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HEROES

ヒーローの名前は適当です。
途中から読み返してない

俺は戦隊もののヒーロー、レスキューファイブのブルーを演じている。
お決まりのレッドがリーダーで、他にイエローと女の子のピンクとホワイトがいるよくある戦隊ものだ。
ただしお子さま向けと侮ってはいけない。
レスキューファイブは、ただ悪いやつを倒すという簡単なストーリーの他にも、生き別れた兄弟の確執、仲間の中でのラブコメ展開、深刻な病に倒れているかつての仲間の話、司令のあまりにも悲惨な過去と復讐…など、大人をも十分に引き付けるストーリーが魅力だ。
これが大ウケして、当初は放映が日曜の朝7時台だったにもかかわらず、視聴率を常に10パーセント以上をキープ。
第二期からは夕方六時からに移り、大ブレークしたのだ。

レッドはキリッとした眉と爽やかな笑顔が魅力の正義感で子供たちはもちろん女性の人気はピカイチ。
そんなレッドとジレジレなラブコメを演じているのが、ヒロインのピンク。
活発で勝ち気な役で、ちょっとつり目気味な顔立ちは若い男に大人気。
そのピンクと人気を二分するのは、ピンクとは反対におとなしくおっとりとしたホワイト。
そしてそんなホワイトに思いを寄せられているのが、俺。影があり、時折謎の行動をとる、世の中を斜めに見ているようなクールガイのブルー。
そしてお祭り男のイエローは、ちょっと年配のおばさまがたに大人気。
彼は本部で戦闘のサポートをしてくれるオペレーター(割りとよくキャストが変わる)に毎回恋しては振られる寅次郎みたいなキャラ。
お陰で俺たちはいろんな番組やイベントに引っ張りだこ。
レッドは演技力が認められ話題作の映画出演が決まっているし、イエローは物怖じしない性格からバラエティーに引っ張りだこ。
ピンクとホワイトは写真集を出した後、ユニットを組んでアイドルみたいに歌を歌ってる。
俺もまぁ他の奴らほどではないが、いくつもの仕事を掛け持ちでこなしている。

そんな中、俺はちょっと困った事になっている。
といってもおかしなファンにストーカー行為を受けているとか、番組内で思いを寄せられているホワイトのファンに嫌がらせを受けているとかそういうのではない。
問題はレスキューファイブのリーダー。
何となくグループにされている俺たちの中でもリーダー的なポジションにいるレッドの事だ。
彼はとても男気があって頼り甲斐がある、まさに兄貴タイプ。
スタッフや監督からも好かれ、メンバーからの信頼も厚い。
俺もまた彼を頼りにしていて演技に迷った時や、出演を迷うオファーが来た時にはマネージャーとは別に彼によく相談を持ちかけ、プライベートでも仲良くしてもらっていた。
その彼が…何をとち狂ったのか俺の事が好きだと言い出したのだ。
そして、断ったにも関わらず人目も憚らぬ猛アタックを仕掛けてくるのだ。
まだまだシリーズは続く予定だし、気まずくなるのはいただけないと放っていたお陰でレスキューファイブのスタッフ全員にこの事は知れわたっているし、番組を抜きにしてレッドに好意を寄せていたピンクとホワイトには睨まれるし、イエローには同情されるし…散々な目にあっている。

今日もまた…、撮影所でピンクとホワイトに挟まれて談笑していたレッドは、俺を見た途端二人を振り払って俺の元にやってくると、蕩けるような微笑みと共に俺の肩に腕を回した。
彼にはあの殺意のこもった二人+女性スタッフの一部の視線が全く気にならないらしい。
そしてまた他の奇異や同情の目も。
「今日は遅かったな、ブルー」
「ん、あぁ」
「少し寝不足か?顔色が悪い」
「おい、さわるな」
頬を指の背で撫でられた俺は慌てて彼の脇を肘でつついて牽制する。
「あぁ悪い」
それに彼は形だけの謝罪を口にし、寄りかかるように俺に体重をかけてくる。
「おい」
「いいじゃないか、これくらい。この場で襲われるよりましだろ?」
「ばかかお前は、そんな事されてたまるかよ」
「なぁ、どうしたんだよ、まさか遅くまで女と遊んでたとか言わないよな」
「アホか」
「なぁ、違うよな?後でお前のマネージャーに確認するぞ?」
「お前ほんとアホだろ」
彼は控え室までついてくる気らしい。
イエローがそこにいるならいいが二人きりなら都合が悪い。
レッドはそのキャラ設定そのもので、基本的には押せ押せの強気で自分の信念を曲げない。
「台本覚えてただけだって」
「本当に?」
「今日は俺の長台詞入ってんの知ってるだろ?」
「だけどさぁ…こないだもお前新人アイドルと写真とられてたじゃん?あいつと一緒だったとか…」
「あれははめられたっていったろうが!呼び止められてただのファンかと思って対応したところを撮られたんだって!大体なんでお前に浮気を責められるようなこと言われなきゃなんねぇんだよ!」
かっときて思わず声が荒くなるが、当の本人はなぜ俺が怒っているのかまるで分からないようでキョトンとしている。
まったくわかっちゃいない。
思わず脱力。
俺はため息をひとつついて諦めてしまう。
その態度がレッドを付け上がらせているのはわかっているのだが、天然な反応されるとどうでもいいような気分になってしまう。
「で?あの女とはもうあってないんだな?」
「当たり前だろう。いい迷惑だ」
「じゃぁ本当に台詞覚えてただけ?」
「そうだって」
ふーんといいながらまた顔を触ろうとするレッドを引き離し、控え室に入るとイエローが畳の上で寝ていた。
イエローはよく寝るし、よく食べる男だ。
俺は持っていたバッグを下ろすと上着を脱ぎハンガーにかけられていた衣装を手にとった。
俺達、レスキューファイブは高校生のヒーローだ。というわけで、今日の衣装は架空の高校のブレザーだ。
Tシャツを脱ごうとした俺は…
「おい」
脱ぎかけたところで動きを止めるとじーっとこっちを視姦してやがるバカを睨み付けた。
「ん?なんだ?」
「なんだ、じゃない!こっち見んなよ」
「え?どうして?」
またもやキョトンとしたレッドに、今度も脱力した。
あほくさ。
もうどうでもいいか。
俺は彼に背を向けて着替えを続行した。
背中にグサグサと刺さる視線…。
はぁ…。
ちらっと振り返ると、なんと携帯のカメラをこっちに向けているではないか…。
「お前さ、そんなことばっかやってるとその内、捕まるぞ」
呆れて言うと、「お前だけだし」とよくわからない返事。
ここでまた脱力してしまうのが俺の悪い癖だが…この時もまた流してしまった。

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