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029. 目指せ甲子園、野球部の夏

カイセシカイ前提で。 適当。駄文。こじつけ。 読み返さない
スーパイコが方言だったなんて知らなかった。
太平燕と同様流して下さい。
興味があったら調べてくださいね。美味しいですよ!

眠っている内に屋根の影が随分移動していて、セシルの体の半分は日向に出ていた。
「つか…いつのまに」
朝からサボると決めてここにきたときには一人だったのに。いつの間にやってきたのか。
「おいセシル」
俺のふともものあたりに頭をのせ、スカーっと気持ちよさげに眠るセシルを揺らす。
「起きろって」
起きないのにムカついて、足をずらし頭を落とすと「んあ」とおかしな声を上げてセシルはぼんやりと目をあけた。
「おはよう」
「んー…」
セシルは肩にかかるくらいに伸ばした猫毛をくしゃくしゃとかき混ぜ、ふわっと大きく口を開けてあくびをした。そしてゴシゴシと目をこすり「おはよう」とこちらを見ずに言った。
その一連の仕草がやたらと胸をくすぐるもので、思わず伸ばしそうになった手を、衝動をこらえるのにはかなりの努力を要した。
俺は意識的に目をそらすと、近くに転がしておいた携帯を取る。
セシルからの着信が2件。何処にいるんだと問うメールが2通。それから女の子たちからのどうでもいいメールが5通。
遠くでチャイムが聞こえ、ふと時計を確認するとちょうど昼になったところだった。
「カイン、お昼は?」
「ん、どっかいくか」
「中華食べたいな、久しぶりに」
「来々軒?」
「んー、王王軒がいい」
セシルの提案にうぇっという顔をしてしまうのは仕方がない。
来々軒と王王軒、方向的には正反対、しかし此処からの距離は大体同じ。
しかし、王王軒はがらが悪い事で有名な工業高校の近く。古い言い方をすれば、他所の縄張りだ。
やつらときたら、21世紀にもなって学校の頭がダレとか、1年の頭はダレとか、ランキングが…とか言っているアホばっかなのだ。
喧嘩は日常茶飯事として、酒や煙草はあたりまえ、しょっちゅう警察がやってくるという噂だし、校舎は落書きだらけだし…。
「あそこなぁ…」
「王王軒のスーパイコが食べたい」
スーパイコ?っと一瞬考えたが、酢豚のことだと思い出した。
しかしセシルはピーマンが嫌いだったはずだ。ついでにパイナップルも。
「太平燕(タイピーエン)にしとけよ。お前あれ好きじゃん」
「あ、好き好き。よし、決まり!」
「って、本当にいくのかよ」
立ち上がったセシルに聞くと、彼はん?と振り返りニコリと笑った。
「大丈夫、大丈夫、今日平日だし、まだ昼だし」
「関係ねーって」
うちの高校のやつらなら、午後も授業あるし外には出ないってやつが多いけれど…
工業に限ってはそれは通じない。
あいつらは朝以外は大抵どこにでもいる。
授業があっているはずの時間はもちろん、深夜から朝方にかけても。
「やなんだよなぁ…あいつら」
学ランが制服になっている工業のやつらは、ブレザーの制服をおれたちが大嫌いであるらしく、見かけるとやたらちょっかいを出してくる。
それでもまぁ平和を保っているのは、工業の一番のライバルがそのまた隣にある農業高校のやつらだってのもあるが、俺達が彼らの縄張りには入らないようにしているってのも大きい。
それをわざわざ出向くって…。
「絶対ケンカ売られるよ」
「大丈夫だよ、王王軒のおやっさんめっちゃつえーし」
「…それは…しってる」
俺は何度か彼が、大きな豚の骨や中華包丁、または中華鍋を持って不良どもを追いかけているのを見たことがある。
「だから大丈夫だって」
「そりゃ店内ではな」
セシルに差し出された腕につかまり立ち上がりながらため息。
「あそこはセーフティーゾーンだからな。けど、一歩出たら確実に喧嘩売られるって」
「買わなきゃいいし」
「あいつらは押し売りするんだよ」
「じゃぁ腹八分で押さえとかないとね」
「は?」
聞き返す俺にフフッと楽しそうに笑うセシル。
この性悪が。
無視も殺しませんって顔をしてやがるくせに、時々妙に好戦的になる。
まぁ、きらいじゃないけど。…ていうか、むしろ……だけど。
「仕方ないよ」
「…あぁ」
俺の内心を見透かすように言うセシルが憎らしい。
「じゃぁいこっか」
俺達は寝床にしていた市営球場近くにある公園から出ると、河川敷に沿って王王軒に向かった。
そのあたりはランニングコースというか、いいお散歩コースというか、
セシルの後をついて歩いていると、ふいに彼がしゃがみこんで何かを拾ったのが見えた。
「何拾ったんだ?」
俺の問いかけに、セシルは右手に持ったものを見せた。
野球の…硬球?+すごく嬉しそうな顔。
まさかこの流れで“今から野球しよー”なんてことはないだろう。
ならば、大事そうにそれを手に持つセシルにもう何もいうことはない。

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