊して重役出勤?」
「……おう」
俺の答えに圭吾は苦笑したが、バカにはしなかった。
むしろ大いに同情してくれたようで、「どうしてもつらかったら俺の部屋に逃げてきていいぜ」と言ってくれた。
マジ感謝。

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