スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

遠慮なくおいで 02

タレント:ロマ マネージャー:独
ちょっと前回とテンション違う疑惑。設定も多少ちがってるかも^^;
微妙

俺には弟がいる。
フェリシアーノという名前でちっさい頃は本当にそっくりで、よく双子に間違えられていた。
そんな俺達は新人監督の撮った短編映画に出てくる双子の役でデビューした。
映画自体は最初は全くと言っていいほど話題にはならなかったのだが、海外の映画賞に出品され、ノンフィクション・短編映画部門とかなんとかで金賞を受賞した事から映画や監督とともに一気にメディアに露出することになった。
それからずっと二人で活動していたが、やがて別々に活動をはじめた。
人当たりがよく、トークも得意な弟はマルチタレントとしてバラエティ番組やトーク番組に出ていて、近頃では他のタレントとユニットを組んで歌も歌う予定らしい。
反対に愛想は決して良いとは言えず、即興的な話しをするのも苦手な俺は、映画に出たり、テレビのナレーターをしたり声優なんかをやったりしている。
兄弟だが仕事はほとんど被ることはなく、ファンの種類も違う。どちらが人気かは比べられないが、稼ぎはトントンというところだろう。

その弟が、7時台のゴールデンタイムにテレビに出ていた。
何人かの若いタレントと一緒にゲームをしている。
ちょっと変わったボーリングみたいのやら、壁に張り付いたり、つるつるの斜面を上ったり。
なにが楽しいんだかさっぱりわからないことをニコニコ笑いながらすごく楽しそうに。つまらない番組だが、弟が出ているので消しはしなかった。
近頃はほとんど会うことがなくて、ほとんどがそっけないメールでのやり取りしか無いが、別に仲が悪い…わけじゃない。

扉が開いた音に背後を振り返ると、奥の部屋からマネージャーをしてくれているルートヴィヒが出てきた所だった。
彼の手には今度俺が出演する事になっているドラマの台本がある。
彼は俺の台詞にマーカーを入れ、あまり頭が良くない俺のために難しい漢字にルビを振ってくれたり、難しい単語の意味を添えてくれていたのだ。
彼は俺のそばにやってくるとテレビを見、フェリシアーノの姿を見つけると目を細めた。
俺はそれを見て胸がズキンを痛むのを感じた。
彼は昔、俺とフェリシアーノ、二人のマネージャーだった。それを仕事が別れる時に、無理やり自分の方に引っ張ってきたのは俺だった。
本当は、俺よりも彼はずっとフェリシアーノと仲が良かったのに。

「頑張っているみたいだな」

ルートヴィヒの言葉に俺は弟が出ている番組をつけていたことを後悔した。
俺が黙っているとルートヴィヒは疲れているとでも思ったのか、俺の隣に座り顔をのぞき込んだ。
「大丈夫か?」
そして髪をさらりと撫でた。
俺はなんだかすごくナーバスになってしまって、顔を覗き込むルートヴィヒの首に両手を回して抱きついた。
ルートヴィヒの体はその瞬間ビクンと跳ねて強張ったが、俺を突き放すことはなかった。それどころか、俺が落ち込んでいると思ったらしく、そっと背中に手を回してさえしてくれた。
もともと俺が早くに親元を離れて仕事をしていたことに対して同情的なルートヴィヒは、俺に対してかなり過保護だ。親や家族なんて、俺はなんとも思っていないのに。
俺は彼の肩口に顔を埋めながら、本当は俺じゃなくてフェリシアーノのマネージャーがしたかったんじゃないかと言おうとして…もしそれを肯定されたらと思うと怖くて聞くことができなかった。
それにこんな弱気な事をいうなんて…俺のキャラじゃないし。
黙っていると、ルートヴィヒは本当に俺のことが心配になってきたのか、「どうしたんだ?」と気遣うように聞いた。
いつもならそれにカッとするところだが、気分が沈んでいて何も憎まれ口が出てこない。
代わりに「泊まっていくよな?」と聞くと、ルートヴィヒは珍しく素直に頷いた。
いつもこう素直なら可愛げもあるのに。…いや、それは俺のことか。
俺ときたらいつもいらない見栄をはって下らないプライドのためにキャンキャン吠える。
弱い子犬みたいに。
守るものなんてないのに。
それでもそうやって意地を張らないと、俺は俺でいられない。
面倒だと自分ですら思うような人間だ。
「つかれているなら、今日はもう休むか?なにか食べるなら簡単なものを作るが…」
彼は言って俺を体から離して額に手を当てた。
「ふむ。熱は無いようだな」
彼は難しい顔をして言い、俺の目を覗きこむ。
こいつ…本当にどんだけ過保護なんだろう。
唇に噛み付いてやろうか。少しだけそんな誘惑に駆られたが、今はその優しさに甘えていたくて…俺はまたルートヴィヒに寄りかかるようにして目を閉じた。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。