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戦慄のアリア

独ロマだけど…幸せじゃない感じ。
病んでるロマ。 全部許す独。 しかも二人は主役でもないかんじ(笑
なんだそりゃ です。
読み返さない

兄ちゃんには小さな時からずっと大好きな人がいた。
兄ちゃんはその人が大好きで、大好きで、その人だって兄ちゃんの事をすごーく可愛がっていて。ふたりともっごく仲がよかったんだ。
だから二人はこのままずーっと一緒にいるんだろうな~ってなんとなく思ってた。
だけど、その人はある日、綺麗な女の人と結婚してしまって兄ちゃんからあっさり離れてしまった。
それまでずっとその人とだけ一緒にいた兄ちゃんは突然ひとりぼっちにされちゃって、すごく悲しんでて…それですごく怒ってた。
毎日泣いてて、毎日怒ってて、自分や他人を傷つける事をいっぱいいっぱい言って、昔のアルバムを破いちゃったり、手首を切ろうとしたり、飲んだくれたり本当に手に終えなかった。
俺は、兄ちゃんじゃない誰かを選んだ彼をすごーく恨んだ。
恨んだけど、どうしようもないことだから責める事はしなかった。
その代わり、兄ちゃんにはもう近づかないでって言った。
その人は俺の言葉を聞いて、すごく傷ついた顔をしたけど結局はそれを受け入れてくれて、どこか遠くにいっちゃった。
俺はそんな彼をやっぱり恨んだけど、多分それで良かったんだって思うことにした。
それに今は、彼よりも兄ちゃんの事を考えなきゃいけなかったから。

俺はがんばったよ。
女の子たちと遊ぶのはやめて、毎日家に帰るようにしたし、酷いこと言われても絶対笑顔でいたし、毎日美味しいご飯作ったし、少しでも楽しめるようにパーティも開いたし、旅行も企画したし、難しいオペラのチケットもとったし、無理をして引っ越しだってしたんだ。
だけど、ダメだった。俺じゃダメだった。
兄ちゃんにとって俺は、あの人を思い出すメタファでしかなかったんだ。
俺じゃ…ダメだったんだ。
それに気づいた時から、俺は上手く笑うことができなくなってしまって、言葉も上手く出てこないようになってしまった。
でも頑張ったよ。俺。
仕事も止めちゃって、ずっと兄ちゃんといるようにして、ずっと…兄ちゃんとだけいるようにして…。
だけどさ、それってきっとおかしかったんだよね。すごく間違ってたんだよね。
俺の様子を心配した親友の本田が、突然家にやってきたと思ったら無理やり俺を引っ張りだして…、そして俺の代わりに同じく親友のルートヴィヒが兄ちゃんの面倒を見てくれる事になったんだ。
実はね、このあたりの事、記憶が曖昧なんだけど。

本田はその時の事を話すとき、いつも辛そうに「本当に心配しましたよ」って言う。
自分自身では少し弱ってるな~って感じだったけど、本田から見ると全然そうじゃなくて俺はほとんどノイローゼ状態だったんだって。
「笑顔はないし、声に抑揚はないし、あまり食べないし、寝ないし」
そう指折り症状を数え上げ、「本当に元気になってよかったです」って泣きそうな笑顔でいう。
今思い起こすと、この時の本田は兄ちゃんを慰めてた時の俺みたいに必死だった。
でもね、やり方は違ったんだ。
俺はね、とにかく兄ちゃんを甘やかしてばーっかりだった。でもね、本田の慰め方は優しくするだけじゃなかったんだ。
いろんなことを俺にやらせようとしてた。難しいことじゃないよ。だけどね「お料理をするので、ジャガイモを剥くのを手伝ってくれませんか?」とか「お掃除をするので窓をあけてくださいね」とか、簡単な事をちょっとずつ頼んで俺をマイナス思考の谷から少しでも引き上げようとしてくれたんだ。
「ポチくんの散歩、一緒にいきましょうね」
「少し髪が伸びてきましたね、私が切ってあげましょうか」
「庭に朝顔を植えたんですよ。毎日の水やりはフェリシアーノ君の当番ですからね」
最初は本当にうざったかったんだけど…それでも少しずつ体を動かしているうちに、俺は立ち直ることができたんだ。
そしてある日、突然パチンってしゃぼんだまがはじけたみたいになって、「ごめんね」って俺は本田に言いながら大泣きしたんだ。

