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ゼロの夜想曲 47

「貴方がいなきゃ私が踊れないじゃない!」
文句を言ってやると、彼は心外だというように肩をすくめた。
「何いってんだ?お前、さっきから男に鼻の下伸ばしてただろう」
「逆でしょ!逆!!!鼻の下伸ばされてたのよ!!!!」
「あぁ、そうだったか?」
「そうなのよ・・・!!」
ケタケタと笑う玲治にはとても腹が立つが・・・
・・・・でも、まぁ、完全に放って置かれたってわけでもないみたいね。
「それで、ちゃんと相手してくれるんでしょうね!」
そういって白い手袋をつけた右手を差し出すと、彼はフードをかぶりなおし皮肉っぽく笑い、私の手を取った。
「おいおい、マジかよ」
とは、玲治ではなくバルコニーの手すりに立てかけてあったデルフリンガーの台詞。
私が思いっきり睨んでやると、カタリと小さな音を立てて刀身が震えた。

「言っとくけど、踊りで俺に恥をかかせようったってそうはいかないぜ」

彼は私をフロアにエスコートしながら言った。
「えぇ?」
別にそんなつもりではなかったが、考えて見れば全く踊れない可能性だってあったのだ。
どうみても、貴族じゃないし・・・ねぇ。
「ってことは、あなたは踊れるわけね。玲治」
「あぁ。昔、幼馴染のお嬢さんのダンスレッスンに付き合わされて散々苦労したからな」
「幼馴染のお嬢さん?」
横顔に尋ねると、彼はそれには答えず、
「ワルツ、チャチャチャ、タンゴ、ルンバ・・・なんでもいける」
「ホントに?」
「あぁ。確かめてみるか?」
フロアの中央に進み出ると、自然に私たちの周りから人が引いた。
「本気なの?」
私も貴族のたしなみとして一通りは習ってはいる。
だが、こんな場で踊るのは大抵がワルツばかりだから・・・実はあまり自信がない。もう1年か2年くらいは踊ってないし。
でも、
「ムリか?」
と、挑発的に言われると、
「やるわよ」
なんて負けん気が出てしまう。
ムキになった私を玲治は肩を震わせて笑った。
あーもぉ、私ってそんな性格・・・。
それにしても・・・やっぱり玲治は機嫌がいいみたいだ。
よっぽど手柄を立てられたのが嬉しかったのかしら?
だとしたら可愛いところあるじゃない・・・って思わないでもないんだけど・・・なーんか、裏がありそうなのよね。
「なんだ?怖気づいたか?」
「そんなわけないわよ!いーわよ、なんだって踊って見せるわ」
「そりゃ心強い」
っと・・・上手くのせられた感じがするけど・・・これって本気なの?
こんな和やかなお上品な舞踏会で?
視線で問いかける私に、当たり前だと頷いた玲治は室内楽団に向かって、
「チンタラした曲ばっかやってんじゃねぇ。」
という余計な一言をつけた後、リズムの早いノリのよい曲を・・・とリクエストした。
周りの人も室内楽団も一瞬ぎょっとしたように玲治を見るが、彼が気にも留めずに私の腰に手を当てて曲の始まりを待つと、自然に視線は離れた。
それまで静かな曲で体を動かしていた何人かが、玲治の言葉によって壁際へと戻り、逆に面白いと思ったらしい何人かのカップル(男女のペア)がフロアに出てきた。
室内楽団のリーダーらしいヴァイオリンの男は少し戸惑っていたようだが、楽団のメンバーと何事かを話し合い、すぐに曲を選定すると楽器を構えた。

玲治の挑発がいけなかったのかどうかはしらないが・・・かなり早い曲を彼らは選んでくれた。
曲のリズムでいけばタンゴなのだが・・・
「ちょっと、玲治!!!」
「うるさい、ほら廻れ」
タンゴはタンゴでも、初めてあわせるんだからもっと踊り方があるだろうと思うのに・・・!!!!
なんでこんなむっずかしいのなのよ!
「ほら、後ろに体そらせ」
「足、休むなよ」
「こら、よろけるな!あぶねぇな」
「次はバックださ。下がれ」
彼の要求するレベルは・・・とにかく高かった。本当に!
一度、二度・・・三度目、同じ踊りを繰り返しようやくなれてはきたが・・・すでに足が痛い・・・!
というか、これって何?本当にダンスなの?!ダンスってもっと楽しむものじゃなかった?!
なんだか軍事訓練でも受けてるみたいな気分なんだけど!
息は上がるし、腰は痛いし、足も痛いし!!!!
「玲治!!!!」
「うるさいな。ほら、見ろ、注目を浴びてるぜ?」
確かに、ちらっと周りを見ると私たちは注目の的だった。
最初は酷かったと思うが、今は息もあってきている・・・と思うし、玲治の求める踊りはかなり高度で、また見栄えがする(フロアを動き回るし、私はぐるぐる廻らされるし・・・)ものだから人の目を引くというのは分かる。
だけど、これって拷問!!!
本当にきついんだけど!!!
「玲治!!もぉ、限界!!!」
「まだまだ。ほら、踊れ踊れ、赤い靴履いて。斧で足を切り落とされるまで」
「赤い靴なんて履いてないわよ!」
彼が何を言いたいのかよくわからない。大体斧で足を切り落とされるまでってなによ!怖すぎるんだけど!
「あぁ、もしかしてドレスのせいで踊りにくいのか?」
確かにそれもあるけど・・・それより!
っと思ったとき、ふいに彼の手が私から離れ、そして・・・・
「!?!?!?!!!!!」
ビィィィィィィ・・・・ッという、それこそ絹を裂く音。
私のドレスの左側が太ももの辺りまで真っ二つに裂かれた。
太ももが綺麗に露出し、フロア中からどよめきが走る。
私はあっけに取られ・・・そして次に・・・
「なに・・・するのよ!!!!!」
右手を上げた。
その手は、玲治の頬をしたたかに殴りつけるはずだったのだが、
「ひゃぁ!!!!」
彼が唐突に私の腰を掴み抱えあげたので、それは適わず、
「ほら、ポーズ」
といわれて、反射的に足をピンとあげてしまったので・・・・もぉその先は言う必要ないわよね。

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