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コミカル・ラブドロップ

ねこたりあで独ロマ。
名前は国名で。 微妙 読み返さない

俺は体をひねらせ、櫛のようになったざらざらの舌で全身を綺麗に舐めていく。
時々喉に抜け毛が引っかかるのが気になるが、それそれ。あとで葉っぱを飲み込んで、無理やり吐き出してしまえばいい。
なにしろ毛づくろいというものは、猫にとって昼寝と同じくらいに大事な仕事だ。
毛を綺麗に保つということは、身だしなみを整えるという事ももちろんだが、健康を維持するためにも必要不可欠なものである。
兄などは遊びに夢中でロクに手入れをしないので、俺としては非常に気になる。
時々捕まえて、仕方なくやらせたり、手伝ってやったりするのだが…これがなかなかひどい。
どこの藪の中を入ったのだが、植物の種が大量にくっついていたり、何か家でいたずらでもやらかしたのかセロハンテープをべったりとくっつけていたり、ハチミツをべったりつけていていたり、毛が汚れて灰色になっていたり…本当に大変だ。
しかも兄ときたらようやく毛づくろいを始めた…と思っても、くしゃみ一つで「飽きた」とか言ってしまうのだ。
せっかく元は綺麗な毛並みをしているというのに、普段の彼の姿はアチコチにゴミをくっつけて毛をボサボサにして…とどこの野良猫かと眉を潜めるようなものなのだ。(そのくせ、俺の毛並みだけは綺麗にしたがる)
そんなわけで、時々抑えつけるようにして兄さんを綺麗にするのが恒例行事になっているのだが…

近頃、毛の調子(?)が悪くなると、自分でやってくるようになった。
兄が…ではない。
なぜか、ロマーノという近所の猫が…だ。

 *

ロマーノという猫は、俺よりも一回り小さな猫で、毛がふわふわとしている。
白い毛並みに、背中のあたりや頭の上の処に茶色い毛がある猫だ。
そのロマーノが、俺が毛づくろいをしていたりすると時々やってきて、“さぁ、やれ”とばかりに、俺の前でゴロリと横になるようになったのだ。
最初に断っておくが、俺とロマーノは決して仲がいいわけではない。
彼の弟とは交流があるが、俺とロマーノはむしろ仲が悪いほうだと思う。まぁ、会えば一方的に毛を逆立てられている…といった感じではあるが。
そんな仲であったから、突然目の前で彼が横になった時には大いに混乱した。
前足をなめていた動きが舌を出したままピタリと止まってしまうほどには驚いた。
最初は誰か他の猫と間違っているのかと思っていたのだが、俺がいつまでもリアクションをとらずにいると振り返って睨まれてしまった。
スマンと一言謝りつつ、ちょうど見つけた毛の絡まった箇所を解いてやると機嫌良さげにクルクルと喉を鳴らしたのだった。
俺が兄を力で押さえつけて毛づくろいをしているのを見て、何か勘違いしたのかもしれない。
彼はそれからぽつぽつとやってくるようになり、近ごろは俺を専属の毛づくろい猫だとでも思っているのか横着な態度でゴロリと横になる。いや、横着な態度は最初からか。

甘やかすのはよくないと思いつつも、俺は飼い主と同じようにイタリア猫にはどうしても甘くなってしまうらしく上手くいかない。
やってくれば文句も言わず毛づくろいをしてやるのはもちろん、近頃ではお腹がへっていそうなら飼い主に強請ってロマーノのおやつを出してもらったり、気に入りのタオルを譲ってやったりもしている。
いいように扱われているな…という自覚はないのではないのだが、俺は…これはあまり認めたくないのだが…彼に我儘を言われる事を少しばかり喜んでいたりする。
彼はまるで自分を王女様だと思っているような猫で、気位が高くてとっつきにくいのだが、近頃慣れてきたのか毛づくろいの途中に眠ってしまったり、終わるとじゃれるような仕草を見せたりする。
この間は、少しだけだが毛づくろいのお返しをしてもらった。
その時は本当にびっくりして、そしてうれしくて尻尾がビリビリしてしまった。
黒白の日本にこのことを相談すると生暖かい目で見られ、「それは恋ですね」と言われた。そして絶句する俺に「お若いですねぇ」と微笑んだ。

俺が恋?