俺が立ち直るまでに三ヶ月くらいかかっちゃった。
だけど、兄ちゃんのもとに戻るのはもう少し先の話。
本田がまだ時間が必要だって言ったから、本当は今すぐにでも兄ちゃんのところに帰りたいのをじっと我慢していたんだ。
ルートが一緒だしね。多分、大丈夫だって信じてたんだよ。

それでね、結局、再会まで一年もかかっちゃった。

兄ちゃんは最後に見たときよりも少し痩せて見えたけれど、顔色や表情はあの時よりもずっとずっと良くなっていた。
そしてそんな兄ちゃんの隣にはルートが立ってたんだ。
俺ね、すぐに気づいたよ。ルートの隣に立つ兄ちゃんと、兄ちゃんの隣に立つルートを見てすぐに気づいたよ。
そしてね、兄ちゃんの気づいたんだよ。俺が気づいたってことに。
兄ちゃんはね、俺の顔を見て少しだけ怒ったような顔をして、そして俺のことをぎゅっと抱きしめたんだ。
お互いに「ごめんね」って言って、「よかった」って言ったんだ。
そしてその日は久しぶりに二人で同じベッドに入った。
俺は本田の家でのことを話して、そして兄ちゃんにルートとのことを聞いた。
まぁ半分は予想通りって感じだったんだけど、でも半分は全く違った。
兄ちゃんは言ったんだ。
「ルートのやつ、“あいつ”を忘れる必要はないって言ったんだ」
「好きならずっと好きでいいじゃないかって言ったんだ」
「彼を嫌いだと思う必要はないって。自分を否定する必要はないって」
俺はその言葉を聞いてすごくびっくりした。
だって、兄ちゃんは“彼”のことに区切りをつけて、ルートのことを好きになったんだと思ったから。
でも違ったんだ。
ルートは、兄ちゃんが“あの人”が好きだという気持ちの延長上にいるんだ。
目を丸くする俺を見て、兄ちゃんは笑った。
「誤解するなよ、俺はルートヴィヒのことだってすきなんだ」
なんだか複雑みたい。

兄ちゃんはそれからルートと暮らすようになったんだけど、平気で“あの人”のことを話題に出して、今でも好きだって言う。
あの人がどんな風に笑ってたとか、どんな料理が好きだったかとか、どんな場所に連れて行ってくれた…とか。
最愛の人を自慢するみたいに…ううん、そのものに褒め称えるんだ。
最初に聞いたときはドキドキだったよ。
だってその場にはルートだっていたんだからね。
俺は柄にもなく青ざめちゃったんだけど、それはその場にいたみんな同じだった。
でもね、当のルートはなーんにも気にしてないみたいで、またまたびっくりしちゃった。
傷ついたとか、ショックを受けたとか、悲しんだとかそんなんじゃなくて、全部、兄ちゃんの言ったこと全部肯定しちゃって、すごく優しい顔をして兄ちゃんの肩にぽんって手を置いたんだ。
俺達がカチーンって固まっているのなんか全く気づいていないみたいに!
俺はなんていうか…なんていうか…そんなふたりを見てすっごいすっごい感動しちゃった。
うん、わかってる。
これじゃルートって報われてないんじゃないの?とか、兄ちゃんはずっと引きずったままなの?とかっていろいろ考えるよね。
でもね、なんていうか、違うんだ。
兄ちゃんはね、多分、あの人のことまだ好きだよ。
うん、それは兄ちゃん自身口にしていたからね、それは正しいんだ。
多分この先もずっとずっと好きなんだと思うよ。
だけどね、それとは別のベクトルでちゃーんとルートの事もすきなんだなってわかるんだ。
ルートの方はね、兄ちゃんがあの人の事を引きずっているのを気にしていないっていうか…そうじゃなくて、そういうのぜーんぶひっくるめて、認めてるっていうか…好きなんだなっていうか。
これって正しいのかな?それとも間違っているのかな?
一抹の不安が無いことは否定出来ない。
でも幸せそうな二人を見てると、なんだか大丈夫かな?って思ったりもする。
だって兄ちゃんもルートもすごく幸せそうだし…ね。
まぁ普通のカップルとはちょっと(?)色々(?)と事情が違うけれど、俺の兄ちゃんだし、包容力満点のルートだし。
大丈夫!うん。きっと大丈夫!

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