スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

愛の敵意 02

一年半ぶりくらい? なんか書きたくなったので。
茅萱(ちがや) = 不良  まだ名無し = 会長
圭吾 = 茅萱の友人  瞬 = 化物(王道転入生)

このまま話の通じないクリーチャーと暮らすか、それとも本気で俺の命をとろうとしている男と一緒に暮らすか…。
これはとても難しい問題だ。
クリーチャーと暮らしていけば死ぬことは無いだろうが、近いうちに俺は気が狂ってしまうだろう。
そして後者なら、近いうちに確実に死ぬ気がする。
出来ることなら両方を拒絶して家に帰りたい。…だが、残念ながらすでに他人の手によって賽は振られてしまった。
そう、俺は強制的に殺し屋の家に同居することになったのだ。

 *

「すっげぇ広いな…」

思わずそんな言葉が出るほどに、生徒会長様の部屋は広かった。
入ってすぐにモデルハウスのリビングのような広い空間が広がっている。
全面に大きなガラス窓、バルコニー、壁にかかった薄型で大型のテレビモニター、フローリングの上に敷かれた毛深な絨毯、北欧から取り寄せた…といわれてもあっさり信じそうな家具の数々…。
こんな部屋、テレビの中でしか見たことがない。
「すっげ」
一般生徒の部屋と格差が凄まじい。
リビングの半分はダイニングスペースになっていて、対面キッチンもある。
「そっちがトイレ、奥が風呂だ。左手が俺の部屋で、右手の部屋はお前が使っていい」
「…はぁ」
持ってきた荷物を持ち上げ、言われた部屋を開くと…ちょっとしたホテル並の部屋がお目見えした。
セミダブルのベッドに、使い勝手のよさそうな勉強机、そしてその上には大きなモニターのデスクトップパソコン。本棚には勉強に使えそうな辞書が取り揃えられており、壁にはよくわからない絵まで飾られている。
すげえ。
「照明はこのリモコンを使う、エアコンはこっちだ。あぁ、それから部屋のカードキーを渡しておこう」
そういって会長が俺に渡したのは俺が持っていた一般生徒用の赤いカードではなく、黒い滑らかなカードだった。
「毎日パスワードが変わるようになっているから、毎朝部屋を出たら一度寮監の部屋にいくことになる。面倒だがやらないと部屋に入れなくなるから注意が必要だ」
「…はぁ」
「それと、悪いが友人を部屋に呼ぶ…などの行為は認められない。それと俺の部屋にも極力入らないでくれ。生徒会の仕事で生徒の個人情報を扱う場合があるからな」
「…あぁ」
なんというか…親切だ。
一体どうしたんだ?会長は。
ハッ、まさか俺を信用させて油断を誘うという作戦か?っと…会長の顔を見ると…見てる見てる、めっちゃガン見されてる。
やっぱり“実は親切な良い人説”は間違いだった。
ものすごく怒ってる顔してるし…ありゃ、これからどう料理してくれようか、ケケケって顔だ。
ゆっくりと視線をそらすと、大げさにため息をつかれた。
「共有スペースの掃除はいえば係のものがやってくれるが、個室については自分で管理することになっている。何か質問は?」
「…あー…、えっと、ここに暮らすのは誤解が解けるまでってことでいいのか?」
「誤解?」
「だから化けも…じゃなくて、俺の元同室者だよ。あいつに近づきすぎるのが原因なんだろう?」
「…………あぁ」
「だったら、それが誤解だってわかったら、戻ってもいいってことだよな?」
「元の部屋に戻りたいのか…?」
ぐっと低くなったような声に、思わずウッと詰まる。
「い、いや、そうじゃなくて!俺だってあいつと一緒の部屋は嫌なんだぜ?あいつときたら朝から晩までぎゃーぎゃーうるせぇし、何かと生徒会…あー…独占欲の強い友達ってのを部屋に呼ぶし、そいつらに敵意向けられるし…まじとんでもなく迷惑っていうか…」
「じゃぁずっといればいい」
「あ?」
「ずっといればいいじゃないか。何か問題があるか?」
思わず顔を上げると、相変わらず怖い顔。…しかし、心なしか威圧感が低いというか…。
「それとも俺と同室は嫌か?」
なんというか…
「瞬と一緒の部屋がやっぱりいいのか?」
こんな言い方されると、俺のほうがだだをこねてるみたいな…かんじ…じゃね?
「いや、だから、あいつと一緒の部屋はかなりストレスっつーか…」
「でもそれでも俺と一緒の部屋よりマシだといいたいのか?」
「じゃなくて」
なんか話の展開がおかしいぞ。
何故、女になじられる煮え切らない男…みたいな気分になってんだ?
「じゃぁ何が問題なんだ?家具が気に入らないか?それともこの部屋が嫌なのか?」
「はぁ?」
「…家具はお前の趣味に合わせたはずだし…ここが一番いい部屋なんだが…。仕方がない。それなら他にもいくつか来客用のゲストルームが空いているはずだから、ここが嫌なら…」
「いやいや、そうじゃなくて…っつか、そっちだったら俺の一人部屋でいいのか?」
そう聞くと、会長がギリッと奥歯を鳴らした。
「そんなに…俺と一緒の部屋は嫌なのか?茅萱…」
「うぇ?」
本当に話の展開が読めなさすぎる。
俺がアホだからか?そうじゃないよな?
ひきつりながら会長の顔を見ると、彼はやっぱりものすごーーーく怖い顔で唇をかみしめている。
しかしやっぱりなんか威圧感が低いというか…むしろこっちのほうが虐めているような感じがするというか…。うぅ、胸がチクチクする。
なんで俺が罪悪感を感じなきゃいけないんだ?
嫌がらせ受けてんのは俺だよな?いや、これから彼と同じ部屋になることによって陰湿な嫌がらせを受けようとしているのは俺だよな?
彼の監視下に置かれ、神経をすり減らし、命を狙われるのは俺だよな?
会長と同じ部屋は嫌っていうのは普通の感性だよな?
なのに…なんだこれ。
なんで、俺が会長の親切心を裏切ってるような気分になるんだ。
「俺が…、俺の何が悪いんだよ。茅萱…」
じっと見つめる目からは殺意ではなく、懇願がにじんでいるように見え、俺はまた大きく動揺した。
まるで…、まるで、お気に入りの男から俺を遠ざけ、そして嫌がらせをするために同室になるのではなく、純粋に、何のよこしまな気持ちもなく、むしろ好意すらもって俺と同じ部屋になりたいといっているような…。
いや、これはもちろん違う。
こんなこと信じるやつは完全に思い上がっている。
大馬鹿野郎だ。
しかし…
チクチクチクチクチクチク…。
「わかった…」
俺は見た目ほど非情な人間じゃない。むしろ、人はいいほうだ…と思う。
たとえ勘違いでも、騙されていたとしても…俺はこの良心の痛みに耐えられない…。

「俺はここに住む」

近い内に…遺書を書こうと思う。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。