いやいや、発情期はまだまだ先のはずだ。
というか、その前に相手は俺と同じ雄だ。ありえない。ありえない…が…
日本に言われた言葉がぐるぐる頭の中で回って、俺の頭はパンクしそうだった。
彼が好きか?ときかれたならば、俺は首を縦にふるだろう。
彼の事は可愛いと思っているし、またどこぞで怪我をしたり泣かされていないかいつも気にかけてもいる。
やってくれば丁寧に毛づくろいもしてやるし、おやつも分けてやる。
しかしそれは恋愛云々と一緒なのだろうか?
…。
仮にそうだったとして、では…ロマーノは…ロマーノは俺の事をどう思っているのだろう。
そう疑問を自分に向けて提起すると、俺はさっきよりもよっぽど落ち着かない気分になった。
彼は俺の事をどう思っているのだろう。
毛づくろいを任せてくれるのだから、そこそこ気を許してくれている…とは思う。
未だにそれに関して礼を言われた試しはないが、機嫌良さそうに喉を鳴らしたりするし、そう、それにこの間は毛づくろいを返してくれた(びっくりして俺が固まっているとすぐにどこかへ行ってしまったが)
しかし、好かれているかと言うと、それもまた首を傾げる処。
何しろここにやってくるときには刺々しい態度はかなり抑えられて入るものの、他の場所でふいに出会った時などあからさまに無視されたり、どこかへいけとばかりに威嚇されたりするからだ。
やはり便利な毛繕い猫としか思われていないのかもしれない。
ショックだ。
でも、こんなにショックを受けるということは…やっぱり俺は彼のことを特別に好いているのかもしれないと思った。
だとするとますますショックだ。
好かれていない上にただの便利な猫?
ショックだ。
でも、近ごろはその関係も少しずつ改善してきた…と思いたい。
これから少しずつ頑張れば、あるいは好意を向けてくれるかもしれない…と、俺は前向きに考えることにした。

 *

今日もまた俺はふらりとやってきたロマーノの毛を丁寧に舐めて整えてやる。
好きだと自覚してから、俺はロマーノがますますかわいい。
兄さんと同じく白がベースだが、ロマーノの白は少しだけクリームがかっている。
茶色はレンガや甘い臭いのチョコレートと同じ。
毛並みは柔らかくふかふかとしていて、とてもいいにおいがする。
こんな素敵な猫がいつも近くにいてくれたなら、とても俺は幸せになれる気がする。
毛づくろいをしている間、ロマーノのふかふかの尻尾がふらふらと動き、時々俺の心を試すように俺のスレンダーな尻尾に触れる。
俺はその度ににドキドキ胸を高鳴らせているのが、これは所謂うがった考えというやつで、実際は彼の尻尾が俺のそれに触れるのは単なる偶然だろう。
それでもそれを偶然だとは思いたくない程度には俺が彼に惹かれているのは間違いない。
俺は彼を熱心に舐めながら、彼の尻尾に、こちらはわざと自分のそれで触れる。そしてある衝動に堪える。
その衝動というのは…彼の首元に噛み付きたいというものだ。
それがどのような事に通じるのか…はあまり考えたくない。
だけど、無償に噛み付きたいのだ。
もちろん強くではない。怪我をさせる気なんてさらさらない。
ただ…軽くでいいから…そう思いながら、俺はふらふらと彼の首元に顔を近づけ、そして無意識に彼の首元に軽く噛み付いた。
その途端ハッと気づいて俺が体を離すと、ロマーノもまた驚いたように目を丸くして俺を見上げてきた。
そして彼は慌てている俺を見てフッと笑った。

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